8話 クランvsゲスト
「そーゆーことで、今日はロリコン集団と親善試合します!これは決定事項なので意義は認めないぞ!」
現在、金曜日の定期テスト最終日の放課後、先日のクラン《ロリの聖域を目指す者達》との出来事の説明後、他のメンバーの力を見たいと言っていた神のロリコンさん略して神ロリさんの意見の元、計画されたクラン戦のことを説明した俺だった。
「はーい、質問でーす。」
「百合ちゃんどうぞ!」
「なんで教えてくれなかったんですか?私昨日武器売っちゃいましたぁ!」
「百合ちゃん?衝動買いでもしたのかもしれないけど、衝動買いだったら気をつけなよ?教えてくれなかったってより、みんなにテストに集中してもらう必要があったからね。石原の野郎が変ないいががりをつけてくるかもしれないし、またバイクで吹っ飛ばされる気がするので、いろいろ考えて言った結果でーす。」
バイクで吹っ飛ばされたのところで海成が超絶分かりやすい反応を見せた。
「海成?俺がバイクに吹っ飛ばされたのがそんなに笑えるか?」
「いやぁ…あの…ちょっと聞いてよぉ。」
やけに海成が弱気だった。
「俺…日曜日にナンパしに出掛けたんだけどね?そこでさぁ」
どうやら海成はナンパするほど日曜日が暇だったらしい。赤点とって先生に怒られても知らね。
「誰も釣れなくてね?諦めて家でゲームやろうと思って帰ったさ?」
確かに俺達もゲームやってたけどこいつそんなに頭よかったか?こいつのテストの点笑ってやろ。
「その途中に、いかにも怪しいグラサン黒服マスク男にあとをつけられて、」
どうやら真面目な話のようだ。
「あとをつけられてるのか確認しようと思って、走ったら追っかけてきてよぉ。そこをバイクに乗った兄貴に助けられたんだよ。」
「お前も気をつけな?石原の野郎が俺達の部活のメンバーにてを出してきてるんだよ。てことは後藤くんも?」
「僕はなんとも?」
「一応注意しておいてな。えっと、親善試合の話だな。今日の十時からな。今から五時までに装備のセッティング。五時から一時間クランvsゲスト戦やって解散。こんなプランでいくぞ。」
陽毬が無言でもじもじと手を挙げた。
「質問か?」
「はひぃ。対戦形式はなんでふか?」
二回も噛んでいるその光景はほのぼのとしていた。
「対戦形式は、フラッグ戦でもちろん五対五。他は特にはないかな?ほかに質問は?」
「一ノ瀬君?いいかな?」
「後藤くんどうぞ。」
「クラン名何にしたの?」
現在時刻は五時、ゲスト待ちだ。
「それにしても、ゲー研一同はないよなぁ…」
「うるせぇ。」
我らゲー研の記念すべきクラン名はそのままのゲー研一同になった。みんなご不満のようた。
「一ノ瀬先輩?敵集まりましたよ。」
「んじゃスタート!俺達の全国への戦いはここからだぁ!」
形式はフラッグ戦。フラッグ戦のルールは、お互いの陣地にあるフラッグを回収し、味方陣地に持ち込めば1P。途中で死んだりした場合は十秒後に味方陣地にリスポーンされる。その場合フラッグは、その場に留まる。先に2Pとった方の勝利となる。攻守の切り替えが勝利へのポイントとなる。敵メンバーには、特に有名プレイヤーなどはいなかった。俺はまだ、このゲームの本質を今一理解できていないという自覚があるため、指揮は後藤くんに任せている。
「漆原君と僕でフラッグを守ります。遠藤さんを先頭に葉月さんが後方支援と指示。一ノ瀬君は味方の退路の確保と味方陣地に来る敵との戦闘。こんなところかな?」
場所は廃棄軍隊基地、このマップの特徴は地下通路、地上、飛行していける足場と、左右真ん中に分かれる通路がある、攻めの展開がしやすいマップだ。
「後藤くん?最初の一回目の攻撃は様子見ないか?敵はお互いに話していることはないわけだし。」
「それなら最初の攻撃が来てから剣士三人で攻撃しに行こうか。」
「いや、敵の攻撃と入れ違いにいこう。相手のリスポーン前にフラッグを回収すれば余裕だろ?」
