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8 四天王カシファーン

 感想ありがとうございます。

 暫く階段を下り続けると、また広い空間に出た。

 どう見ても今まで守護者(ガーディアン)と戦ってきた空間と同様の、戦闘を目的として作られている。

 この先には居住区があるらしいから、おそらくここが魔族達にとっての最終防衛ラインなんだろうな。


 そしてその空間には、1人の女性がいた。

 黒髪と切れ長の目が印象的な美女だ。

 ただし、頭には2本の角と、背中に翼、そして尻尾を生やした、いかにも悪魔というか、サキュバスな風貌の美女だった。

 その豊満な身体(からだ)を、黒い革製っぽい衣装で包んでいる。

 初めて会った時のシファよりも、露出度が高くてえっちだ。


 そんな彼女の(かたわ)らには、アルマジロの如く装甲で全身を包んだトラのような魔獣と、巨大なマンドリルのようなサルの魔獣がいる。

 シールド●イガーとマー●ンかな?

 おそらくカシファーンの従魔なのだろう。


 ふむ……明らかに戦闘用の魔獣を伴っているということは、話し合いをするつもりは無いということか……。


『来たな、逆賊め!

 魔王様を裏切り、人間達と共に魔族を私利私欲の為に利用しようとしているらしいな!

 不埒者め、この我が成敗してくれるわ!!』


 洗脳されている……。

 カシファーンもクジュラウスの口車に、乗ってしまったようだ……。


『それは違うぞ、カシファーンよ!

 そもそも(わらわ)は、母上の正統な後継者ぞ?

 いずれは魔王の座を引き継ぐのに、わざわざ母上を裏切りって立場を悪くする必要が何処にあるのじゃ?』


『む……それは……?

 むぅ……?』


 シファの反論を受けて、カシファーンが首を傾げる。

 ……この人、あまり頭は良さそうじゃないな。

 実際、カシファーンは訳が分からなくなったようで、


『ええい、問答無用!!

 そのようにしてガルガ殿は丸め込んだようだが、我は騙されないぞ!!』


 と、なにやら禍々(まがまが)しいデザインの剣を抜いた。

 やはり暴力……暴力はすべてを解決する!!

 そんな脳筋タイプか。


「シファ、任せます」


 えぇ~~?って顔をしない!

 お前が未来の部下を、従わせなくてどうする。


「姉さん、ココア、ナユタ、魔獣の方はどうぞ」


「はいよ」


『了解しましたわ』


「おう!」


 渋々と戦うシファとは対照的に、三者は楽しそうに戦闘態勢に入る。

 彼女達の戦闘好きな性質の少しでもいいから、シファに分け与えてほしいものだ。


 そして私は、過剰戦力なので待機だ。

 そんな私に対して、ガルガは問う。


『そなたは戦わぬのかね?

 戦った方が手っ取り早いと思うが』


『……私が(・・)面倒臭いことになりそうなので、遠慮しておきます』


 そりゃあ私が戦えば、一瞬で勝負は決まるのだろうけどさぁ……。

 なんか嫌な予感がするので、ここはシファ達の戦いを見守ろう。

 

 で、サルの魔獣は、ネネ姉さんが相手にしているが、まあ……遊んでいるな。

 姉さんが本気を出せば一撃で倒すことも可能だろうけど、それではつまらないということなのだろう。


 鎧トラはココアとナユタが相手をしているけど、こちらは互角って感じかな。

 ただ、ココアも私が結構鍛えたので、今や尻尾が5本もあるし、ナユタの戦槌(ウォーハンマー)・熊手は、鎧トラの装甲を破壊するには打って付けの武器だ。

 勝つのも時間の問題だろう。


 ……問題はシファの方か。

 あのカシファーンとやら、存外強いわ……。

 純粋な戦闘力なら、これまで見てきた他の四天王よりも高いんじゃないかな?

 特に彼女の持っている剣が厄介だ。

 あの剣自体が彼女に匹敵するくらい、厄介な性能を持っているような気がする。


 実際、攻撃力が異常に高い。

 なにせ直撃しなくても、その斬撃の余波で床や壁がえぐれるほどなのだから。

 まさに魔剣と呼ぶに相応(ふさわ)しいほどに──。

 

 あれでは接近戦は難しい。

 まあ、シファも距離をとって、手裏剣を投擲(とうてき)する戦闘スタイルだからどうにかなっているけど、それだけでは勝てないだろう。


 いかにシファが「幻術」を駆使してカシファーンの意表を突こうとしても、所詮は真っ直ぐにしか飛ばない手裏剣だ。

 軌道を読んで防御するなんてことは、カシファーンほどの実力者なら難しくないだろう。

 手裏剣自体を「幻術」で消したり位置を誤魔化したりできれば話は別だが、今のシファではそこまでの技術は無い。


 となると……。


『シファ……魔法です。

 魔法攻撃主体に切り替えるのです』


『!!』


 シファにだけ通じる「念話」を送る。

 魔法なら攻撃の軌道を変えるどころか、標的に対してゼロ距離で攻撃を発動させることも可能だ。

 たとえばその足下から、土の槍を生やす──とか。


 それに広範囲で魔法攻撃を発動すれば、回避自体も難しくなる。

 極端な話、この空間すべてを飲み込むような爆発が生じさせれば、少なくともこの空間内には逃げ場は無くなるだろう。


 勿論、魔力の流れなどで事前に攻撃を読むことは可能だが、魔力を大量に放出して攪乱し、読みにくくすることも可能だ。


 ただ……問題は、シファの魔法技術は、そんなに高くないということなんだよなぁ。

 現状ではパワーこそ有るけど、技術面では忍術よりもちょっとマシって程度なんだよね……。

 明後日は間に合わないかと……。

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