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15.セーブポイントを得たダンジョン

 セーブポイント。それは、冒険者にとって命綱となる拠点である。

 ここに入ると、モンスターに襲われることなく体を休めるだけでなく、ここでは書き置きと呼ばれるモノを残すことができる。

 この周辺地域の構造や出現するモンスター。更にいつ頃に自分がここにいたのかということを、後に続く冒険者たちに伝えられるわけだ。


 そして、セーブポイントを置く利点は、僕たちダンジョンを支配する側にももちろんある。

 僕は出現したセーブポイントを眺めたまま、周囲をぐるりと1周した。


「……凄い。これ……噂のセーブポイントじゃないか?」

「そ、そうですね……キラキラと光っていて……綺麗!」

「うん、もちろん美しいけど……美しさなら、君の羽……アゲハ蝶のように美しい色を放っている」


 ハルカは自分の羽をを見ると、驚いた表情をしていた。

 彼女の羽は青いアゲハチョウのように、キラキラと光る美しい模様を浮かび上がらせ、霊力も以前より強力なモノになっている。

「……ショーマさんこそ角が立派になっただけでなく、鎧まで出てきましたね」


 彼女はそう言いながら、手鏡を僕に向けた。

 僕の身体には水色がベースのヘルムやアーマーが出現しており、特に腹部や喉には竜の鱗のようなプレートが幾重にも重なっている。この姿はまるで中国の神話に出てくる麒麟のようだ。

「どうだい。少しは男前になっただろうか?」


 そう質問すると、ハルカは微笑んだ。

「もちろんです。今のショーマさんは……聖獣と呼ぶにふさわしい方です」

「僕が聖獣なら、君は妖精のお姫様だよ」


 僕らは再び、現れたセーブポイントを眺めた。

「それにしても驚いたよね。セーブポイントが現れただけで……これだけ強くなれるなんて」

「はい。とても……それに、見てください……」

 ハルカが指さした場所には、いつの間にか通路ができており、今までは行き止まりだった場所から先に進めるようになっている。

「行ってみるかい……?」

「はい」



 2人でダンジョンの奥へと進んでみると、そこも森だったが雰囲気は大きく変わっていた。

 先ほどまでは未開の雑木林といった感じだが、セーブポイントから先は、ブナの木々が悠然と生い茂る太古の日本を思わせる独特の雰囲気を醸し出していた。

「凄い……森全体が霊力を放っているかのようです」

「うん。それに……普通の人の目には見えないのだろうけど……透明な精霊たちが森の中を飛び回っている」

「そうですね……」

 どうやら、ハルカにも精霊たちの姿が見えているようだ。


「精霊と幽霊は全然別モノだね。どっちも目には見えないはずのものだけど、実際に見えるとよくわかるよ」

 そう言ってみると、ハルカは頷いた。

「……そうですね。彼らは……精霊はそばにいるだけで活力を与えてくれます」



 太古の森を進んでいくと大岩があり、その周辺に立つと霊力が目に見えて強まった。

「どうやら、ここが……新しいボスエリアのようだね」

「そのようですね」

 ハルカは僕を見ると言った。

「どうしましょう。私は……前の雑木林エリアを守った方がよろしいでしょうか?」

 僕はすぐに首を横に振った。

「いいや。君は僕にとって大切な人だ。ここで仕事を手伝って欲しい」


 そう答えるとハルカは嬉しそうに微笑んだが、同時に心配そうに雑木林エリアの方角を見た。

 貴重品は移動させるとしても、セーブポイントがそのままというのも、防犯上あまりよろしくない感じがする。

「とりあえず、ミニユニコーンを新しく召喚できないか……やってみるよ」

「お手伝いします」


 角に霊力を集めてからハルカに渡すと、彼女は慣れた手つきでミニユニコーンを作ってくれた。

 やはり、体自体は小さなままだったが、ミニユニコーンも僕と同じようにヘルムやアーマーで身を固めており、体全体から放っているオーラも以前に比べてパワーアップしていた。

「はじめまして。ミニユニコーン3号だよ。よろしくね」

「よろしく。早速だけど……雑木林エリアのセーブポイントを守って」


 そう伝えると、ミニユニコーン3号は困り顔になった。

「ほかに仲間がいないようだから、とりあえずは行くけど……正直に言えば荷が重すぎるな」

「わかってる。なるべく早く……新しい仲間を見つけて来るよ」

 ミニユニコーンは頷くと、雑木林のエリアへと移動し始めた。僕もまた雑木林エリアに残してきた宝物をと思ったら、ハルカがこちらに視線を向けてくる。

「宝箱の場所ですが……遠隔操作でここまで運べるかもしれません」

「本当?」

 聞き返すと、ハルカは頷いた。



 間もなく彼女は、雑木林エリアのある方角に手を向け、耳慣れない言葉をささやいた。

 すると、僕たちがいる大岩エリアのすぐ横に、金色の3つの宝箱が現れ……ん? よく見れば金色が2つに、銀色の宝箱1つという編成になっている。

 ハルカは心配そうに言った。

「あれ……私、持ってくる宝箱を間違い……?」

「いや、合っていると思う。多分だけど……今までの僕たちは弱かったから、5万円金貨でも破格の宝物だったけど、今は少しだけ強くなったから、冒険者やダンジョンから見たら、ローリスク・ハイリターンとは言えなくなったのかもしれない」


 とにかく、これからエリアがどんどん拡張されることを考えると、ミニユニコーンだけでは管理ができなくなることは明白だ。深刻化するエリアマスター不足を解消するには、どうすればいいだろう。

 僕はハルカを見た。

「ねえ、エリアマスターを雇うにはどうすればいいかな?」

「そうですね……私のように実家から追い出された人をスカウトするか……」

 自分でも意見を口にしてみた。

「攻めてきたエリアマスターやアマチュアヒーローを返り討ちにしてスカウトするか……」


 僕とハルカはお互いを見合って悩んでいると、先ほど歩いて行ったユニコーン3号がテレパシーを使ってきた。

【他のエリアマスターの領地に攻め込む……なんてね】


 その話を聞いたハルカは「まさか~」と笑っていたが、僕は視線を上げた。

「……案外、名案かもしれないな……それ」

府中翔馬 男/牡 15歳/2歳馬

通り名:碧眼の角端

固有ギフト:

グリーンサファイアホーン A ★★★★★★★★★

水の加護と地の加護を得られる上位角。知力、忍耐力、精神年齢、継続力を上昇させ、穏やかな性格にする。また、ユニコーンの基本能力と言えるヒーリングとキュアコンディションの効果量を増やし、消費MPを半減させる効果もある。


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情報不足により仔細は不明。



近距離戦      B  ★★★★★★

魔法戦       A  ★★★★★★★

飛び道具戦     E  

マジックシールド  A  ★★★★★★★

防御力       A  ★★★★★★★ 

作戦・技量     B  ★★★★★

索敵能力      A  ★★★★★★★

行動速度      B  ★★★★★

勝利への執念    B  ★★★★★

経験        C  ★★★★


役職:ダンジョンマスター

好きなモノ:甘いモノ、子供

嫌いなモノ:ピーマン、セロリ

体重:450キログラム 肩までの高さ:160センチメートル

使用可能スキル:ヒーリング、キュアコンディション、350度監視、嗅覚1000倍、ナイトビジョン


一言:

クラスアップしたことにより、大地の加護を得たショーマの力。

攻撃魔法の種類が増えたことに加え、鎧に守られていることによって蹴りの威力も上昇している。


なお、グリーンサファイアホーンとは、宝石のように美しい角という意味であり、本当に宝石でできているわけではない。

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