人物紹介 その二
人物紹介です。
この人物紹介は前回の世界における出来事を記しています。
あまり内容に変更のないキャラは、前回不死王編で行った人物紹介と説明が全く同じです。
ヨウ・トウドウ。
この物語の主人公。ムーア領領主。
種族、人間。
異世界からの転移でこの世界へやってくる。スキルを駆使し領主に成り上がり、クレーメンスを退けたことによりその名声を確固たるものにする。多くの魔王たちの死にかかわり、最後はイルマとともにイルマ型人造魔王に殺された。
防具はスキル〈精霊の加護〉付の亜ミスリルの鎧。武器は呪いを解呪された〈降魔の剣〉と、既知のあらゆる攻撃系スキルを使うことができる精霊剣。
主に以下のスキルを持つ。
〈モテない〉、女性・雌、植物の雌性生殖器官に有害な影響を与える。
〈大精霊の加護〉、精霊に愛されるスキル。攻守ともに優れる。
〈叡智の魔眼〉、魔具を鑑定することができる。
イルマ
赤の力王と呼ばれる魔王。 赤い髪を持つ少女。
種族、神人。
最古にして最強の魔王。勇者イルデブランド時代にオリビアを退けた唯一の存在。
女性蔑視で知られる魔王であったが、その実自らは女性であった。力を重視するがゆえに性別を隠していた。
公爵令嬢としてムーア領に滞在していた。
ヨウとともにイルマ型人造魔王に殺され死亡。
マティアス
老執事風の魔族。魔王イルマの副官。
種族、ヒューマンデビル。
イルマに忠誠を誓う魔族。その戦闘レベルは弱小の魔王にすら匹敵する。
スキルにより空気をその手に絡ませ、その手刀を武器として戦う。
たびたび『ヨウを殺すべきだった』と漏らす。彼に対してはそれとなく冷たい。
アレックス将軍の脚を切り、その後は公爵令嬢に仕える執事としてムーア領に滞在。今代のオリビアの強さを危惧し、魔王カルステンに同盟を持ちかける。しかし裏切った彼の不意打ちを食らい、死亡。
カルステン
橙の叡智王と呼ばれる魔王。学者のような姿をしている。
種族、人間。
魔具鑑定スキル――〈叡智の魔眼〉を持ち、多くの魔具を保持する特別な魔王。その戦闘レベル自体は人間とさほど変わらないものの、イルマに次ぐ存在として一目置かれている。
オリビアと一緒にムーア領入りし、彼女をヨウに預けた。ヨウによって一旦倒されるが、それは策略であった。肉体転移によってヨウの体を乗っ取った彼ではあるが、最後は仮面の男によって殺されてしまう。
100年前、カルステンはアースバイン皇帝とともに疑似魔法〈グラファイト〉を発動させた。その目的はかつて誤って殺してしまったお姉さんを再び生き返らせるため。勝利条件はオリビアが7魔王を殺すこと。そのため世界中で暗躍し、オリビアに魔王を殺させる段取りをしていた。
彼はヨウの世界のカルステンであり、他の並行世界のカルステンとは情報を共有していない。
オリビア
魔王の天敵。
種族不明。
水色の髪を持つ美少女。その行動は12、13歳という見た目以上に幼く見える。
この世界で定期的に生まれるとされる魔王の天敵『オリビア』。その今の代が彼女である。
魔王殺害時は言動、運動能力に変化が見られ、その時のことを彼女は覚えてない。
ヨウが好き。
クレーメンス・エグムント・バルトメウス・クラーラは彼女により殺された。最後にイルマを襲おうとするが、復讐に燃えるヨウによって殺された。
オリビア(先代)
カルステンの時代に存在したオリビア。
双龍牙の異名を持つ冒険者。イルデブランドはその恋人だった。
カルステンからはお姉さんと呼ばれている。イルデブランドのために彼に優しく接する。恋人を心身ともに強く育てたいという気持ちは純粋なものだった。
しかしそれはカルステンにとって裏切り以外の何物でもなかった。逆上したカルステンに首を絞められて殺される。
イルデブランド
遥か昔に6体の魔王を倒したと言われる伝説の勇者。
その正体はただの気弱な冒険者。魔王どころか一般の魔物ですら倒せないほどの人間だった。
お姉さんの恋人、という立ち位置であったため、カルステンに肉体を奪われる。
現代においてはオリビアやカルステンの業績との混同が起こり、魔族に虐げられる人間の希望も相まって勇者化するに至った。
