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E  作者: いーちゃん
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北極戦線⑤ :鼓動

次回は19日の更新ですー。

part-k



 レナは〈アクトラントクランツ〉のハッチへ飛び込むと、すぐにシステム立ち上げにかかった。コックピット・ブロックが腰部へのめり込むように動き、ガス噴出と同時に閉鎖される。

 コックピットに入れば、そこはもう――自分ひとりだけの空間である。

(……)

 現在に至るまで、レナはいつだって独りで戦ってきた。

 誰より強くなるために。

 この身を平和へ捧げると。

 敵を倒すと ――それが正しいと信じて。

「だから……そう。もう少し、負けられないのよね」

 レナはひとりごちた。

 起動までの時間は、普段なら苛立ちを抱えるくらいだが、今回は不思議と悪い気がしない。

(そう……まだ、一人ぼっちじゃなかった)

 フィエリアがいて、イアルがいて。それは嬉しい――純粋に。

 だけど、今は目の前のことに集中しなければならない。

 重量軌道に吊り上げられて、深紅の機体が運ばれていく。

 ゆっくり目をひらくと、真っ直ぐ伸びたカタパルトの先が延長されてゆくのが見えた。〈フィリテ・リエラ〉の艦側から突き出しているそれは、しかし北極を睨む位置にある。

 さらに向こう――狭い出口から見える、曇りの空。

 レナは、心臓の鼓動が高鳴るのを感じた。 ふ、と長く息を吐くと、モニターの上に緑色の文字が流れた。


 caurse............clear.

 field of vision...neutral.

 circumstance......causion.


 射出されれば、そこはすぐに戦闘域だ。

 やがて――全ての項目がクリアされる。

 レナはヘルメットに付けられた小型マイクへ、

「レナ・アーウィン――」

 カタパルトが急激なGを生む。歪んだ重力を受けて、レナの身体はシートの背もたれへ沈みそうになった。

 レールが火を噴き、余剰のエネルギーが音となって吼える。

「〈アクトラントクランツ〉、行きますッ!」

 轟音の束が収束し、深紅の機体は鉛の空へ放られた――速度を落とさぬままニ百メートルを飛び越えると、背面にある<鳥の骨格>が順繰りにひらいてゆき、

 現れたのは……純白の翼である。無機質ではない――どこか軟らかそうな質からなる羽根は、完全な有機物である。

 〈ヴァーミリオン〉と呼ばれる、〈アクト〉に備えられた機能だ。制限という名の足枷を外された深紅の機体は、残像をともにして宙域へ突っ込んでゆく。

 漆黒の機体はまだ戻ってきていないようだ。エネルギー切れではないが……パイロットが保たなかったのだろうか?

 どのみち、強敵がいない今はチャンスである。

 レナはモニターの上に幾つもの窓を出現させて、各方向での戦況を睨んだ。

「……」

 厚さ40メートルの氷上に傭兵部隊が幕を張り、そこからの砲撃は、次々と上空の〈ヴィーア〉を墜としてゆく。かと思えば、その反対側で友軍機が撃墜され、炎上しながら落下する。

 〈フィリテ・リエラ〉はまだ襲われていないようだ。北極基地に接岸しているから、ASEEはそこまで攻撃しきれていないのだろう。

(……いける)

 攻めあぐねていた友軍機へ『退きなさい』と伝えて、レナは背面からサーベルを抜き放った。指示を受け、手の空いた三機は敵艦を目指して飛んでゆく。

 目標を失った〈ヴィーア〉五機は、新らしく現れた敵を睨むと、すぐに照準を合わせ――ライフルを速射させながら突っ込んできた。

 レナは〈アクト〉の機動力を活かして、軽々と五本のビームの矢をくぐり抜ける。

 それと同時に背面の双翼が大きく――風をはらんだように膨れあがると、無数の羽根が散らされた。

 一枚一枚の羽根が硬質化して自由に舞い上がり、全方位あらゆる方向へ複雑な軌道を描いて飛んでゆく。

「あたしの前に立ち塞がるなら――ぜんぶ持っていきなさいッ!」

 硬化した<羽根の極兵装>一枚一枚が〈ヴィーア〉の関節部、頭部や脆い部位を貫き、あっという間に五機を戦闘不能に追いやる。

 危うく駆けつけた残りの敵機が動かなくなった僚機を抱え、退散するように逃げていった。

「……ふむ。それでよし、と」

 レナは狭い空間のなかでひとりごちた。

 戦闘不能に陥った味方を助けたヤツの気持ちがわからないレナではない。彼らを丁寧に撃ち殺すことも可能だったろうが、レナはあえてそうしなかった。

 〈アクトラントクランツ〉がヴァーミリオン形態――つまり制限を外した状態にいられるのは、決して長くはない。エネルギーも考慮して、せいぜい十分間程度だろうか。

 こんなところでオチオチしていられない――と、レナは再びモニター上に窓を浮かべて、戦況を見る。

 それらの画面のひとつに映ったのは――

 漆黒の機体が、勢いよく射出される瞬間だった。

「……おいでなすったわね。じゃ、こちらも行きますか」

 レナは四基のバーニアを一斉に噴かして、来るべき敵へ向かっていった。


さて、話すことはなにもない。

いや、ありますよ?

湘南ベルマーレがJ1進出、とか。

はぁ、みなさん知りませんよね湘南ベルマーレ。かの中田英寿選手や三都主選手も所属したチームなのに……まぁ今年一年応援していたわけですよ。MF・アジエルが強いから。

お暇な方はgoogleでもyahooでも、「湘南ベルマーレ」と検索してみてくださいね。きっとアジエルの笑顔がアナタを迎えてくれるでしょう。

サッカーに興味がない方も「日本サッカー協会」とご検索ください。きっとアジエルの笑顔がアナタを迎えてくれるでしょう。

そんな感じのバイト帰り、今日はさっさと寝ます。

次回予告:ナシ。続きは19日に更新です。

迫力の戦闘シーンに、ご期待くださいー。

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