52.そして伝説へ
「「太郎」」
教室に戻ってきた二人が、同時に俺の名前を呼んだ。
「お、おう」
「報告がある」
「え、報告?」
なんだ?
何で二人はモジモジしてるんだ……あ、また小便だな!
「さっさとトイレ行って来いよ、二人とも!」
「えっ、二人でトイレって、そんな……っ私たちまだ、付き合い始めたばかりで……」
……は!!?
「つつつ、付き合い……始めた!?」
「ああ。たった今、付き合う事に決めた」
え、ちょ、お前ら!!
俺の事好きだったんじゃねーーの!?
ってかトイレでナニする気!?
「俺の気持ちをこれほど深く理解してくれる女性に初めて会った。太郎にフラれた上志を見ていたら、たまらなくなってしまった」
いや、どっちかっていうとフラれたの俺だけどね!?
ってか本当に両刀かよ、ヨシトシーーーーッ
「私は太郎も好きだったけど、武者小路くんも好きだったの!」
二人共かいっ!
まぁ俺も、ヨシトシとフー子、どっちも好きだけどな!!
「でもお前、男同志じゃねぇとどうこうって……っ」
「だって武者小路くんはバイセクシャルだから」
え、どういう理屈!?
俺だって今、バイセクシャルに目覚めた所だわ!!
「太郎、俺たちの友情に変わりはない。今まで通り仲良くやろう」
「そんな、ヨシトシ……」
お前、俺に友情なんて感じてたの!?
「私たちが幼馴染っていうのも変わらないからね!」
「ふ、フー子ぉ……」
二人は仲睦まじく腕を組んでイチャイチャしている。
マジか!!
どっからどう見ても、恋人同士だわ!!
「え、なになに、どうしたの?」
「山田が上志と武者小路にフラれたんだってよ!」
コソコソ、クスクス。
マジか。
俺はこれからこんな雰囲気のクラスで生きていかなきゃいけねーのか!
「俺の人生、真っ暗闇ーーーーッ!!」
ぐぁあああんと頭を机にぶつけて大流血!!
まさか、まさか、こんな事になるなんて……っ
「おい、大丈夫か? 山田」
そんな中、ただ一人手を差し伸べてくれたのは……
ラグビー部の、男賀 大輔。
「大輔……」
「ひでぇ傷だ。保健室まで連れて行ってやらぁ」
そういうと、大輔は俺を軽々とお姫様抱っこして、保健室に連れて行ってくれた。
「あ、あの……さんきゅ、大輔……」
「おお、良いってことよ!」
窓からキラキラと輝く朝日を浴びて、豪快に笑う大輔。
ここから新しい物語が、始まる……
かもしれない。
ちゃんちゃん!
おまけエピローグあります。