パウル
黄の閃光王と呼ばれる魔王。
アストレア諸国、魔族国家ラーミル王国の国王。
魔王の天敵オリビアに怯え、ヨウやクラーラとともに彼女と戦うことになる。
奮戦し一度はオリビアを倒したのだが、カルステンの姦計に陥れられる。出口の見えないループを繰り返しているうちに心が疲弊し、ついにはクラーラを犠牲にしてループ脱出を達成してしまった。
怒り狂ったヨウに首を跳ねられ死亡。
ディートリッヒ
種族、人間。
閃光王パウルと熾烈な争いを繰り広げる人間国家、オルガ王国の国王。長年の戦争によりパウル、ひいては魔族への恨みが強い。
大昔からこの国に伝わるオリビアの封印術を所持しているが、そのせいでカルステンに捕らわれてしまった。
最後はカルステンによって殺されてしまう。
クラーラ
緑の森林王と呼ばれる魔王。
種族、スピリット。
博愛主義の美少女。実力はそれなりにあるものの、クレーメンスには及ばないためオリビアの存在に恐怖を覚える。パウル、ヨウと協力しオリビアを倒そうとするものの、カルステンの姦計に嵌り失敗。結果、オリビアに殺されてしまう。
ヨウが好き。この感情は仮面の男が立てた『クラーラフラグ』の影響が強い。
バルトメウス
メリーズ商会会長にして、水の不死王と呼ばれる魔王。
種族、スケルトン。
数多のアンデッドたちを配下におく魔王。人間世界ではメリーズ商会会長として広く知られている。
魔王であるがその戦闘能力はさして高くなく、そのため対オリビア戦の切り札を欲していた。総力でオリビアを倒そうとするが失敗し、彼女に殺されてしまう。
ダニエル
バルトメウスの配下。メリーズ商会所属。
種族、ゴースト。
バルトメウス会長第一の配下。戦闘レベルは人間とさほど変わらない。
会長のことを尊敬しており、しばし彼の教えを部下に諭す。お仕事大好き。
ヨウの領地では財政商業部門で敏腕を振るう。
シャリー
アースバイン帝国筆頭錬金術師。クレアの妹。 種族、ゴースト。
かつて隆盛を誇ったアースバイン帝国の重鎮。バルトメウスの〈水蘇生陣〉により復活を果たした。
人造魔王の生成、兵士たちの武器である〈精霊剣〉の製造など、帝国の根幹を成す兵器の開発、運用に携わっていた。
バルトメウス対し反乱を起こす。その錬金術の力で彼やグルガンド王国を圧倒し、恐怖に陥れた。
しかしヨウの〈モテない〉スキルに当てられて敗北。さらには自らがアースバイン皇帝に殺されたことを思い出し、絶望により魂が壊れ死亡。
クレア
アースバイン帝国大将軍。シャリーの姉。
種族、ゴースト。
かつて隆盛を誇ったアースバイン帝国の重鎮。金髪ポニーテールの明るい女の子。
生前は強力な魔王配下を幾人も打ち破り、その名を馳せた。妹と同じくゴーストとして復活を果たした。
シャリーの死後はヨウの領地へと身を寄せ、騎士として周辺の治安維持に大きく貢献した。
エグムント
青の破壊王と呼ばれる魔王。
種族、力鬼
イルマと並び称されるほどの力を持つ武闘派の魔王。
男が好き。特にヨウがお気に入りだった様子。
類まれな力でオリビアを数十回殺すものの、その再生能力を覆すことができず、力尽き倒されてしまった。
仮面の男
エグムント配下の男。謎の言葉をヨウに残し立ち去る。
エグムント曰く、かなり強いらしい。
その正体は〈グラファイト〉における創世神のパートナー。並行世界で死んだ『前回のヨウ』。
彼は前回の世界で魔王エグムントから青糸を受け取り、この世界にやってきた。目的は死んでしまったエグムントを生き返らせるため。
当初は創世神の指示に従いヨウを助けていた。クラーラフラグもその一環である。
しかしこの世界でもエグムントがオリビアに殺されてしまったことで絶望。彼はエグムントの力を信じていた。信じたからこそ、死ぬ可能性がある破壊王を一人で戦わせた。だが現実は無情、エグムントだけではオリビアに勝てなかったのだ。
以後はヨウを影ながら助けることを止め、自分一人の力で〈グラファイト〉を制しようと奮戦する。ヨウもイルマも知らぬ僻地で、人造魔王と激戦を繰り広げる。
だがやはり力及ばず、死亡。その魂は創世神の善意により、地球へと戻った。
クレーメンス
