第六話 筋肉は全てを解決する
あんまなんも考えずにやったんで、おかしいとことかあるかも。指摘してもいいよ。
「もう少しで体力テストだね。加藤君。」
「ん?」
1人で昼ごはんを食べていると、陸人が俺に話しかけてきた。
ていうかなんだ体力テストって。俺が行っていた小学校にはそんなものなかったが……
「その体力テストって何やんの?」
「えぇ!?知らないの?仕方ないな。教えてあげるよ。」
そう言って陸人は解説を始めた。
「体力テストは10点満点の競技が5種目あって、合計50点満点で競う物だよ。競技は50メートル走、立ち幅跳び、ハンドボール投げ、反復横跳び、シャトルランだよ。まあ加藤君は3点取れればいいほうじゃない?」
こいつ……素で言ってるのか?
「あと、同級生に"辻 逞"っていう運動神経が人間離れした人がいるみたい。見てみたいよね〜」
「なんだって?そんなに凄いのか?」
「うん。少なくとも加藤君の10…いや20倍はすごいと思うよ。」
…この言葉が俺の対抗心を燃やした。
(徹底的に潰してやるよ!)
「おい!今日授業終わったら一緒に筋トレだ!」
「え!?なんで僕も!?」
そうして俺は陸人と一緒に辻に勝つため、毎日筋トレやイメトレを欠かさず行った。
◆◇
[体力テスト前日]
俺らは明日の体力テストに向けて体育館にて最後の追い込みをしていた。
「ハァハァハァハァ」
「ハァハァハァハァ」
余計な音は聞こえない。極限の集中力。
聞こえるのは己の心臓の鼓動と呼吸音のみ。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
そんな状態を邪魔するかのように体育館の扉が乱暴に叩かれた。
「うるっせえな!誰だよ!」
そう俺が叫ぶと扉が開けられ、ムキムキの大男が現れた。身長は180cm程だろうか。中学1年生の平均を大きく超えている。するとその大男が大きな声で言った。
「ン〜〜〜君かなァ〜?僕に勝とうとしてるって人はァ〜〜無駄だからァ〜やめた方がいいよォ〜〜」
なんだこいつ…初対面で失礼な奴だな。そう俺が思って文句を言おうとした瞬間、
「加藤君。こいつが"辻 逞"だよ。」
陸斗が耳打ちしてきた。
こいつか……確かに素晴らしい肉体をしている。だがな、
「体力テストに必要なのは肉体だけじゃない。
情報網、知能、財力、洞察力、行動力などの全ての力が必要なんだよ。お前はそこを履き違えている。勝つのは俺らだ。」
そう俺が言い放つと、辻は驚いたような顔をして、
「ふぅ〜ん。まァ〜口だけじゃないことをォ 〜
祈るよォ〜」
と言い、すたすたと帰っていった。
残された俺らは、
「「やるか……」」
勝利のためにふたたび筋トレを始めた。
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