第三話 卑怯者の闘い
頑張ったから見ようね
成績勝負は小学生の時ずっとしていたが、今回の相手である"綿 陸人"は相当の手練だろう。
ここは俺も全力を使って臨むしかないな。
[試験当日]
「やあ、気分はどうだい?」
自分の席に座った俺は、早速綿に話しかけられた。気持ち悪い目付きだな。
「退屈だよ。どうせ勝負にならないだろうし。」
そう俺が煽ると綿はわなわなと震えながら、
「こ、後悔させてやるぞ!!!」
と言い放ち、自分の席へ戻って行った。
これが俺の1つ目の策略だ。
人間は感情が昂っている時、集中出来なくな
る。プライドが高い綿には効果抜群だろう。今の綿は加藤殺すとしか考えられなくなっているはずだ。
さて、俺もテスト前までは勉強するかな。
◆◇
「テスト開始!」
試験官からの合図があった。
このテストは5教科、国語、数学、社会、理科、英語の順で行われ、1つにつき50分、100点満点だ。俺はこれを1教科でも綿の点数を超えればいい。俺の得意科目は国語だが、普通の方法では、綿に勝つことはまず不可能だろう。
だから俺は普通ではない方法で綿に勝つ。
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
俺の出したボールペンのノック音が辺りに響く。
これが俺の2つ目の策略。
人間は集中している時、どこかから会話や音が聞こえてくると、その集中が途切れる。今の綿の集中力は限界なはずだ。
さらに3つ目。
俺は袖にスマホをしまっており、また無線イヤホンをつけている。
このスマホはこの学校の外にいる、小学校からの親友である"佐東雄也"と通話が繋がっているのだ。
そしてボールペンのノック音でモールス信号を作り、カンニングしているのである。
この3つの策略で、俺は綿に勝つ!
そこから俺は破竹の勢いで問題を解いていき、前半の問題である、物語文を終了させた。残り時間は30分。後半は随筆なのだが……
『カチカチカチカチカチ(すまん。無理だ。)』
佐東から連絡が来た。そう、佐東は随筆がやばいほど苦手なのだ。そのためここからは俺自身の実力でこのテストに望まなくてはならない。
ならない………
(まずい!分からねぇぞ!)
さすがは最高峰のテスト。やはりそう簡単に解かせる問題ばかりではないか。こんなことを考えている間にも時間は刻一刻とすぎている。
どうする加藤。
よくこんなんみたねふふふふふふふ