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10 魔族との対決

 本日から更新再開です。今日はいつもの時間よりも、ちょっと早めに更新しました。

「ナユタ、シファ、魔族の気を引いて!」


「おう!」


 ナユタは元気よく影から飛び出して、魔族へと向かって行く。

 魔族は強敵かもしれないけど、数は多くないので時間稼ぎくらいはできるはずだ。

 しかしシファは……、


『む、むう……』


 影から出るのを、まだ躊躇(ためら)っている。


「さっさと行きなさい!」


『ギャン!?』


 私は影からシファを叩き出す。

 いつまでも彼女にかかずらっている場合じゃないしね。


 作業場から離れた位置にいるドワーフ達は、あらかた回収した。

 そして作業場で一塊になっている者達なら、一気に回収できる。

 ナユタとシファが魔族の気を引いている内に、さっさと救出を済ませてしまおう。

 連続ボッシ●ート!


 ……さて、ナユタ達はどんな調子かな?

 私は救出作業を続けながら、横目で彼女達の様子を見る。


 ふむ、さすがにナユタも、複数の魔族相手に正面から戦っても勝てるとは思っていないようで、しっかりと攪乱だけに集中している。

 まあ1対1なら、いいところまでいけそうな気はするんだけどねぇ……。


 一方、シファの方だが……。


『まさか……シファ王女殿下か?』


『行方不明になったのでは……?』


 シファと対峙した魔族達が困惑している。

 あれ……?

 クジュラウスとやらの配下が、すべてシファの敵にまわったという訳ではないのかな?

 事情をよく知らない者達も、一定数いるということのようだ。


『ひ、控えおろう!

 ここにおわす(わらわ)をどなたと心得る。

 先の魔王が一人娘、シファ・ゼファーロリスなるぞ!!

 ()が高い、控えおろう!』


 ……どこの黄門様だよ……。

 シファって200年以上前にこちらへ転生したらしいけど、どうやら私と生きていた時代は近いらしい。

 実際、「幻術」で東京タワーとかを見せたら、反応したもんなぁ……。

 なんか地球と時間の流れが違うのかね?


 いずれにせよ手段はともかく、シファの存在は魔族達には効いているようで、上手い具合に彼らを足止めしていた。


 ……よし、おかげでドワーフは全員救出できた。

 このまま私達も逃げるというのも一つの手だが、そうもいかないだろうなぁ……。

 あれ(・・)を見てしまった以上、放ってはおけない。


 そう、あの人型の人工物だ。

 あれは絶対にヤバイ代物だ。

 例えるなら、伝説巨人的な!

 それを放置した結果、無限の力が暴走して、人類が滅亡するなんてことになったら目も当てられない。


 ただ、放っておけないのは、相手も同じだろう。

 特にシファの存在は──、


『あばばば!?』


 シファに向けて、無数の氷柱(つらら)が襲いかかった。


「フィアウォール!!」

 

 私は火属性魔法で炎の壁を生み出し、その攻撃を溶かし尽くす。

 魔族は魔法耐性があるようだけど、氷柱や石礫(いしつぶて)のように質量を伴っている攻撃は、完全に無効化できないっぽい。


 まあ、それは私も同じなんだけど、その攻撃に耐えられるかどうかは単純に身体(からだ)の耐久力にかかってくる。

 今のはシファだと、結構なダメージを受けそうな攻撃だった。

 その攻撃を放ったのは──、


『何をしている?

 そやつは魔族を破滅に導く者だぞ!』


『し、しかし……!』


『力の無い指導者など、百害あって一利無しだ!』


『ぐぅ!?』


 ぐうの()も出ない言葉の暴力が、流れ弾的にシファを襲う。

 って、ぐうの音が出ておるるがな……。


 それはともかく、動揺する魔族達を叱責しているのは、銀髪で身体の線が細い男だった。

 全体的な印象としては某ゲーム7作目のセ●ィロスを彷彿とさせるけれど、鼻眼鏡をしているので、武官というよりは文官だという感じだね。


 しかし魔族の強さは、身体能力以上に魔法の技術がものをいうように思える。

 実際シファだって、肉弾戦よりもビームとか撃っている方が明らかに強いし……。


 だから武官ではないからといって、弱いとは限らない。

 どのみち彼が想像通りの存在ならば、(あなど)って良い相手ではないはずだ。


「彼が例の……」


『う、うむ……。

 四天王のクジュラウスじゃ……』


 私は影の中から姿を現して、シファを庇うように前へと出る。

 そんな私の姿を見て、クジュラウスの表情が動いた。

 なにやら興味深そうにしている。


『その姿は天狐(てんこ)族の成体か……。

 あの捕らえていた個体が成長した……にしては気配が大き過ぎるが……』


「天狐族……?

 それが私達の種族名……?」


『なんだ……知らないのか?』


 人間語で独り言のように(つぶや)いたのに、クジュラウスに通じた!?

 野郎……人間語にも精通しているのか。


 ……まあシファでさえ、今ではリスニングくらいは完璧にできるし、そんなに不思議な話ではないのかもしれない。

 魔族は基本スペックが高いようだしねぇ……。

 だが、それが活かせるかどうかは別問題だ。


 でも、今はそれよりも──、


「冥土の土産(みやげ)に、そこのところ詳しく」


 私達の種族について、色々と聞いておきたい。

 あ、勿論冥土に行くのは、クジュラウスの方ね。

 私のような美少女と会話したことは、冥土の土産になると思うよ、うん。

 まだ本調子ではないので、毎日更新できるかは分かりません。

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