森の奥
私はいつからこの森にいるのか
あれは木洩れ日の降り注ぐ季節のこと
風に舞う花びらを追ううちに迷い込んだまま
時は止まり
落ち葉のように、一人きりの時間が積み重なっていった
心を寄せるものといえば、置き去りにされた古いピアノだけで
耳を澄ませても聴こえてくるのは微かなせせらぎの音ばかり
それにしても
今夜はとても月がきれいだ
蒼く照らし出されたピアノを弾けば
氷のような月の面から金色の雫がこぼれ落ちてくる
あまりの美しさに見とれているうちに
このまま絵画の世界に閉じ込められてしまう気がして
私は、怖くなりひび割れた杯で、ひたすらに月の涙を受け止め続けた
そうしているうちに
酔うほどの甘美な香りに眠気を覚え
ぐるぐる廻りだす空の中心で、太陽と月が何万回も入れ替わり
目が覚めた頃には小鳥がさえずる朝になっていた。
またいつもの幻だ
ああ私はあとどれくらい、この深い森で終わらない祈りを捧げ
儚い夢を見続けていくのだろう
貴重なお時間をいただき、ありがとうございましたo(^-^)o




