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11 戦いに備えよ

 追っ手との戦いを終えた私は、先に行かせたレイチェル達と合流した。


「アイちゃん!

 無事なのです!?」

 

「師匠、凄い音がしたけど……」


 と、レイチェルとナユタが駆け寄ってきた。

 そしてレイチェルは私に抱きついて、モフモフと撫で回す。

 ああん、そこはらめぇ……!!


『……大丈夫ですよ。

 追っ手はいなくなりました。

 さあ、レイチェル、私に乗ってください。

 シス達と合流しましょう』


「はいなのです!」


 追っ手の後続がいる可能性を考えると、ゆっくりとはしていられない。

 ただ、またレイチェルが体調を崩す可能性もあるし、無理はさせられないので、そんなに急ぐこともできない。

 決して走らず急いで歩いていき、 そして早くシス達と合流するよ。


 幸いなことに、その後は特に問題も起こることもなく、5日ほどでゴブリン達の村へと到着した。

 ただ、結局シス達には追いつけず、この村で再会することになる。

 彼女達は3日くらい前に、村へと辿り着いたらしい。


 しかし──、


「緑色の人がいるのです……」


「大丈夫なのかよ……」


 ゴブリン達を見て、困惑する者達も多い。

 まあ、当然の反応だろうな……。


『ここのゴブリン達は、私とシスの言うことをよく聞くので、危険はありませんよ。

 だからあなた達も、無闇に攻撃しないように。

 ここでは一緒に生活することになるので、協力してください』


 私の言葉には、「ええぇ……」と、顔をしかめている者も多いが、まだ全員私の奴隷という扱いなので、逆らう者はいない。


『ほら、あそこでゴブリン達が、家を建てているでしょう?

 あれがあなた達の、住む場所になります』


 先行させたシスに私の指示を託し、ゴブリン達に受け入れ準備をさせるようにお願いしておいたのだけど、ちゃんと伝わっていたようだ。


『これからあなた達は、もめ事さえ起こさなければ、自由に活動しても構いません。

 ただ、ここで暮らしていくのならば、自分ができることを見つけて、生活の基盤を構築してください。

 仕事をしないのなら、最終的には居場所を失いますよ』


「…………」


 私の言葉を受けて、何人かは家の建築を手伝おうとしたのか、恐る恐るゴブリンに近寄っていく。

 ただ、奴隷商の店主やその護衛は、動こうとしなかったが。

 おめーらこそ、働けよ!


『あなた達の仲間は撃退しましたし、このまま心を入れ替えずに何もしないようなら、永久に私の奴隷ですけど、それでもいいんですか?

 なんなら、私の方から強制労働を命じてもいいのですが?』


「ぐぬぅ……」


 店主は渋々と動き始めた。

 すると──、 


『手伝ってくれるの?

 ありがとう』


「おうっ!?」


 ゴブリンに「念話」でお礼を言われて、驚く人々。

 喋るとは──魔法を使えるとは、思っていなかったのだろうな。

 まあ、意思の疎通ができると分かっただけでも、印象はかなり違うだろう。

 もう彼らにとっては、ただの魔物ではなくなったはずだ。


『アイ様、よくぞお帰りになられました』


『ゴング!』


 その時、ゴブリンのボスであるゴングが語りかけてきた。


『ごめんなさいね、色々と面倒事を持ち込んでしまって。

 もしかしたら追っ手もくるかもしれないから、その対策もこれから立てなきゃならないですし……』


『我々はアイ様の温情で生かされた身……。

 あなたの決定に不服はありません。

 どうぞなんなりとご命令を……』


 なにやらいつの間にか、忠臣に仕上がっているねぇ……。


『不満があれば、遠慮無く言ってくれていいんですからね?

 そういう声だって、参考になるんだから』


『はっ』


 それから私は、追っ手の襲来に備えて、色々と準備をすることになった。


『シスー、村の周囲に、石の壁を作ってー』


『え……お姉ちゃん。

 結構広いんだけど?』


『魔法の練習だと思って、頑張ってよ。

 あとで毛繕い(ペロペロ)してあげるから』


『うえぇ……』


 シスは嫌々といった感じで、作業を始めた。

 村の周囲に高い防壁を作っておけば、いざ攻め込まれても、簡単に入り込むことはできないだろう。

 だけどそれだけでは心許(こころもと)ないので、私は村の外側に堀を作る。


 ふむ……将来的に村が大きくなることも考えて、村から少し離れた場所に土魔法で(みぞ)を掘ることにしよう。

 そして村を囲むように溝を繋げてから、内側を石のように固めて、最後に水魔法で水を生み出して溜めておく。

 

 平時には農業用水として使えるように、いずれは水質を浄化するようなシステムも構築したいね。

 いちいち浄化魔法で綺麗にするのは大変だから、水の汚れを濾過するような貝や水草を見つけてきて放流するか。


 でも、先にやらなければならないことが、色々とある。

 まずはいざという時に備えて、籠城できるように食料を集めて……。

 それに家を建てたりする為の、木材とかも必要だな。


 そんな感じで、諸々の作業を続けながら10日(とおか)ほど経過すると、ついに追っ手がこの村に辿り着いた。

 きたわね!


 ……って、その数、約千人以上。

 ……軍勢じゃん!?


 え、えらいことや……

 せ、戦争じゃ……!!

 そういえば前回出てきた黒ずくめの男は、『乗っ取り魂』では領主の館で瞬殺されました。

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