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8.プロ冒険者:ブラックジン

 この東の刃のブラックジンさまがテメーの角を奪い取ってやるよ。

 その一言で、剣士ブラックジンがプロ冒険者であることははっきりした。どうしてかと言えば、ギルドにはプロ冒険者以外は入ることはできず、部外者がギルドの構成員を名乗ると罰せられることもあるからだ。


 ブラックジンは軽々と長剣を僕に向けると、全身にオーラを纏って襲ってきた。

 体中にオーラが行き渡るまでのスピードが、今までの戦士とは比べ物にならないくらい速い。僕は手強いと思いながら、攻撃を角で防いだ。


 攻撃を防いだ瞬間に左側から水塊を放つと、ブラックジンは舌打ちと共に左側に視線を向けた。

 そこにあった見えない壁はみるみる強化され、僕はなるほどと思いながら今度は右前脚を動かした。


 ブラックジンは、そのフェイントに引っかかったらしく右側のマジックシールドを強化していた。どうやらこの見えない壁は、意識することで特定の部位を強くすることもできるようだ。

 僕はその隙をついて後ろ脚を踏ん張ってブラックジンの体勢を崩しにかかった。

「こ、こいつ……くっ!」


 その直後にブラックジンはよろけた。

 今まで後ろに立っているだけだったハルカは、地面に手をついてゴブリンを作り出していたのである。ゴブリンは僕の体の影から姿を現してブラックジンに飛びかかった。

 ブラックジンは投げナイフを出すと、ゴブリンに向かって投げて倒したが、その隙に僕は水塊を放って相手のマジックシールドを攻撃した。

 見えない壁は、これくらいではビクともしないが水がかかったため目の前が見えなくなっている。


 僕はその隙に突進して蹴りを入れ、更に角で貫いてマジックシールドを破壊した。

 ブラックジンも僕に攻撃を仕掛けようとしたが、再びハルカがゴブリンを僕の体の影から出したため、ブラックジンは蹴りで対応しなければいけなくなった。


 その隙をついて僕は水塊を左脚から放った、ブラックジンは顔面にその攻撃を受け、目を潰した瞬間にハルカが再び出したゴブリンが今度は樹木の影から襲い掛かり、ブラックジンは足を噛まれている。


「ぐお!?」

 勝機と感じた僕は、ブラックジンのアゴに蹴りを入れるとブラックジンは仰向けに倒れて茂みに突っ込み、剣も離れた場所に生えている木に突き刺さっていた。

「いけ!」

 更にハルカは地面に手をつき、更にゴブリンを作り出すとブラックジンにけしかけた。2匹のゴブリンに噛みつかれたブラックジンは悲鳴を上げたが、ハルカは更にゴブリンをけしかけ、3匹、4匹と増えていく。


 勝負あったか……? そう思いながら声をかけようとすると、取り囲んでいたゴブリンは一気に引き裂かれた。

 なんだと思って後ろに下がって角を構えると、ブラックジンは「いててて……」と言いながら立ち上がって手刀を構えた。

「やるじゃねえか……魔獣ども」


 ブラックジンが前かがみになったまま僕たちを睨むと、寒気を感じた。

 すでに剣も飛ばしてケガをさせているというのに、さっきよりも不穏な気配がする。殺気が増しているように思える。

「ぶっ潰す!」


 そう言いながら走り出したブラックジンは、右手を振りかぶって僕にぶつけてきた。

 マジックシールドで防いだが、そのシールドの一部にヒビが走った。

「そぉら!」


 そう言いながらブラックジンは、左の手刀を振り下ろしてきた。僕は攻撃をシールドで防ぎつつブラックジンを蹴り飛ばしたが、ブラックジンは口からも小さな闘気を飛ばして、僕の脚に傷をつけた。

「いけ!」

 その直後に、ハルカがゴブリンをけしかけてブラックジンに無駄な行動をとらせた。


 僕は再び、左脚を踏み出すとブラックジンは叫んだ。

「この左利きヤロー!」

 その直後に水塊を放ったが、飛び出したのは角からだ。これはブラックジンの顔面に命中してバランスを崩し、僕は左脚の蹴りを見舞って転倒させ、ハルカはゴブリンをブラックジンの顔の上に出した。

「ぎゃあああああ!?」

「無駄な抵抗はやめて! あんたの負けだ!!」


 ブラックジンは悔しそうに表情を歪めながら言った。

「く、くそ……さっさと踏み殺しやがれ!」

「いいや、帰れ……ダンジョンの長からの命令だ!!」

 そう言い返すと、ブラックジンはゴブリンを放り投げながら表情を崩した。

「お前……正気か!? 俺を殺せるまたとないチャンスなんだぞ!」

「僕は最初から、冒険者と殺し合うことなんて望んでいない」


 本心からそう訴えると、ブラックジンは毒づいた。

「テメーがきれいごとを言おうと、世の中はてめえらの存在を許しゃしねーんだよ。今度こそ……その首を落とす!」

「ならばもっと僕が強くなればいい。出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭はみんなが避けるようになる!」

「…………」

 ブラックジンはしばらく言葉を詰まらせていたが、やがて笑った。

「バカの中のバカにしかできない発想だ……だが、嫌いじゃない」

 その直後に剣を取った。

「今日はお前の言う通り帰ってやるよ……負けたのは俺だからな」


 彼が立ち去っていくのを見て、僕は少なからず気を抜いた。

 その油断を物陰から、しめたと言いたそうに笑っている視線があることにも気付かずに……

ブラックジン

固有ギフト:

シザーオーラ    B  ★★★★★★

身体に纏っている生命力を刃状に変化することができる。直接飛ばせば刃物を投げたのと同じ威力になり、短剣などに纏って投げれば飛距離や威力を増幅できる。



近距離戦      B  ★★★★★★

魔法戦       D  ★

飛び道具戦     C  ★★★★  

マジックシールド  B  ★★★★★

防御力       B  ★★★★★

作戦・技量     B  ★★★★★

索敵能力      C  ★★★★

行動速度      B  ★★★★★

勝利への執念    B  ★★★★★  

経験        B  ★★★★★  



一言:

初めて現れたバトルタイプのプロ冒険者。

単独行動をしていることが多いが、相手が強敵だという情報を得るとパーティーを組んで戦いを挑むこともある。


ちなみにプロの冒険者免許を取ってから5年目になるようだ。現在23歳。

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