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準備

俺は15歳になった身長も大分伸びている。

前世では惜しくも170センチの壁を変えられず涙を飲んだ!

しかし今回はなんと既に172センチ!俺は歓喜の涙を流した。

そんな中、錬金術の修行が終わった。


錬金術を極める過程で魔力操作や、魔力量共に向上した。自在に魔力が動くのでとても楽しい。


気分上々で最早顔馴染みとなった、アルケーミア伯爵邸に来ている。


「たった5年で錬金術を極め、魔力量でも私に並ぶまでになるとはさすがね、ドレイク男爵。」


「伯爵も魔力増幅回路の刻印を成功されたとうかがいました。」


「まだまだよ、素早さ、正確さ、細かさ、全く君に及ばない。不揃いで歪んだ回路しか刻めていないわ。」


伯爵は中々上手くいかないと頭に手を当てた。

不均一な回路は面積をとってしまい、上手く効果が出ないのだ。


「それで今日はどういう要件?」


「そろそろ暗黒大陸開拓用の装備を作るためミスリルを入手したいと思いまして。」


「ミスリルは全て王家の管理下にあるの、私から陛下に頼んでみるわ、どの位必要?」


「はっきりとは分かりません。まず私の装備を作ってみて、そのうえで同様のものを一緒に出発するという軍の人数分用意しようと思います。」


「わかったわ、君の分のミスリルは私から提供しましょう、錬金術習得のお祝いよ。」


伯爵は70センチ程のミスリル塊を俺に渡した。

これはかなり立派なものが作れるな。


「それから調査隊は大体中隊規模、おそらく1人分はさっきのミスリルの半分くらいは確保出来ると思うわ。」


「ありがとうございます。」


中隊だと200人くらいか、一人で作るの大変だな。

「あと、前回の調査を行った方を紹介してくれませんか?」


「前回は6年前、近衛騎士団長ウォルター・フォン・リーンハイム子爵が率いていたわ。王宮に詰めているはずよ。」

「わかりました。会って話を聞いておきます。」


俺は再度伯爵に丁寧にお礼をいい、自分の屋敷に帰った。

「おかえりなさいませお館様。」

「ただいま、アリアナさん、今日は工房で作業します。」

「かしこまりました。」


早速工房にこもって作業に入る。


今回は錬金術を使用して最適な形を自分でつくる。前回より魔力増幅回路を多く刻めるだろう。


龍鱗と龍玉は前回の構造を参考に4つの腕輪を重ね合わせて4重の魔力増幅回路を組んで作成した。

火龍は前回よりも宝具自体を大きくして回路を多く取り入れた。ハンドガンサイズから小銃サイズになった。


俺の魔力を混ぜ合わせたミスリルは魔力をスムーズに流し、硬く、軽い、いい出来だ。


「余ったミスリルどうしようかな。」

考えてたやつ作ってみるか。


10歳で竜と戦った時は相手の攻撃を全力で防いで、全力で攻撃した。

しかしこれでは、非効率だ。

防御に無駄な魔力を使用している。


相手からの攻撃を一切受けずに出来るだけ遠距離から一撃で倒していきたい。魔力を使った戦闘ではそれが最も効率がいいはずだ


「遠距離攻撃といえばやっぱりレールガンだろう!荷電粒子砲とかも作ってみたいけどどうやって再現していいか全くわからんし。」


目指すコンセプトは宝具を銃弾として発射する宝具。


銃弾には俺が遠隔で魔力を込め、効果を発動したまま目標に突っ込んでもらう。

前世でいうところの薬莢にあたる場所に魔力印、後はすべて内部に魔力増幅回路と強靭、貫通、徹甲、空気抵抗軽減、破壊増幅、効果増幅を刻んで作成する。

竜を相手にすることを考えて30mmの弾丸だ。


銃本体にはミスリルを使用し銃身として4本の板に超加速と安定、強靭、抵抗軽減、効果増幅、薬室に高速射出、強靭、効果増幅、スコープに別回路で拡大、鮮明、効果増幅の文字をそれぞれ刻んで、魔力増幅回路でつないだ。

