断罪に巻き込むな! (M
ヒロインのサポートキャラ黒猫ちゃん兼私の親友スカイと戯れ平凡な学園生活残すところ後わずかとなった。
モブに徹底してゲームの人物達とか関わらずモブ友と楽しく過ごしていた学園生活。
彼らの話はほとんど聞こえなかったというか、我がクラスにモブ代表格の第三王子の双子の兄、第二王子がいたため話が入ってこなかった。
いたんだよ、第二王子殿下。金髪の第三人王子と違って茶髪で影薄いし、ゲームに出てこないし、至って平凡なモブなんだよ。第三王子殿下と同じ親から生まれて王族で双子なのにモブ顔…穏やかで優しい顔立ちで糸目で、纏う雰囲気が庶民的なモ…華やかではないけど、癒し系なんだよ。
悲しきかな、婚約者探しは難航に終わり、学園卒業したら今世の実親が政略結婚相手を探して来てくれて嫁入りするだろうなぁ、と思いながらあっという間に卒業パーティー。
別名、ゲームのご都合婚約破棄イベント発生日である。
私は壁の花を徹底して中央部を眺めていると、ゆるふわロール金髪の美女が真っ赤なドレス着て階段を見上げていた。
映画のワンシーンみたいだなぁと視線同じくして階段を見ると、イケメン侍らせたピンク髪が金髪美形と腕を組みながら階段から降りて来た。背後から、緑髪、青髪、赤髪と、美形ワラワラ降りてくる。多分遠目で原色認定した彼らの髪は近くで見たら違うんだろうけど、とりあえず関わりたくないので徹底して壁から動かずにいると。
降りて来た彼らは真っ赤なドレスを着た美女に声をあらわにした。
「ローズ!君には失望した!婚約破棄を言い渡す!!」
「ローズさまぁ!罪を認めてくださいっ!」
「お前は可憐なサクラに対して度重なるイジメをして追い詰めたな!!見ろ!サクラがこんなに弱っているんだぞ!!」
金髪、ピンク髪、青髪と声を発して。
「ライル様ぁ!アンドレア、ありがとうぅ」
ピンク髪が金髪…ライル殿下にしがみつつ、宰相子息の青髪アンドレア公爵子息の方を見て微笑む。
あれ、もしかしてヒロイン、ハーレムルート突入してね?
そして、ヒロインの名前…。
キッカじゃなくてサクラなのかいっ!!
スカイのうっかりさん!主人の名前教えてくれたって良かったのにぃ!!
とか。
私も調べなかったから悪いのかな?
とか。
脳内で悶々していると、違うやら、否定する金髪美女ローズ様の声がして現実に帰って来た。
帰ってきたら急展開だった。
来賓で来てた陛下と王妃様が現場やって来てね、二人の間にモブ王子…マイル王子が人当たりのいい笑顔であっという間にローズ様の手を掴んで免罪主張するの。
ついでに両陛下がローズ様の婚約者をマイル王子に変更すれば良いとか朗らかに言い出して、その時のローズ様の態度よ。
赤面涙目で熱っぽい瞳でマイル殿下と見つめ合ってるの。
お前ら、両思いかよ?!
多分会場にいた全員が驚いてたと思うよ?
あれ?こっちなの?!
確かにマイル殿下は婚約者居なかったけど!本人に誰かが聞いた時「初恋拗らせてるから〜」とか聞いちゃいけなかった闇を垣間見たけど!
だったらなんでローズ様の婚約者、ライル殿下だったんだよ?!と突っ込みたい。
あれか?ゲームのご都合か?!
そんな初々しい二人に拍手喝采で、ついでの様に後日ヒロインのイジメの件を調べると国王陛下が宣言したの。
ヒロインはライル殿下に相応しくないわ!とかどこぞやの令嬢が声を出す修羅場もなく、ライル殿下が両陛下にヒロイン、サクラは妖精の愛し子発言を行い、湧き上がる歓声。
サクラが願うと、出てくる妖精、二匹。
ハムスターと、ハリネズミ。
一匹だけでも凄いのに二匹もいるなんて!と阿鼻叫喚するライル殿下のファン令嬢達。
認めざるを得ない、彼女こそが殿下に相応しいのだと。
卒業パーティーでまさかの王子二人に婚約者が出来たのである。
めでたいことこの上ない。そして、免罪云々すっかり忘れたのか、ライル殿下は上機嫌でこの場にいる生徒達に言い放った。
「私の側近達にも恋人を作る機会を与えようと思う。呼ばれた者はこちらに」
無茶振り過ぎんだろ?と、私は思った。強制的に相手選ぶんかいと。
周りの令嬢達はざわめき黄色い悲鳴が飛び交って騒がしくなったけど。
「----レイシャダル・ダルメロの婚約者はマリーベル・ランティア令嬢。こちらに」
「ランティア令嬢?ランティア令嬢?居ませんか?」
「マリーベル嬢〜、ほら、ライル、レイシャダル、あそこの壁にいるよ〜」
おかしいな、さっきから声がするんだ、私を呼ぶ声が。
なんでライル殿下が私の名を呼ぶ?フルネーム覚えてたんですね、隣のヒロイン、気のせいかな?私の方見て睨んでね?
ランティア令嬢じゃねーよ、王妃陛下、ちょっと息子の言葉をフォローするな、王妃殿下!
息子そのニ!クラスメイトを売るんじゃねぇ!!!
ロイヤルファミリーの方を見て壁にへばりついていると何故だろな、赤髪…よく見たらくすみ赤で毛先にかけて紫色にグラデーションしてるめっちゃイケメンがゲームの世界から飛び出して来てるんだ。
流し目でさながら夜の帝王の如く優雅に色っぽい歩き方。多分普通に歩いてるんだけどな、存在からして歩く色気の象徴の様に…目の前までやって来たんだよ。
攻略してない、攻略対象。
放蕩騎士団長子息、レイシャダル・ダルメロが。