第二話 クズ現る
見てねー嘘です。
「ここが1-Zか?」
この西山中学校は成績順にAからZまでクラスが並んでおり、Zは1番上、つまり天才達が集まるクラスなのである。
(だいぶ遅くなっちゃったしなぁ。グループとか出来てたらどうしよ)
ほとんどの人間は群がらなければ、生きていけない。そのためここでグループに入れなければ、一生ぼっちで過ごさなければいけなくなるのだ。
(よし、自己紹介で一発かまして、陽キャグループに入るぞ!)
幼稚園、小学校の頃は一発ギャグで陽キャグループの仲間になれていた。そのため俺は、今回も大丈夫だろうと考えていたのだ。
甘かった。たかをくくっていた。
おれは教室と扉を勢いよく開け放って、大声で叫んだ。
「はい!ひょっこりはん!!」
そこには"無"があった。
だれも何も言わずに、こちらを冷えた目で見つめてきている。
ざわめきも起こらなかった。
「……………あ……はい…。」
俺はいたたまれなくなって、直ぐに自分の席に座った。
この日、俺のぼっちが確定した。
「あの……大丈夫?」
だが、そんなおれに手を差し伸べて来た人がいた。喋りかけられた方へ顔を向けると、そこには困ったような表情で、こちらをのぞきこんでいる男がいた。
(確か……綿 陸人だったか?)
俺は友達をたくさん作るためにクラスメイトの住所、プロフィール、顔、性格、ほくろの数を全て暗記していた。
(こいつは成績優秀、品行方正、一生童貞だったはず。)
「俺になんか用か?」
「いや…あまりにも惨めすぎて、見ていられなくなっちゃったんだ。」
「は?」
こいつの性格にクズを追加しておくことを、俺は誓った。すると綿は俺に挑戦的な目を向けながら、言った。
「早速だけど、僕と勝負しない?」
「え?なんの?」
「もちろん、成績でだよ。もうすぐ実力テストがあるでしょ。そこで僕にひとつでも点数が勝てたら君の勝ちだよ。」
「俺にメリットなくね?」
「じゃあ、君が勝ったら友達になってあげるよ。君さっきのでどうせ友達居ないでしょ?」
言い返せないが、癪だな…
よし、ここはこいつにぼろ勝ちして自分から友達になるのを断ってやる!
星欲しい干し柿美味しい