14 VS古代兵器
さあ、あとは古代文明が作り上げた魔像・プルートを倒せば、クジュラウスの野望は潰せるんじゃないかと思う。
その野望とやらが何なのかは知らないけれど、少なくとも魔王にはなるつもりはありそうだ。
しかし当然というかなんというか、プルートは自らによる攻撃で生じた爆発で、ダメージを受けた様子が無い。
つまりあれだけの爆発で駄目なら、私の「狐火」の熱は通用しないだろうということだ。
となると、私の火属性魔法攻撃はやるだけ無駄か。
じゃあ、水……は、今周囲が火だらけだから、あまり効果は期待できないな……。
では、地属性か。
「隕鉄トルネード投法!!」
私は魔法で生み出した鉄塊を、高速回転を加えつつ弾丸のように撃ちだした。
直撃すれば、分厚い鉄板だって撃ち抜く威力になっているはずだ……が、「ガイン」と、激しい衝突音を上げただけで、プルートの装甲には傷1つつかなかった。
わずかに姿勢を崩しただけだ。
なんという防御力……!?
こりゃ、物理攻撃も効果が薄いか……。
じゃあ、ロボにも有効とされる電撃魔法ならどうだ?
「アイコレダー!!」
私の手から迸った眩い電流が、プルートを包み込む。
だけど……あまり効いている感じがしないな……。
むしろ──、
「お!」
プルートが突進してきた。
巨体の割には、意外と速いな!?
だが、元々野生動物である私の素早さには、遠く及ばない。
回避は余裕──と思ったが──、
「うわっ!?」
すれ違い様に、プルートの拳が飛んできた。
ロケットパンチだと!?
格好いいな、おい!?
まあ、それも回避はできたけど、ロケットパンチは本体とワイヤーのようなもので繋がっているらしく、すぐに元へと戻った。
それでプルートの攻撃が止まったかと思いきや、再び目から光線を撃ち出す。
なぎ払うように光線が、地面に炸裂した。
当然、また大爆発が起こる訳だが、これはこの空洞が崩れるのも時間の問題では……?
まあ、そのままプルートと、その後継機と思われるスルトを生き埋めにするのも1つの手だが、それでは問題の解決にはならない。
クジュラウスは、また掘り起こそうとするだろう。
実際、私になら地面を溶岩にしてプルートやスルトを沈めるという手も使えるが、それはクジュラウスを倒さなければ一時しのぎにしかならない。
できれば根本的な解決──クジュラウスを倒すのは、あの防御魔法の効果が切れないとどうしようもないから、可能ならばプルートとスルトの破壊だ。
「おっ!」
プルートはこれまでの攻撃では私を倒せないと判断したのか、その10本の手の指先から、ばらまくようにエネルギーの球を撃ち出した。
それは「光線」と比べれば威力こそ低いが、マシンガンのように数え切れない球を連続で撃ち出している。
数があれば、私を捉えられるという判断だろうか?
実際、当たれば「痛い」では済まない。
だが、甘い。
私は「転移魔法」で、プルートの背後に移動し、その身体に触れた。
その瞬間、プルートの巨体は空中へと高く浮かび上がる。
触れた時にプルートへ、「重力魔法」を施したのだ。
そして私は、浮かび上がったプルートの上に「転移」し──、
「スゥパァァァァー、ウルトラァァー、イナ●マキィィィィーック!!」
私は全身に電流を纏わせて、急降下しつつプルートに蹴りを入れた。
『ふふん、その程度の攻撃で、プルートは倒せぬぞ』
クジュラウスは勝ち誇ったようになんか言っているけど、私自身もこの攻撃でプルートをどうにかできるとは思ってはいない。
それよりも私の蹴りの衝撃によって、勢いよく落下するプルートの落下地点が重要だ。
『ぬっ!?』
クジュラウスの焦ったような声が上がる。
何せプルートの落下地点には、彼が掘り出そうとしていたスルトが横たわっていたからだ。
おそらくプルートとスルトの装甲は、同じ材質・構造になっている可能性が高い。
いくら防御力が高くても、同じ者同士が激しくぶつかれば、さすがに傷くらいはつくだろう。
『なあぁ!?』
クジュラウスの悲鳴のような声が上がった。
狙い通り、プルートとスルトの双方に、傷が生じる。
少しだけとはいえ、ダメージを与えることができると分かれば、こっちのものだ。
「10倍界●拳!」
私は魔力と気による、身体強化を発動させた。
そして強化した9本の尾で、プルートの足を絡め取り、全力で振り回してスルトへと叩きつける。
1回、2回、──略、10回と、狂ったようにプルートをスルトへと叩きつけ続ける。
さすがに1km以上はありそうなスルトの巨体にとってはたかが知れているダメージだが、プルートは徐々に装甲が割れていった。
で、暫く続けたら完全に機能が停止したようなので、その身体を風属性魔法で高速回転させてから、スルト目掛けて撃ち込んだ。
スルトと激しく衝突したプルートは、大爆発を引き起こして粉々に砕け散った。
スルトの方にも、ちょっと穴が空いたかな?
『ば……馬鹿な……!
古代文明の、技術の結晶が……!?』
クジュラウスは、愕然とした声を上げた。
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