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ショートショート4月~

書店にて

作者: たかさば
掲載日:2020/04/28


大通りの、中学校の向かいにある、少しおしゃれな本屋。


大好きな本を求めて、一人、やってきた。


私の好きな本は、この店にあるだろうか。



私は、本屋独特の、においがとても、好き。


ついつい、目当ての本以外のものにも、目が行ってしまう。



雑誌。


絵本。


画集。



いつまででも、ここに居られる、自信がある。


こんなにも魅力あふれた、この空間。


目当てのものに、手を伸ばすことを、ふと、忘れた。


両手に本を抱えて、最後にやってきた、本の棚。



ここに、私の、求めてやまない、本がある。


…あるだろうか?


人気のシリーズ物だ。


売り切れている、かもしれない。


ドキドキしながら、棚を確認する。



…。


あった。


迷わず、手を伸ばす。



「あっ…。」



同じ本を目指して、同時に差し出された、手が、触れ合った。



こんなところで。


同じ本を、求めて。


手が、触れ合うなんて。



この人は、私と同じ、心を持つ人。



私は、急に気恥ずかしくなり、その場を、立ち去った。



目当ての本を買えず。


落ち込みつつも、他に本が買えたのだからと、自分を励ます。


目当ての本は、また、別のお店で、買おう。


そう心に決めて、書店を後にする。



書店を出て、自転車に乗る準備をしていたら。


先ほど、指先を触れ合った、人がいた。



「あの。お茶でも、いかがですか…?」



私は、またしても、気恥ずかしくなり、



「ごめんなさい」



そうつぶやいて、自転車に乗り、その場を立ち去った。



今でも思い出す、あの場面。


あの時、お茶に、行っていたら。


あの時、あの本を買っていたら。



あの時、私が欲した本が、究極○態仮面6巻でなかったならば!



頭を抱えたくなる、ほんのり甘酸っぱい、思い出の、ひとコマ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ああ〜。場面も心情もちゃんとイメージできる。良い文章でした。
2020/04/28 22:44 退会済み
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