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21 魔王の力

 予約投稿、失敗していた……。

 私の目の前には、巨大な女王アリの死骸が横たわっている。

 こんがり焼けて、ちょっとエビみたいな美味しそうな匂いをさせているけど、さすがに今はゆっくり食べている暇はない。


 私は女王アリの死骸を、「空間収納」の中に仕舞い込んだ。

 そしてダンジョンの最下層へと、「転移」する。


 さて……アリの残党がいるのかどうか……それは気になるが、今は確認している場合ではない。

 掃討作戦はすべてが終わってから改めてするとして、今はシファ達と合流するのが先だろうね。


『シファ、現状はどうなっていますか?』


 ……返事が無い、ただのシカバネのよう──いや、「念話」が遮断される階層があるんだっけ。

 シファ達はダンジョンに侵入したクジュラウスの手勢を迎え撃つ為に、上の階層に移動しているはずだけど、今私がいる階とシファ達がいる階の間に妨害フィールドがあるのだろうな。

 おそらく魔族達は、人間に察知されないようにこのような仕様にしたのだろうけど、今は邪魔だなぁ……。


 それじゃあ仕方がないから、1階ずつ確認しながら上に「転移」していこうか。

 アリがいるようなら、そいつらも片付けて行こう。


 それから私は、「転移」を繰り返しながらダンジョンの階層を上っていく。

 しかしシファ達とは、未だに連絡は取れていない。

 う~ん、返事が無いというよりは、そもそも私からの「念話」が届いていないという印象だ。

 妨害念波でも、出されているのかな?

 あるいは侵入した魔物やアリ達の念波が飛び交っている所為で、混線している?


 とにかく気配を探って何かいたら確認し、アリだったら駆除して後顧の憂いを断つという作業を繰り返した。

 で、10階層ほど上ったところで──、


「お、戦闘の気配」


 それを感じた。

 しかもかなりの数の気配が、1箇所にひしめいている。

 ここっぽいな。


 私は気配を隠蔽しつつ、現場へと「転移」する。

 タイミングを見て、敵の死角から攻撃してやろう。

 まあ、真っ正面からでも普通に対応できるとは思うけど、シファ達だけでもなんとかできるのなら、そのお手並みを拝見してやろうじゃないか。

 それに身を隠していた方が、想定外の事態に対応しやすいし。


 で、「転移」した先だけど、え~と……ここは70階層のボス部屋かな。

 広い空間の中で、シファ達魔族が無数の魔物達に囲まれている。

 見知った顔は無事なようだけど、見知らぬ魔族達にどの程度の被害が出ているのか、それはちょっと分からない。

 

 でも少なくとも、ここにいるみんな元気そうではある。

 ……というか──、


「あー!

 あー!」


 魔族達の中心で魔王がちょこんと直立し、腕をブンブン振っている。

 あれは応援しているのか?

 まさに「プ●キュアー、がんばえー」って感じで?


 ふむ……もしかして魔王って、仲間のステータスを上昇させる支援効果があるスキルを持っている?

 確かにナユタの動きがいつもよりも良いように感じるし、強化されているからこそ魔族達は未だに健在なのかもしれない。

 

 う~ん、もしかしてクジュラウスの狙いは、この魔王の能力かな?

 これがあれば、軍勢の戦力が飛躍的に向上して、戦争でも有利になるだろう。

 それにおそらくシファと同様に、格下の魔物を操る能力も持っているのだろうから、魔物の軍勢を形成する為にも役立つはずだ。


 いずれにしてもその魔王の力によって、数では上回る魔物の群れによる攻撃に対して魔族達は、問題無く持ちこたえている。

 こちらには四天王のカシファーンもいるから当然のように思うかもしれないが、実際には彼女が存分に力を(ふる)えているとは言いがたい状況だった。


 そう、カシファーンは、見慣れぬ女と戦うだけで精一杯のようだ。

 いかにも性格が悪そうで、ちょっとお姉さんと呼ぶべきか、おばさんと呼ぶべきか迷うような見た目の女──。


 え~と、ダンジョンに侵入した魔物に、あんな女はいなかったよね……。

 しかも、その女は服を着ていない。

 かといって、全裸とも言いがたい。

 鱗が変質したようなもので全身を覆っているところを見ると、あれは魔物が変化した姿かな……?

 だから服を持っておらず、鱗を変化させたもので服の代用としているのだと思う。


 鱗……そういえば、大きくて深い青色をした竜がいたな。

 あいつかな?

 ダンジョンは狭いから、人の姿に変化したのだろう。

 確かにその女と、人化した巨竜ガルガと気配が似ているような気もする。


 一方のガルガは人間の姿だと、全力を出せない感じかな?

 結構なお年寄りだから動くのは苦手そうだし、かといって竜の姿に戻れば、この空間は狭いから味方を押し潰しかねない。

 だから人の姿のまま魔法で戦っているけど、その魔法が妨害されている。


 今もまた、ガルガの放った魔法が途中で消え失せた。

 その原因となったのは、鎧だ。

 黒くて全身がトゲトゲとしたデザインの、見るからに悪役風の鎧──そいつが魔法を無効化しているようだ。


 なんだアイツ?

 中身クジュラウスか?

 出掛ける用事があるので、明後日の更新も間に合わないと思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近の更新もお疲れ様です!ありがとうございます! 相変わらず中々面白かったです〜 これからもよろしくお願いします!
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