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プロローグ 決戦魔王城?

 魔王城、攻略開始!

 ……うん、攻略するまでもない感じだが。


 私の「飛行魔法」や「転移魔法」を駆使して、魔王城の近くまで魔族達を運んで来たんだけど……。


「殆ど気配がないのぅ……」


 シファが困惑したように(うめ)く。


 私達の目の前には、空中に浮いた巨大な岩塊の上に城が建っていた。

 いかにもラスボスの城って感じだ。

 しかしその城には、戦力が残ってはいないようだった。


「リビーからの情報通り、クジュラウスの拠点は魔王城ではないようですね……」


 まあ、こんな北の果ての土地では生活とか色々と大変だろうから、拠点を移すこと自体はさほど不思議ではないが、現状では私に勝てないから逃げたというのが正しいと思う。

 それにクジュラウスはあちこちで実験やら計画やらを動かしているようなので、そもそも1箇所に留まる理由が無いようだ。

 ならば彼も魔王城ごと移動するという方法を、考えなかったのだろうか?


「あれって、動かせるのですか?」


「魔王のみが動かせるときいたことがあるのぅ……。

 だから前の戦いの末期、人間から逃げる為にここまで城を避難させ、そのまま動かせなくなったのじゃ」


 魔王が勇者に負けてしまったからか……。

 でも、もしかしたら、当人のマオちゃんなら動かせるのかな?

 あるいは魔王の娘であるシファなら、ワンチャンあるかもしれない。


 魔王城が動かせるようになったら、もうちょっと南の方に移動させたいね。

 ここはちょっと寒すぎるし……。

 まあ最悪でも、私の「転移魔法」でどうにかなるだろう。


 しかし魔王城を奪還した後のこを考えるのは、まだ早い。

 魔王城に戦力は残っていないようだけど、だからといって安易に城に突入するのは危険だ。


「クジュラウスのことだから、罠を仕掛けていますよね……」


「そうじゃろうな……」


「うむ、彼奴(あやつ)は、人の嫌がることが好きだからなぁ」


 シファやガルガが、私の言葉に同意した。

 あの男はそういう小賢しいことをする。

 クジュラウスと同じ四天王であるはずのカシファーンだけが、「そうなの?」って顔をしていたが……。

 まあ、あんたも直接あいつと会えば、分かると思うよ。

 性格の悪さが、外見からも滲み出ているから。


 そんな訳で私達は、慎重に魔王城の周辺から罠が無いかどうかを調べていった。

 なんだか戦場で、地雷を撤去している気分だよ……。

 しかし結局、城の外側に罠は見つからなかった。

 とんだ無駄骨だが、これもクジュラウスの意図した嫌がらせなのかもしれない。


 で、今度は城内を調べる訳だが……。


『おお……200年以上ぶりの、魔王城だー!!』


 カシファーンが感涙の涙を浮かべている。


『はしゃいで、罠を踏まないでくださいよー』


『わ、分かっておる』


 と、言いつつも、スキップ混じりの足取りで城内に入っていくカシファーン。

 なんだよ……ちょっと可愛いな、こいつ……。

  

 それでは私も、魔王城へ突入することにしよう。

 城内には何人か文官みたいのは残っているけど、彼らに聞いてもクジュラウスが何処に行ったのかは分からないようだ。


「一般人はいないのですか?」


「何処かに集落は、いくつかあるらしいがのぅ……。

 (わらわ)はよく知らん……」


 民が何処で何をしているのか分からない……では、統治者としては駄目だな。

 いざという時に助けることもできない。

 今後それは、改めていかないといけないところだろう。


 で、城内の罠についてだが……。

 異常な魔力が生じている場所が無いか、慎重に探っていく。

 すると──、


「お、ありましたよ」


「王座ではないか!」


 王座の裏側に、爆弾と(おぼ)しき魔道具が仕掛けられていた。

 自分の物にならないなら、破壊してしまえというのがクジュラウスの考えなのだろう。

 

「……取り外せるのかのぅ、これは……?」


「う~ん……既に起爆スイッチが入っているようですから、難しいでしょうねぇ……」


「は?」


 ポカンとした顔をするシファ。

 そんな彼女に私は、残酷な現実を告げなければならない。


「あと十数秒で、この城ごと爆発に飲み込んでしまいそうです」


「はぁ~!?

 何を落ち着いているのじゃ、おぬしは!?」


「まあ、大丈夫ですよ。

 ほら、この通り」


 次の瞬間、周囲は眩き光に包まれた。


「ひぃぃぃぃぃぃ!?」


 ……が、その光はすぐに消え失せる。


「な……何が起こったのじゃ……?」


「爆発のエネルギーを、私の『空間収納』に閉じ込めただけですよ」


「だけ……って」


 普通なら無理だろうけど、私の「空間収納」は私自身も把握できないほど容量が大きいし。

 しかも内部は時間が停止しているみたいなので、このエネルギーをそのまま維持できる。

 それを取り出して、攻撃にも使えるぞ。

 いつかクジュラウスに返してやろう。


 ともかくこれで城内の安全は確保された。


「さあ、シファ。

 王座に座ってみましょう。

 そして魔王城が動かせるのか試してみるのです」


「う……うむ……」


 王座に座るシファ。

 ……変化無し。


 後日、マオちゃんを座らせてみたら動いた。

 シファもまだまだだなぁ……。


 で、城が動かせるようになったので、そのまま南へと移動させる。

 そこで新生魔王国の、建国といこうじゃないか。

 副反応であちこち痛い……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、最近の更新はお疲れ様です! 江戸さん、中々病気や副反応を振り切れないようですね、お大事に成さって下さい〜
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