先代グルガンド国王にして、紫の謀略王と呼ばれる魔王。
種族、ダークマター。
先々代グルガンド国王時代に、王家の傍流と称して潜入。先々代王崩御の際に、王位継承戦内戦を魔族の力で乗り越え、国王になる。
イルマの様子を窺いながらも、モーガンを通し王国を操り、王国領を自らの支配地に切り崩していく予定であった。
しかし対立するヨウの降魔の剣によって負傷。さらにはその後にオリビアとの交戦状態に陥り、死亡。
モーガン
クレーメンスの配下。幹部級。
種族、妖猫。
対魔族戦争派筆頭、王国の公爵として君臨する猫背の男。その正体はクレーメンス配下の魔族だった。
グルガンド王国からの身代金を資金として、自らの派閥――対魔族戦争推進派を王国内に形成。王国の主流派として実質的に支配していた。
しかし、彼はクレーメンスの身代わりに過ぎなかった。ヨウやアレックスにその正体を知られ戦闘へ。最後はクレーメンスに見限られ、魔法によって殺された。
モール
クレーメンスの配下。幹部級。
種族、ヴァンパイア。
降魔の剣の呪いを発動させるため、クレーメンスによってヨウのいるムーア領(イルマ領)へと派遣された。
猜疑心の強いクレーメンスの判断により、降魔の剣に関することは知らされていなかった。イルマによって殺されてしまう。
アレックス
グルガンド現国王。
先代国王にして魔王たるクレーメンスによって貧民街から拾い上げられる。
長らく王国の将軍として国を支えてきたが、クレーメンス逃亡による空位を受け、国王として君臨することとなった。
自分では国王の器でないと思っており、次世代の英雄であるヨウが指導者にふさわしいと考えていた。
サイモン
ムーア領騎士団団長。秘書的な役割もこなす。
かつてヨウに命を助けられた過去を持つ男。
ヨウが作ったスキル付きの粗悪武具を身に着け、幾多の領地を制圧した。
コーニーリアス
グルガンド王国宰相。
モーガンによって政界から退けられていたが、クレーメンスの逃亡により復帰。アレックス将軍を国王として据えた。
自らの野心を出すことなく、指導者として適切な国王推薦を行った彼の手腕は高く評価されている。
リーザ
西方大国女王。
大国の指揮する才女。世界会議ではヨウの存在を終始疑問視していた。
ローザリンデ
ロンバルディア神聖王国、大巫女。
ヨウのことを崇拝する少女。『聖女オリビアの生まれ変わり』と噂される。
アースバイン
100年前にこの世界に存在した、アースバイン帝国の皇帝。
〈グラファイト〉の参加者にして勝利者。パートナーはロルムス・エヴァンス・イルマ型人造魔王。
100年前、カルステンの協力を経て疑似魔法〈グラファイト〉を起動する。生贄となったアースバイン帝国の民は死に絶え、皇帝は世界からその身を消した。
以後は創世神と同等の世界観察能力を持ちながら、並行世界の出来事を学習していった。
クレア、シャリーは彼の配下。シャリーの好意は知っていて、本人も悪くは思っていない。しかし『神になりたい』という己の野望を優先させるため、彼女を殺すことに躊躇いはなかった。
創世神オルフェウス
種族、神。
〈グラファイト〉の参加者にして敗北者。パートナーは異世界人藤堂陽。
異世界〈アルカンシェル〉の神。世界を生み出したすべての父。
体感時間で遥か遠い昔、アースバインとカルステンによって〈グラファイト〉という自らの存続を賭けた戦いに巻き込まれる。並行世界の知識を蓄積し、フローチャートや水晶の記録を集めるなど努力は怠らなかった。
終盤は魔王イルマをどうすれば倒せるかという難題に直面した。最強の藤堂陽を育てるため、時には深く干渉し、時には彼の自由にさせ、暗中模索であがき続けた。
中でも仮面の男は歴代最強の藤堂陽であり、今度こそ勝てるのではないかという希望を抱いた。しかし結果は無残にも敗北。神はアースバインとなりオルフェウスはただの人となった。
未だ深い絶望の中にいる彼は、今日も部屋の中で代わり映えのしない天井を眺めている。
ここでグラファイト編は終了になります。
章題のグラファイトはここで終わりですが、ここから終わりまで大区分ではずっとグラファイト編です。
次回はいよいよ並行世界でヨウが動きます。