2日目 親友1
すみません、数回に区切ります。
次回投稿は土曜です。
今までとは違う日だったとメルは考えていた。
今までは、朝何でもない無い夢から目を覚まし、朝食を食べ、家を出る。そうすると、毎日待っている陸斗を一瞥し、学校への歩みを進める。そして陸斗はベッタリと引っ付いてくる。学校に着けば、1人っきりの時間を過ごす事になる。陸斗が引っ付くが。
でも今日は違っていた。
朝に見た夢、昨日プレイしていたあの瞬間、ゴブリンの見せたあの顔が、死の感覚が、何度も何度もリプレイされる夢だった。恐ろしかったし途中に何度も胸糞悪くなってトイレに起きた。でもまた寝るとあの夢を見る。よく眠れなかった。
家を出ると陸斗が居なかった。とうとう見捨てられたと思った。いつも俺は陸斗を無視していたのに、陸斗は諦めず、絶えず俺に話しかけてくれていた。俺はそれが嬉しかった。でも今日はなんて言うのかな、
辛い気持ちがこみ上げてくる。胸に、心に穴が、ポッカリと空いてしまったかのように。
そしてそんな気持ちと「また1人っきりの時間を過ごす事になる。いや、コレからはずっと1人なんだ」っていう悲しい想いを胸に止め、学校の門をくぐっていた。
その日、メルは一人ではなかった。でも陸斗は近くに居なかった。
「ふぅ」
メルは息を吐きながらベッドに腰を下ろす。
今になって自分が陸斗に守られていたことに気付かされた。そして陸斗が風邪で休んでいた、と知った時には安堵した気持ちがメルの心に広まっていた。
もう少しで約束の時間だ。急いでログインしなければ、と思考を切り替えログイン作業に入るメルであった。
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一言で言おう
僕はハマった。ハマってしまった!
やはり、リアルな感覚はもちろんのこと、ココまで敵が表情を変えながら戦う姿に感動を覚えてしまう。
また1匹殺した。
楽しい、楽し過ぎて時間を忘れてしまう。メル探しの合間の戦闘練習だと、頭の中ではわかっているのだが、この何とも言えぬ高揚感に僕はただただ、胸を踊らせるのであった。
どれくらいやっていただろうか?
ゲーム内時計を見やると「13:42」となっている。寝るのも勉強も、飯も登校すらも忘れて、ずっとログインしていたようだ。
少しだけだが頭が痛い。
この時の僕はメルのことを忘れていた。この時間からでも学校に行っていれば、また未来は変化していただろうに。
夕方まで睡眠を取り、遅めの昼食と早めの夕食を一緒に取る。
はぁ、明後日から夏休みか......。ずっとこんな感じの生活を送ることになるのかな......?
そんな事を考えつつ、僕はログインする。
ログインした事を後悔するとは知らずに
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『フレンドメッセージが1件有ります』
クロさんからパーティー戦闘をしないか?という提案だ。まあ、昨日断ってしまったし、行ってみるだけ行ってみようかな。
あと、もう1人男性プレイヤーが同伴するようだ。
クロさんと僕のレベル差は8だ。僕もビックリだ。気付いたら僕はLv.13となっていた。昼頃にログアウトする時、見るのを忘れていた。
場所は、西の門からすぐの平原だ。2分も有れば着く感じだ。
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「なんで、お前がいるんだ!
巫山戯るな!風で休んだんだから寝込んでろよ!馬鹿野郎!」
目的地に着くと僕は罵声を浴びせられた。
この声の主は、このゲームをやる理由であり。僕がずっと探していた人物。
どうして、僕は怒られてるんだ?
というが、風邪? ああ、母さんが学校に連絡してくれたのか。そして多分、メルも僕の事を心配してくれている。嬉しいな。
あ、自分の耳がピコピコ動く感覚が伝わって来る。
「アハハハハ、ごめんごめん、メルには本当のこと教えるよ。
昨日から、このゲームにハマっちゃってさ〜。ログアウトするの忘れてひたすらやってたら、こうなっちゃってた。
アハハハ〜」
あれ?
メルが怒ってる?どうして?
「馬鹿野郎!お前なんて本当に消えちまえばいいんだ!ふざけんじゃねぇよ!」
「えっ、あっ、ちょ、待ってよ!メルセル君!」
クロさんが叫ぶも、返事はなく。メルの背中が遠のいて行く。どうして?
…………あっ!僕は馬鹿だ。
僕はあの時のように、メルに何もしてあげられなかった。
「何してるの!早く探さなきゃ!」
お読み下さりありがとうございます!
「人ならざる者の英雄譚」の方もよろしくお願いします!