俺の身長を超えそうになるほど巨大な狙撃銃になった。


3つの宝具を同時起動することになる為、遠隔での魔力操作が自在に出来る俺にしかまともに使用できないピーキーな仕様になった

名前は『覇龍』


次は肩当に魔力増幅回路、認識阻害、迷彩、効果増幅を刻んで敵に気づかれない様にするするための宝具を作成した。

名前は『隠龍』


これで何とかなるだろう。基本、隠龍と覇龍で戦って、近くでの戦闘になってきたら隠龍、龍鱗、火龍と切り替えれば戦いが楽になるはず。


コンコンと工房のドアとたたく音が聞こえる。

「あの、お館様入りますよ?」

アリアナさんだ!

ちょっとドキドキするなそのワード!


「どうぞ!」


「お館様よかったご無事でしたか、今回はかなり熱心に作業されていたようですね?」


心配してくれた!おじさん嬉しいわ。


「え?そんなにたった?」

「ええ、お館様が工房に入られて丸1日経過しました。何度か呼んだんですが全く返事がなくて。」


丸1日!?

普段から部屋に篭って出てこなくなるとはいっても限度があるわ。それは心配するわ

そういえば身体がめっちゃ重い。


「すいません、まさかそんなに経っているとは。」

「お体に障りますよ?食事をとって、ゆっくり寝てください。」


また心配してくれた!もう死んでもいいかも。


「そうします。」


俺は食事をとりに食堂に行った。食堂ではロエルさんとコルドさんが簡単な食事の準備をしてくれていた。


「お館様、心配しましたよ?それで今回は良いものが出来ましたか?」


「コルドさんもロエルさんも有難うございます、満足のいくものが出来ました。陛下の期待にも応えられるでしょう。」

「それは重畳です。ではお召し上がりください。」


すげー良い人たち!俺には勿体ないわ!

食事は凄くおいしかった。

食事をとると猛烈な眠気がこみあげてきて俺は直ぐに寝室に退散した。


「おやすみ。」

ああ一緒に寝てくれる女の子募集中です。


翌日俺はウォルター・フォン・リーンハイム子爵に会うため王宮の近衛騎士団詰所に訪れた。


「これはドレイク男爵お会いできて光栄です、今日は何か御用ですか?」


詰所の入り口に立っていた2人の衛兵は俺のことを知っていた。


「騎士団長のリーンハイム子爵に話をうかがいたい事がありまして。子爵の都合のいい時で構わないので会えないだろうか?」


「もちろんです、聞いてきます!」

片方の衛兵が詰所の中に入っていき、少しすると戻ってきた。


「団長がお会いになるそうです。」

「有難う。」


リーンハイム子爵は扉の前で待っていてくれた。

「ドレイク男爵久しいな、さ、中に入ってくれ。」

「ありがとうございます子爵。」


「今日は何の話が?」

「陛下からの頼みの件で子爵の経験を参考にしたいと思い、まいりました。」


「暗黒大陸開拓の話か?しかし、経験と呼べるほど滞在出来たわけではないのだ。」


「やはり魔獣が強力でしたか。」


「その通りだパンドキアラに入り、要塞の修理を開始したが、その後すぐに戦闘になった。1匹1匹が強いのもそうだが量が多い。」


「魔力が持たないと。」


「そうだ、かなりの殲滅力を持つかもっと魔獣の少ない場所を見つける必要があると思う。」


殲滅力か、まぁ大丈夫だろ。

「あの時君の作った大剣が有れば良かったのだがね。」

「剣の具合はどうですか?」


「具合も何も国宝になっているよ。エールは宝物庫の隅の方に移動されていたよ。」


うわ、いつの間に。教えといてよ。


「それと新しい遠距離攻撃用の宝具を作ったんですがかなり強力で海などで試し撃ちしたいのです。どこか心当たりはありませんか?」


「それならば王都ヴェンドルーネ南の軍港ルエダが良いだろう馬車で1時間位だ。そうだ明日一緒に行かないか?」


「私は大丈夫ですよ。」

「よし!楽しみだ!おい!ハンス!俺明日出張するから!後よろしく!」

リーンハイム子爵が大声を出した。


遠くから何か絶叫が聞こえる。


翌日軍港ルエダ。許可をもらい沖合4キロにある小島を的にして試射を行う事になった。

なんなら邪魔なので壊しても良いとの事。


まさか壊れるなんて、これはフラグ!!?


