時間錯誤Ⅰ
アナクロニズムとは、
時代錯誤、時間のずれを表す単語である。
そして、トラジディーとは...
惨劇を表す言葉である。
物語は普通の高校生、「キョウスケ」の下校中のシーンから始まる。
「キョウスケー!」
聞きなれた声。
もう100回は聞いている。
俺の親友。いや、元と言うべきだった。
この小鳥のさえずるのどかな風景。
もう100回は見ている。
目の前で遊ぶ子ども達。
もう..100回は..みている。
俺とそいつは5階建ての同じマンションに住んでいる。
俺は4階。そいつは5階。
階段は無く、エレベーターでしか移動できない。
マンションに着いた。
エレベーターに乗った瞬間、厭な予感がした。
もう...飽きた。
エレベーターが4階を示す。
俺は降りるとどうなるかは知っていた。
俺が降りる。そいつは|◀▶」を笑顔で押していた。
こんな最期...俺は慣れている。
俺が降り、扉が閉まる。
おれはそいつのほうは見ない。
俺が目を閉じながら、さっと移動しようとした。
そうしようと思った瞬間...
「ドンッ」と嫌。違う、厭な音が、エレベーターから聞こえた。
もうこの音、100回は聞いただろう...
見ると、エレベーターのランプはどの階も示さず、
「異常」をさしていた。
1階でパニックが起きていた。
理由は分かっている。
その瞬間、視界がくらんだ...!
もうこの感覚。何度も経験している。
anachronism-それは時間錯誤、
時間のズレをあらわす言葉である...