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17.メイの分身とトラップ宝箱の配置

 翌朝になると、ハルカはオオカミ少女メイの前で、ゴブリンを作って見せた。

「へぇ……ハルカってこういうことできるんだ」

「うん。これだけが取り柄みたいなものだけどね」


 そのやり取りを座りながら眺めていた、ミニユニコーン3号は言った。

「ねえ、実はメイさんも自分の分身を作れるんじゃないかな?」

 確かに……と思いながらメイを見ると、え……本当? と言いたそうな表情をしていた。


「いるにはいた方が便利だと思うけど……どうやって?」

「髪と尻尾の毛、あとオーラを預けてもらえば、あとは私がボディを作るよ」

「う、うん……わかった」


 彼女は後ろ髪の毛と尻尾の毛を1本ずつ引き抜き、更に手にオーラを集めようとしたが上手くは行かないようだ。

「……こっちにしよ」

 メイはそうつぶやくと、ハルカの頬にキスをしていた。

 ハルカは顔を赤らめていたが、すぐにハッとすると地面に手を触れてメイの分身のボディを作りはじめる。


 メイの分身のボディは5分ほどで完成した。

 見た目はオオカミの姿そのものだったが、爪や牙は本物のオオカミよりも鋭くできており、強そうに見える。

 メイ本人も、その出来に満足している様子で頷いた。

「これは……いいね! 何か喋れる?」

 そう話しかけると、ウルフメイはオリジナルメイを見た。

「一応ね。ところで……私はどんなお仕事をすればいいの?」


 メイはすぐに僕を見た。

「君にはそうだな……ダンジョンの入り口を見張って、民間人が来たら警告して追い返す仕事をしてもらっていいかな? 相手が武装した冒険者だったら、警備をゴブリンに任せて撤退」

 その言葉を聞いたウルフメイは頷いた。

「わかった。すぐに行ってくるよ」


 ユニコーン3号は、不思議そうに首を傾げた。

「ん……? じゃあ僕たちはどうすればいいのかな?」

「君はオリジナルメイのサポート。普段のダンジョン経営も戦闘時も彼女の補佐をして欲しい」

「りょーかい!」

 そう3号が返事をすると、1号や2号もテレパシーを通して返事をしてきた。


 オリジナルのメイは、視線を上げた。

「もう1匹くらい……作れないかな?」

「やってみる?」

 メイとハルカは2体目の製作を行うと、ウルフメイ2号機が現れた。

 ウルフメイ2号には、ダンジョンの宝箱の警備を任せることにし、3号目……と彼女たちは欲を出していたが、オーラや髪の毛を使ってもウルフメイ3号機はすぐに崩壊してしまった。


「……どうやら、メイが今の段階で分身を操るのは2体が限度のようだね」

「増えるかな?」

「それは……より複雑なダンジョンを作れるかどうかだろうね」



 間もなく小生の前には、手の空いたミニユニコーン1号と2号が戻ってきた。

「おかえり」

「ただいま! 早速だけどオリジナルおもしろいものを見つけたよ」

「一体何だい?」

 小生とハルカは、ミニユニコーンたちに連れられて雑木林エリアを入り口方向に進むと、入り口と宝箱のある広間の中間あたりの通路に、別の場所に伸びている獣道があった。


「なるほど……ここにも、何かあるかもね」

「で、試しに行ってみるとだね……」

 ミニユニコーンの後に付いて行くと、そこにも小部屋のような空間があった。


「……ここにも宝箱とかおいてみたら?」

「なるほど……」

 小生は少し考えた。確かに隠し通路のような場所だから、宝箱を設置しても冒険者に見つからずに済む可能性の高い場所だけど、ここは入り口に近い。

 このダンジョンは一筋縄ではいかないということを知らしめるには……。


 そう考えていたら、この空間を眺めていたハルカは言った。

「せっかくなので、トラップ宝箱を置いてみますか?」

 トラップと聞いて、小生はミミックというモンスターを思い出した。宝箱そっくりに擬態しているが、不用意に近づくと攻撃してくるいやらしいモンスターだ。


「なるほど。動く金属の箱だと作るのも大変そうだけど……小生たちは植物を応用して宝箱風のモノを置いているからね! 早速つくってみて!」

「わかりました」


 ハルカはその場に座り込むと、その辺の植物を集めていき、器用に土と合成しながら宝箱風の植物を錬成しはじめた。この流れだけを見ていると宝箱を作っているように見えるが、彼女は箱の部分を完成させると、今度は地面を指でなぞりはじめた。

「…………」

「…………」

「も、もしかして……」

 そう言いかけると、彼女はニッと笑った。


 モンスターとなる本体を根元へと隠しておき、宝箱のふたを開けたとたん、地面から拘束用の根が伸びて冒険者を攻撃するという、なかなか手の込んだ仕掛けだ。

「……できました」


 ハルカが小生の後ろに下がると、小生はニセ宝箱と周辺を見て頷いた。

 これなら、かなり勘が鋭い能力者以外には、宝箱が放置されているようにしか見えないだろう。ちなみに、能力が上がったけれど……中には何を入れたのだろう。

「この中には何が入っているの?」

「実は、樹液を生成して琥珀を作っておいたので……いくつか入れておきました」


 琥珀か。確かにミミックを配置したのだから、それくらいのアイテムを入れておかないとリスクとリターンのつり合いが取れない。

 小生は、上手く行ったなと思いながら、ミニユニコーンたちを見た。

「この調子でどんどん、宝箱やトラップを置いて行こう」

「わかった。他にも獣道がないか探してみるよ」

「頼んだよ!」

ウルフメイ

固有ギフト:

なし



近距離戦      C  ★★★★

魔法戦       E  

飛び道具戦     E  

マジックシールド  C  ★★

防御力       C  ★★ 

作戦・技量     C  ★★★

索敵能力      C  ★★★

行動速度      B  ★★★★★

勝利への執念    C  ★★★

経験        C  ★


使用可能スキル:テレパシー、ナイトビジョン、嗅覚1000倍


一言:

オオカミの姿をしたメイの分身。現在のところ2体まで配置可能。

片方はダンジョンの出入り口をゴブリンたちと共に門番しており、もう片方は薬の入った宝箱の警備をしている。

単体の戦闘力では、ミニユニコーンに匹敵する性能があるが、命令という能力がないので細かい指示をゴブリンたちに出すことはできないようだ。

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