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小話1

基本的に短い、ちょっとしたお話です。

思いついたら時にまた、更新していきたいと思います。

◆黒歴史(千春と彰)

 ※会話文のみ


「アキ、ひとつ言っておくことがある」

「なんだよ改まって」

「さくを泣かせたら承知しない」

「そんなの分かってるよ……わざわざ姉貴に言われなくても」

「もし泣かせたら、その時は……」

「その時は?」

「お前の前世の中二ノートの全貌をばらしてやる」

「……はあ!? ちょっ」

「『我が血塗られし邪神の力、今こそ封印の時から目覚めよ』とか、『ゆけ、聖なる破邪の裁きを受けろ! 終末の審判ラグナロク・ジャッジメント!』 とか、いくらでもあるわよ」

「ちょ、やめてくれ! 今度は精神的にも前世の俺に殺される……というかなんで俺でも覚えてないようなことまで覚えてるんだ!」

「個人的に二つ名を書き溜めたやつが一番面白かった。……お、話をしていればあそこにさくが。おーい」

「お願いだから、やめろ!」







◆名前


 千春は二宮君のことをアキと呼んでいる。まどかは彰君と呼んでいる。

 それに引き替え私は、未だに苗字呼びだ。

 付き合ってしばらく経つのに、これでは一向に進展した気がしない。

 二宮君相手では待っていても仕方がないことは、過去の経験から分かり切っている。だから、思い切って呼んでみることにした。


「彰君!」


 と、誰もいない所で練習。だんだん慣れてきた所で電話してみた。


「もしもし、遠野さん?」

「う、うん」


 心臓がバクバクと音を立てている。練習の時はあれだけするっと言えたのに。

 高校受験で初めて面接官の前に立った時のことを思い出した。


「あ……あ、」

「ん?」

「あ、明日晴れるんだって!」


 言葉が出ずに不審に思われているだろうと感じ、慌てて言葉を続けた。

 私の馬鹿。二文字目すら言えなかった……。


「そうみたいだな、遠野さんが暇ならどっか出かけようか」

「いいの!?」

「勿論。どこがいい?」


 約束を取り付けた時には、もう当初の目的などすっかり忘れていた。

 まあ、また今度でいいか。



(咲耶と彰はしばらくはこんな感じ)







◆誤解


「千春、正直に言いなさい。付き合ってる人がいるんだね」

「ぶはっ」


 ジュース吹いた。

 しかし、いつばれたんだろうか。おじさんの目がマジで怖い。


「千春」

「……はい。そうです」

「そうか。……ちゃんと節度を持って交際するんだぞ」


 あれ、怒られない?


「あの、いいの?」

「お前も大学生だからな、好きな人が出来ることもあるだろう。見た所穏やかそうで中々性格の良さそうな子じゃないか」

「……ん?」

「あまりぱっとはしないが、堅実そうな人でよかったよ」


 なんか絶対に勘違いしてないか?


「おじさん、どこで見たの?」

「先週の日曜日、本屋で仲良さそうに並んでたのを見たんだ」


 それって、アキのことじゃん! さくが風邪を引いたっていうから二人でお見舞いに本を選んでいた時のことか!


「違う違う、あいつは友達の彼氏で……」

「友達の、彼氏? つまり二股ってことか?」


 あっ、やばい。


「あんな大人しそうな顔して、二股。しかも友達の彼氏ってことは、うちの、千春が遊ばれて」

「おじさん、違うから!」

「千春、何も言わなくてもいい。苦しかったんだな。おじさんが成敗してやるから、安心するんだ」

「いやだから……」


 おじさんは私の言葉を聞かずに、1人で納得して家を飛び出していった。

 私は慌てて電話を掛ける。


「姉貴? どうした」

「今すぐ逃げろ!」



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