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プロローグ 下準備

 新章です。相変わらず先のことはあまり考えていませんが……。

 始まったばかりのクラリスの治世が落ち着いた頃を見計らって、私達は再びダンジョンに挑戦することにした。

 ただ、その前に色々とやることがある。

 まずはダンジョンがあるクラサンドでの、拠点の移転だ。


 我々の存在はもう公式の物となったので、隠れ住む必要は無くなった。

 むしろクラリスからは、正体を隠さずに庶民と接触して、彼らの魔族に対する不必要な忌避感を払拭(ふっしょく)してほしいと言われている。


 そんな訳でクラサンドの町に、トウキョウ自治領の領事館を建てることになった。

 ここで我が領の建築技術を見せつける為に、結構な豪邸を建設中だ。

 存在感のアピールという面もある。


 そしてその建築の指揮は人に任せて、私達はダンジョンの攻略を進めることになるのだが、まずは冒険者の資格を更新しなければならない。

 今までは人間の姿に化けて冒険者活動をしていたけど、これからは本来の姿で活動することになるからだ。

 しかし見た目が別人なので、その辺の事情を冒険者ギルドに説明するのがちょっとした手間なんだよねぇ……。

 いっそのこと新規登録した方が、いいのかもしれない。


 で、冒険者ギルドへ行くと、さすがに注目を集めた。

 私はキツネ耳と9本の尻尾をつけているし、ネネ姉さんは私の妹か娘に見えるような姿だ。

 更にシファは完全に魔族の姿だし、ココアに至っては尻尾が多いただの赤いキツネである。

 

 うん、小さな女の子に見えるナユタが、1番まともな姿をしているという異常な集団だ……。

 ギルド内にいた冒険者達も、私達に絡んで良いものかどうか迷っている様子だねぇ。

 どう見ても危険人物だもんなぁ……。


 あと、大人……とはいっても、10代半ばの外見をしているのが、私とシファしかいないというのも大きいかもしれない。

 他は子供みたいな外見の者達ばかりだから、迂闊に話しかけるとロリコンの烙印を押されかねないし、そうじゃなくても子供相手に無茶をすれば、鬼畜のそしりを受けることになるだろう。


 それでも空気の読めない者は、何処(どこ)にでもいる。

 こちらに近づいてくる、冒険者らしき男の姿があった。

 うむ、先手を打っておくか。

 私はギルドの受付に向かって──、


「スミマセーン。

 女王陛下からの書簡を、届けに来ましたー!」


「!?」


 と、大声で呼びかけた。

 すると男の動きも止まった。

 さすがに女王の名前を出されたら、迂闊に手は出せないのだろう。

 王族の関係者に手を出したら投獄されるだけならまだしも、最悪の場合は処刑も有り得るからねぇ……。


「はっ、はいぃ!

 女王陛下ですか!?」


 受付のお姉さんが、慌てて出てくる。


「はい、これ。

 ギルドマスターに渡してください」


 私は書簡を渡す。


「た……確かに……!」


 手紙には封蝋がされているけど、それは王家の紋章で印が押されている。

 これを偽造すると普通は死刑なので、偽造する者はまずいないし、お姉さんもそれが分かっているから本物だと信じたようだ。

 なお、手紙の内容は、私達に対して「全面的に協力しろ」ということが書かれている。


 まあ、私達の冒険者活動を邪魔しなければ、それでいいんだけどね。

 だから私達に冒険者の資格をすみやかに与えてほしい……と、お姉さんに希望を出した。


「あの……そちらのお嬢さんは、冒険者の資格を得られる年齢ではないようですが……」


「ん?

 私は立派な大人だぞ?」


 ネネ姉さんは合法ロリだからね。

 いや、日本の基準ならまだ未成年だろうけど、この世界だと14~15歳で大人扱いされる。

 そもそも、妹のシスが出産している時点で、私達はもう立派な成獣だ。


「ああ、この人は私の姉さんだから、実際にはちょっとだけ私よりも年上です」


 まあ、数分から数十分程度だろうけど。

 というか産まれた直後のことはよく分からないので、私の方が姉だと言う可能性すらある。

 単に子ギツネの時に、私よりも身体(からだ)が大きかったから姉として扱っていただけだ。


「え……?

 妹ではなく……?」


「妹はこちらですね。

 こちらは年齢が足りないので、私の従魔という扱いでもいいです」


 と、私はココアを指さす。

 こちらはよく知らないけど、精々5~10歳といったところか。


『よろしくお願いします!』

 

「キツネが妹!?

 というか、頭に声が!?」

 

 お姉さんは困惑しているが、そういうものだと無理矢理納得してもらおう。

 たとえ納得できなくても、無理を通す為のクラリスからの書簡だ。


 まあ、今や辺境伯となった私の権力を使ってもいいんだけど、無名で新興の貴族だと軽んじられるかもしれないから、ここは女王の意向を利用させてもらうよ。

 いつも応援ありがとうございます。

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