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東の悪魔と西の賢者  作者: アベリアス
神白島編
5/10

第5話

「どういうことですか?」

「この記事では、残った住人は本土へ渡ったとあり、存在していたはずです」

「海流で沈んだとしても、元神白島とか神白島跡とか、表記のしようがありますよね?」

「はい。これが記事にある秘密厳守だとすれば、政府は島の存在を消したことになります」

「何だか怖いですね」

「ただ、知り合いに民俗学を専攻する若者がいましてね。神白島について調査を続けて頂いてます」

「そうなんですね」

「しかし、久慈原さんのおかげで、僅かですが前進しました」

「いえ。でも、どうしてそこまで調査を?」

「この記事を書いたのは、私の父親でして。当時は貧しく、その日を暮らすのも困難でした」


 何十年も貧しい生活が続いた池永の父は、突然、大金が入る目星がついたと創成新聞社を立ち上げた。

 しかし、創刊号が世に出ることはなかった。


「関連性があるにしても、無いにしても、それが気になりましてね」


 リホはペットボトルに手を伸ばし、キャップを開けると一口飲み込んだ。


 苦味のある緑茶だ。

 それが売りなのだろう。


「確かに、気になりますね」

「久慈原さん。もし良ければですが、この紙面をお借りしたいのですが」

「もちろんです。正直、私もこんなものを残されても。と思っていたので」

「ありがとうございます。ちなみに、他に何か残してないですか?」

「あるといえば、この赤い宝石ですね……」


 ネックレスにして、首にかけていた赤い宝石を池永に見せた。

 なにか言いたげな表情を見せた池永だったが、すぐに表情を戻す。


「そうですか。では、何かあれば、ご報告致します」


 スーツの内ポケットから名刺を取り出し、両手で支えながら目の前に差し出しすと、久慈原は丁寧に名刺を受け取った。


 正面玄関口まで見送られたリホは、文化センターを後にする。

 電車に乗り込み、家路をたどると中、ふっとあることに気づいた。


 どうして祖父は、あの紙面を持っていたのだろう。

 多分、池永さんのお父さんから貰ったと思うけど。


 少し気になったが、いまから戻るのも億劫だと感じた久慈原は、そのまま帰路へと着いた。

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