「そうだね。やっぱり一ノ瀬君が指揮とった方が良くない?」
バトル中になった時を考えよう。おそらくこのゲームの中で最も集中力武器を使用しながらの指揮なんてなぁ…
「いや、後藤くんでいい。」
そんな現実の会話をしていると、パソコンの方から『ピュチュ』といった音が鳴った。
「さすが陽毬ぃ!お仕事がはやぃ!」
「一ノ瀬先輩も後藤先輩も敵来ましたよ?」
画面を見ると、陽毬のアバターがSRを構えていた。その延長線上には、敵と思われる死体があった。
『仕事はやぁ。』
男三人が綺麗にハモった。
「そうだ!お前らに俺の実力を見せるべく、俺一人で特攻してきたるぅ!完璧超人の名前がだてじゃないってことを証明してやる!待ってろよ!!」
ここまでカッコよくきめてしまったからには真正面から堂々と行ってやることにした。最短ルートで敵陣地にたどり着いた。臆することなくフラッグを守っているやつに《F1F4F1》『グレネードバレット』を炸裂させた。いきなりのド派手な攻撃に続き、飛行しながら接近し《F3F2F4》『ドラゴンクロー』で敵の背後に周りながら攻撃をする。極めつけに《F1F4F2》『インフィニティ・レイン』を放った。
「ボク前も思ったんですけど、何でクールタイムもなくそんな殺人攻撃を繰り出せるんですか?」
「俺も知らないが?」
「一ノ瀬君は、HGしか装備してないからね。装備武器が一つの場合はスキルのクールタイムが半分になるんだ。プラスHGにそういうpassiveスキルがついているんだと思う。ゴルもんさんも短剣一つにして無限コンボが出来るわけだし。爆弾は武器じゃなくてアイテムだから問題ないし。そもそもこのゲーム自体のクールタイムが長くて15秒前後だからね。まぁ例外はあるけど。」
「後藤くんよ。フラッグ回収完了。帰投するから援護いらない。」
「一ノ瀬先輩?普通に矛盾してますよ?」
そんなこんなで、二個目のフラッグも無事回収し、圧勝した。
「クラン戦やりたーい。俺暇すぎる。第一俺が盾役ってのが気に食わねぇ。」
「漆原先輩、三次職のナイトになれば銃の攻撃ほぼ食らわないんで強いですよ?」
「そっかー。まぁいいけど。あれ?チャットがきた。」
「海成君よ。読み上げなさい。」
「ステイルさんから。クランvsゲストをやっている方ですか?もしよければクラン戦やりませんかだってぇえぇー!」
どうやら海成の願いは届いたらしい。
「葉月さん。ステイルって…」
「ですね。パラレルですね。ってえぇ!」
珍しく陽毬が唸った。そうとうな連中なんだろう。
「陽毬。パラレルって?」
「百合ちゃん。それはね、メンバーの闇の電撃的野郎さんをはじめとしたとんでもないクランでね、前回のクラン大会では三位だったんだよぉ?でもなんでだろう?」
「海成。とりあえずOKしろ。」
「あいよっ!」
海成がキーボドをカタカタ鳴らして返信する。
「こちらが部屋をたてるから待っててだと。」
「了解。んで三位ってくらいだから、専用武器持ちがいるのか?」
その質問に返答したのは後藤くんだった。
「ご名答。種類はスナイパーライフル。武器名はレールガン。」
「レールガンって電磁誘導を利用して物体を加速して打ち出すあれか?」
「多分ね。原理はよくわからないけど、直撃したら即死するんだ。その代わりクールタイムが30秒。」
「やべぇな。でも、実際のレールガンって重いだろ?そこも考慮されてんのか?」
「走れない。ほぼ固定砲台。レールが5m近くあるから見つかりやすいとか、欠点あるけど、かわりにメンバー四人のナイトがガチガチの守りをしてるんだ。」
「見事な連携やー。まぁ行くかぁ。海成?招待は?」
「今部屋に入ったから皆を招待するね。」
「よぉし。レールガンぶったおしてここいらで知名度一気に上げちゃいましょう!」
『おぉー!』
ゲー研一同vsパラレルの戦いが始まる。