北極戦線⑭ :想い遠く
part-u
レゼアは普段とは異なる海岸から、北の方角を見つめていた。穏やかな風に吹かれ、薄い翠色の髪がふわ、となびく。彼女が座る鉄製の車輪――もとい車椅子が、焦げた砂浜を踏んでいた。
(わたしは、もう――ASEEには戻らんのだな)
そう思った途端、彼女はふと寂しさを覚えた。
入軍して五年、そのうち二年間をともにした少年――ミオ・ヒスィ。
レゼアは彼へ好意を抱いていた。そう、好意だ。もしかしたら、それは姉がしょうもない弟を想う感情に似ているかもしれない。
逆か? と疑問を覚えて、レゼアは口許に笑みを浮かべたまま眉を吊り上げた。
――しょうもない姉が、弟を想う感情かもしれないな。
だが、レゼアは軍をやめた。辞表を提出し、一定期間は諜報員に監視されることも承知して、ASEEという組織から離脱した。今この瞬間も、誰かがこちらを盗み見ているに違いない。
人員を最大限に『利用』し、離脱した者には諜報員を仕掛ける――ASEEはそういう組織だ。レゼアやミオも、そんなことは承知済みである。
(ミオ――あいつ……、)
少年の顔を思い浮かべ、レゼアはハッとして海の方向を見た。
たしかに――聴こえた。それは獣の咆吼のような、血の叫びのような、声。
レゼアは胸へ宛てた手を握りしめた。
まだ、彼には死んで欲しくない。会いたいと思う、何度でも。
だから、彼女は祈り続ける。
大切な人へ――届け。
ごめんなさい。今週は調子が悪くて、これだけしか書き上げられませんでしたorz
実は15000文字くらいの余裕はあったんです。だけどなかなかいいのが書けなくて、実はみんな消しちゃいました――&書き直ししてたら間に合わんかってんです。
来週から執筆ペースを上げて、また「週一の更新」「文章量を増加」しようかと思ってます。
そしたらよろしくです。
あと、設定資料をいくつか追加変更するかも。しないかも?
いや、しますね。
変更したら「活動報告」とか「アラスジ。」に書こうかと思ってます。
次回は来週、1月29ですね。
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予告。
北極での最後の戦いに臨む4機。〈オルウェントクランツ〉は統一連合の3機を捌ききれるのか?
そして、フィエリアの背筋には悪寒が駆け巡った――そう、ここは北極基地なのである。
敵の真の目的を理解した彼女は叫ぶ。
「イアル!! ヤツを打ち落とせ、なんでも構わない!」
これはASEEによる、無謀な作戦案だった――。
次話、「北極戦線⑮ :閃光」