「よし!男爵ぶっ放せ!」


俺は伏射により狙いをつけた、鮮明の効果により目標は極めてクリアだ。


「アイサー!行きます!」

弾丸が高速で発射され、レールにより音速の20倍を超える速度まで加速し、飛翔する!


速度がそのままエネルギーとなり島に命中する、貫通した。

うわ貫通したよ、島の後ろ船無いよね?

島に大きな横穴が出来てしまった。その内夫婦岩みたいになったりして。


「さ、流石だな男爵!どんな魔獣も一撃だ!ハハハ!あと助けてくれ。」

リーンハイム子爵が腰を抜かしていた。


その日のうちに王都に帰還し、子爵を自宅に送って行った。覇龍の照準は正確だった。



次の日

俺は陛下に会って打ち合わせしないとなーとか考えていると

部屋のドアが叩かれる音が聞こえた。


「お館様王宮から連絡が来ました。」

「内容は?」


「陛下がお呼びです。」

「わかった。」

ナイスタイミング!


陛下は俺が屋敷に居るタイミングが分かるのだろうか?壁に耳ありというやつなのかな?権力コワイ!


俺は謁見の間で国王の前で膝をついた。


「よく来てくれた、ドレイク男爵。アルケーミア卿からミスリルの話を聞いた。準備は整っている。王宮の工房を使用して作業に入りなさい。」


「かしこまりました。」


「男爵お主の力量にかかっておる、頼んだぞ、隊員の編成、兵糧や必要な物資は財務卿と軍務卿に任せてある。毎度の事なので心配ない。」


「全力で事に当たります。」


陛下との謁見は終了した。



よし作るぞ!


調査団の規模は250 名、国王軍一個中隊200名と後方支援や建築、農業などの各分野の専門家合わせて50人の編成だった。


王宮の工房を使用し次々運び込まれるミスリルを使用し龍鱗、龍玉を250 人分、火龍と魔力増幅回路搭載の片手剣を200人分作成する。


数が多いので龍玉を全力で発動し、大きなミスリル塊を融合し一息にいくつもの宝具を成形していく。それでも刻印は一つ一つなので大変だった。


次は物資だ、軍としては完璧だったが要塞の修理や宝具を作るための素材が少なかった。国王からもらったお金を半分ほど使い素材や積み込む船を買い取って準備した。


全ての準備に半年かかった。


ルエダ沖には多くの荷物、隊員を積載した5隻の大型船が待機している。


旗艦となる軍艦ベイオウルフが港に横付けになっており、港には国王や俺の知り合いの貴族達が来ている。


「クロード・フォン・ドレイク男爵に子爵の爵位を授けると共に暗黒大陸調査隊司令官に任命する。」


「拝命します。」

国王からの期待に、俺の挑戦への高揚に身体が熱くなる。

「吉報を待つ。」


俺は船に乗り込み拡声の宝具を使い宣言した。


「これより暗黒大陸に向けて進路をとる!総員配置につけ!」


全員が配置についたのを見計いさらに言った。


「諸君!未知のものへの挑戦は必ず不安や恐れの気持ちがついて回る。しかし!諸君の後ろには竜殺しがついている!どんな困難も魔獣も必ず乗り越えられる!今度こそ暗黒大陸に我らがルーネ王国の楔を打ち込むぞ!出航だ!」


オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!


船が揺れるような雄叫びだ。


ベイオウルフをはじめ計6隻の艦隊はルエダより遥か東、暗黒大陸のパンドキアラ要塞を目指し出航した。

今回も読んでいただいた皆様ありがとうございます。少しでも楽しんで頂けていたら幸いです。

少しずつ読んでくださっている方が増えているようで嬉しい限りです。これからもよろしくお願いします。

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