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135/216

16 挟 撃

 さて、これからクジュラウスが送り込んだ手勢を撃退しにいく訳だけど、ダンジョンを下ってくる魔物をここで迎え撃つのでは、時間がかかり過ぎる。

 迷宮だから魔物でも道にも迷うだろうし、ダンジョンに棲息する魔物と戦わなければならない場合もあるだろう。

 だから最下層まで到達するには、普通なら1日以上はかかるはずだ。


 ただ、相手に時間を与えると、何かおかしなことをされる可能性もある。

 例えば入り込んだ魔物に爆弾のような物を持たせて自爆させ、最下層に爆発が届くようにする……とか、ダンジョンに棲息する魔物を味方につけて、戦力を増強する……とか。

 

 なので私達も、上層階へ向かって移動し、早めに侵入者を処分した方がいいだろう。

 だけどそれだけでは、対応策としてはまだ足りない。


『またダンジョンへの攻撃があるかもしれないので、ちょっと対策してきますね。

 姉さんとココアは、ついてきてください。

 ナユタはシファと魔王の護衛をお願いします』


「おう!」


 ナユタはあまり魔法を使えないので、単独で行動させるにはちょっと心許ない。

 後衛の支援を受けた時にこそ、実力を発揮するタイプなので、ここに置いて行く。


『シファと魔王は、魔族を率いて上に向かい、敵を迎え撃ってください』


『わ、分かったのじゃ。

 カシファーン、ガルガ殿、兵を集めるのじゃ』


「あー!」


 シファの言葉に従えといわんばかりに、魔王も小さな(こぶし)を振り上げた。

 それを見て、カシファーンも、


『ぎょ……御意』


 まだシファに対しては何か思うところはあるようだが、彼女は従う姿勢を見せる。

 なんだかんだで魔王が、シファに懐いているっぽいというところが大きいのだろう。


 よし。

 それじゃあ、私も行くか。

 私はネネ姉さんとココアを連れて、再び地上へと「転移」した。


「姉さんはこの穴から入って、ダンジョンに侵入した魔物を追撃してください。

 好きなだけ食べてもいいですよ?」


「いや……魔物よりも、料理っていうやつの方が美味しいんだけど……。

 まあ、食べて良いのなら食べるけど」


 そう言い残して、姉さんは穴に飛び込んでいった。

 姉さんは巨大な魔物でも、一瞬で食い尽くすスキルを持っているらしいから、いい感じに敵を減らしてくれるだろう。

 それに幼くなった今の彼女を再び成長させる為には、栄養が必要だ。

 沢山食べて、大きくなれよ。


「ココアは領事館へ行って、みなさんを守ってください。

 できれば町の人もお願いします。

 念の為に、遠くからの攻撃に警戒しておいてくださいね」


 夜なら吸血鬼のダリーに任せておけば大丈夫だと思うけど、残念ながら今は昼だから、増援を送る必要がある。

 おそらく町はクジュラウスの標的ではないと思うので、ココアくらいの戦力で問題無く守れるはずだ。


『分かりました、お姉様!』


 と、ココアは町の方へと駆けていく。

 おお……速い速い。


 これでクラサンドの町が攻撃されても、なんとかなるだろう。

 あとはこのダンジョンの穴を、地属性魔法で蓋を作って塞いでおこうか。

 あの円盤の2号機とかがが、まだいる可能性もあるしね。

 鋼鉄製にしたから、また地中貫通爆弾(バンカーバスター)を落とされても、暫くは耐えるはずだ。


 対策は終わったので、地下へ「転移」しよう。


 ……って、あれ?

 なにやらダンジョンの最下層へ「転移」しようとしても、妙な違和感がある。

 これは何らかの障害物がある……?


 どうやら最下層で、何か異変があったようだ。

 座標を横に移して、試して……いや、駄目だな。

 そこにも障害物がある感覚がある。


 そんなところへ「転移」で突っ込んだら、「いしのなかにいる」とか即死級の大惨事になりかねないから、もっと別の場所へ……。

 う~ん、結構離れた場所──最下層の入り口辺りじゃないと無理かな?


「よっ」


 よし、「転移」は成功。

 でも、うわっ!?

 壁があちこち崩れている!?

 この瓦礫が邪魔で、転移が阻害されたのか。


 というか、床にも穴が()いている……?

 まさか、地下からも侵入者が……!?

 それじゃあ、ダンジョン上層部への攻撃は、陽動だったのか……?


 とにかくみんなと合流しないと……。

 シファ達の匂いが上層階の方へ続いているから、上に逃げたのかな?

 逃げ遅れた者は……どうなんだろう?

 知らない魔族の匂いまでは、分からないからなぁ……。


 ただ、この階層にも気配は残っている。

 しかしそれが敵のものなのかどうかまでは、ちょっと判別できないんだよね……。

 でもここにいた魔族の人口よりも明らかに気配が多いから、敵の可能性である方が高いかな?

 

 お……?

 こちらに来る……というか押し寄せてくる。

 そして通路の奥に見えるのは、ソルジャー●ギオン!?

 いや、アリだーーっ!!


 なにやら、3mはありそうな巨大なアリが、うじゃうじゃと迫ってくる。

 ちょっ、『黒●絨毯』か『放●能X』かよ!?

 こいつらが地下から穴を掘って、侵入してきたのか!


 私にとっては雑魚だけど、さすがに何百匹もいると気持ち悪いよ!?

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