彼の事情
※性描写・痛い表現 あります。
苦手な方はバックバック
彼女の体は傷だらけだ。
全部俺がつけた傷痕。
「ごめん……」
「いいよ」
虚ろな目をした彼女に許しを乞うのも、日課のようだ。
その細い首には幾重にも歯型が青く残り、手首には縛った場所が擦れて血が滲んでいる。
足からは外す事のない足枷が繋がり、彼女には逃げる術もない。
不安で不安で仕方なかった。
彼女を愛してると気づいてから、自分は狂ってしまったのかもしれない。
束縛が激しさを増しても彼女は何も言わなかった。
そのうち携帯を解約させ、さらに部屋へ閉じ込めた。
それでも安心出来なくて、彼女の足に枷を嵌めた。
段々と制御が効かなくなって、1つ縛る度に彼女の体は傷ついていく。
最初はキスマークだけだったのに。
「あっ……う」
彼女の傷痕を舐め、噛み付く。
そんなことも気づいていなかった。
「───ッ!!」
彼女を激しく揺さ振り、止まない衝動を吐き出してぶつけ続ける。
彼女が気を失っても、ドロドロに犯し尽くし、自分も倒れるようにベッドへ突っ伏すると、彼女の細い手が頭を撫でた。
その優しい手を掴んで口づけると、微かに鉄の匂いが口内に広がる。
血が滲むそこを舐めて顔を上げると、細首にクッキリと絞めた跡が残っていた。
もう、だめだ。
これ以上は、きっと彼女を殺めてしまう。
いつかこうなると分かっていた。彼女の足枷を外し、抱きしめる。
「どうしたの?」
「逃げて、きっと俺は君を殺してしまう」
「そう」
彼女は逃げることなく俺をあやし続ける。
優しく慈しむように撫で抱え、キスをくれた。
「でも、貴方が愛をくれるのは私だけでしょう?」
私しか愛せないでしょう?と、彼女は慈悲に満ちた笑みを浮かべて言った。




