表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/216

プロローグ 怪我人

 新章です。プロローグなので、ちょっと短め。

 ゴブリン村は平和だった(・・・)

 いや、ほんの1時間くらい前までは、本当に平和だったんだけどね……。


 その時、私はシェリーが作ってくれたシュークリームを食べながら、のんびりとしていた。

 そしてシェリーは、私の尻尾に顔を埋めて深呼吸をしているが、いつものことなので気にしないでおく。


「はあぁぁ……(かぐわ)しい。

 ご主人様の、好きぃ……」


 ……楽しそうでなにより。

 これがいつもだ。


 そう、あの領主の館から救い出したシェリーとダリーの姉弟(してい)は今、私のところでメイド(・・・)として働いている。

 ……なんで弟のダリーまで、メイド服を着ているのかなぁ……。


 あの領主の特殊プレイによって、男としての尊厳を破壊し尽くされたのだろうか……?

 実際、村に連れ帰ってきた当時、姉弟(してい)は死んだ目で日々を無気力に暮らしていたし、その心に負った傷はかなり大きかったのだろう。


 そこで私は、2人に寄り添った。

 可愛い動物との触れ合いは、人の心を癒やす効果があるというからね。

 アニマルセラピーってやつだ。


 で、私との触れ合いの日々で徐々に回復していった2人は、私を恩人と感じ、主人として仰ぐようになった訳だ。

 いや……私やシスの尻尾の臭いを嗅ぐのが何よりも好き……って印象なので、姉弟にとって私達は嗜好品のようなものなのかもしれないが。

 意図せずに、重度のケモナーを生み出してしまった……。

 

 それでも2人は主従の形は取りたいようで、メイドに扮して働いている。

 いや、私もメイドは好きだけどね。

 好きだけど……男の娘は守備範囲外なんだよなぁ……。


 まあ、ダリーも美少女の姉に似ていて、可愛いことは認めるけど。

 姉弟とも黒髪で、何処となく猫を思わせる顔付きをしている。

 レイチェルには負けるけど、それでも男の娘でその可愛さに肉薄しているという事実は、驚愕に(あたい)した。

 眺めて楽しむだけなら、有りだな……。


 で、そのダリーだが、息を切らせて私の部屋へと飛び込んできた。


『大変です!』


「なんですか、ダリー。

 ご主人様との睦事(むつごと)を邪魔しないでください」


「狡い、シェリー。

 後で私もする!!」


 いや、睦事って……。

 あと、ダリーはシスとして。


『それよりも、何事ですか、ダリー?』


「それが……」


『……え、ナユタが呼んでる?』


 確か今日は、村の外へ狩りに出ていたはずだけど……。


「はい、ご主人様。

 怪我人がいる……とかで」


『怪我人!?

 そりゃ大変だ』


 この村で回復魔法の使い手って、私くらいしかいないからなぁ……。

 他はセリスとレイチェルが、少し使える程度か。

 でも彼女達じゃ、死にそうなほどの重傷者には対応できない。

 だからこそナユタも、私を呼んだのだろう。


『分かった、今行きます!』


 私がダリーに案内されて村の入り口へ行くと、何者かが地面に寝かされていた。

 どうやらナユタが、村の外から背負って運んできたようだ。

 近くでナユタも座り込んでいる。


『ナユタも怪我をしたのですか!?』


「師匠、オレは後でいい。

 こっちの方が危ない……!』


 倒れているのは、10代半ばに見える少女のようだ。

 ただ──、


『こ、これは……!?』


 彼女は見るからに、普通の人間ではなかった。

 明日は定休日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アイちゃんのボディー来たか!生前はどんな娘だったのか楽しみ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