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8 自己紹介

 私はサンバートルの町から2つのパーティーを連れて「転移」し、レイチェル達と合流した。


「それでは、我々はここで」

 

 その後、1つのパーティーは目的地が違うということで別れたが、キエルとその仲間2人は私達と一緒にダンジョンがあるクラサンドを目指すことになった。

 事情を知らない者に私とシファの正体を隠す必要があるので、それはちょっと面倒臭いけど、可愛い女の子が増えるのは大大大歓迎だ。


 で、同行するキエルは、みんなに自己紹介を始める。


「うちはキエルで、剣士をしています。

 アイちゃんとは顔見知りだったので、同行させてもらうことになりました。

 よろしくお願いします!


 そしてこちらは──」


 キエルは他の2人にも自己紹介を(うなが)す。


「アリゼです、よろしく~。

 みんな優しそうな人で、良かったです~」


 アリゼはなんだかのんびりとした雰囲気を持つ、少し大人びた娘だった。

 というか、巨乳。

 パーティーでは回復役をしているらしい。

 その所為か癒やしオーラを出しているけど、ママかな?


 一方、もう1人のローブで顔を隠している少女は──、


「リリス……」


 不貞腐れたように、名前だけを口にした。

 見た目からして魔法使いだろうね。


 ……うーん、父親ポジションのキエルに、母親ポジションのアリゼ、そして反抗期の娘・リリス……という、親子みたいなパーティーだなぁ。

 ともかくリリスだけは、あまり友好的な感じではないのだけど、顔を隠しているところを見るに、何か訳ありってことかな?

 そんな彼女に対して、


「私はレイチェル。

 よろしくなのです」


 レイチェルは同じ魔法使い職だからなのか、物怖じせずに話しかけていく。

 見た目の年齢が近い所為もあるのだろうか?

 でも、実年齢はキエルやアリゼの方が近いと思うが……。

 ただレイチェルはのんびりとした田舎育ちだからなのか、精神年齢もちょっと幼いからなぁ……。


 そんなレイチェルに話しかけられたリリスは、


「な、なんなのよ、あなた……。

 気味が悪いから、近寄らないでよ……!」


「……え?」


 何故か物凄い拒絶反応を示している。

 一方的に嫌われていると感じたレイチェルは、戸惑うしか無かった。

 私達にもリリスの態度の理由がよく分からなかったけど……、


「うちの子がゴメンね。

 でも凄い偶然だよね。

 うちも驚いたよ」


『……どういうことなんです?』


 キエルやアリゼには、その理由が分かったらしい。

 そして──、


「じゃーん、こういうことで~す!」


「ちょっ!?」


 アリゼがリリスのフードを、強引に下ろした。

 そのことによって、彼女の隠されていた顔が(あら)わになる。


「おおっ!?」


「あら……」


『ほう……?』


 リリスの顔を見て、私達も驚く。


「昔の、私……?」


『うん、レイチェルにそっくり……』


 リリスは髪や目の色が、レイチェルと同じだった。

 だけどそれだけではなく、顔付きも似ていた。

 もう酷似していると言っても、過言ではないほどに。

 リリスの方の目つきが鋭いという差異はあるものの、遠目に見れば同一人物と間違えるレベルだろう。


 もしかして親戚!?

 それもかなり近い……。


「アリゼっ!

 何するのよっ!!」


 と、リリスは慌ててフードを被りなおして、アリゼに抗議をする。


「大丈夫だよ~。

 この人達のオーラは、綺麗だから~」


 オーラ……?

 なにそれ、オー●バトラーにでも乗れるの?


「アリゼさんは、人が発する生命エネルギーみたいのが見えるらしいよ。

 それで強さや性格、感情とかを読み取れるんだって」


 そうキエルが教えてくれた。

 なにそのオカルト能力!?

 それって、私とシファの正体も見破っているのでは……。

 それでも動じていないのならば、アリゼはかなりの大物かもしれない。


 いずれにしても、そのオーラを()る能力で、私達が危険人物ではないと分かっていたから、アリゼはリリスの秘密を明かしても問題が無いと判断した訳か。

 むしろ私達の方も抱えている秘密があるから、それを明かせないことが少し後ろめたい。


「あと、リリスはちょっと訳ありみたいで、普段から顔を隠しているんだけど、もしかしたらそっちのレイチェルちゃんって言ったっけ?

 彼女も顔を隠していた方が、いいかもしれないねぇ……。

 まあ、かなり強いみたいだから、襲われても大丈夫かもしれないけど……」


「まあ、大丈夫だと思うのです」


 レイチェルは、盗賊団数十人を、ナユタと2人で制圧したようなものだからね。

 しかも、生け捕る余裕まで見せている。

 敵の生死を選べるのは、強者である証明だ。


 そんなレイチェルに対してリリスは──


「わ、私の偽物のクセに生意気なのよ!

 ちょっと強いからって、いい気にならないでよね!!」


「ええぇぇ……?」

 

 なんてことを言っている。

 ああ、リリスは自分とそっくりな人間が、自分よりも実力があることが面白くない訳か。

 姿が似ているのなら、自分にも同じようなことができるはずだ……と思いがちだけど、実際にはそうじゃないからもどかしいのだろうね。


 いずれにしても、一方的にリリスから敵視されているレイチェルは、災難だと言うしかないねぇ……。

 いつも応援ありがとうございます。

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