表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/216

24 完全体

 お待たせしました。いつもの時間よりも、ちょっとはやく更新します。

 ただし魔法は尻から出る……のかと思った。

 ネネ姉さんの1t(トン)前後はあろうかという脂肪がエネルギーに変換され、それが臀部から放出されたかに見えた。

 だがそれは、9本目の尻尾へと変じている。


 まさか脂肪を生贄に捧げて、レベルアップするとは……。

 そして9本の尻尾になったということは、我らが天狐族の完全体になったということだ。


 つまり姉さんは、人型へと姿を変えることも可能になった。

 しかも私の時もそうだったけど、一番最初は自動的に変化する。


「これが……姉さんの人間形態……」


 目の前に、人型となった姉さんの姿があった。

 しかも脂肪を使い切ったから、痩せている。

 劇的なビフォーアフター!!


 外見は……私と同じ六つ子の1人だから、似ているというか、顔はほぼ同じだな……。

 ただ、今は理性が吹っ飛んでいるようなので、まさに野獣のような顔付きだ。

 

 あと、私よりも身長が高いのは、栄養状態が良くて成長したんだとは思うけど、胸が私よりも大きい。

 ……あれか。

 残った脂肪が胸に行ったのか。

 私のイメージでは姉さんは貧乳なのに、解釈違いだ。

 脂肪を全部使い切れば、良かったのに……。


 それと……私よりも髪が短いのは解釈通りだけど、この差異は何が原因なのだろう……?

 うむ、分からん!


 それにしても、なんという食への執念……。

 これを上手く使えば、自力で奴隷契約の呪縛からも脱することができたかもしれないな……。

 それに今も、食べ物をちらつかせれば、戦闘をやめてくれると思う。


 だけどそんな決着の仕方じゃ、スッキリとしないよなぁ。

 キツネとしては、群れの序列はハッキリさせておかないとね!

 ここは思う存分、()り合おうじゃないか。


 私も人型に戻る。

 服を着直す暇は──、


「ガアアァァァァァっ!!」


「!!」


 無いな。

 姉さんが突然跳びかかってきた。

 しかも速い。


 足の裏からジェット噴射のように、炎を吹き出して推進力にしているようだ。

 そして姉さんの右肘からも、噴射が。

 エルボーロケット(ロケットパンチ)!?


 しかもこれは……強い……!

 (はや)……()…………無理!!

 受け止める、無事で!? できる!?

 (いな)、死──にはしないが、まともに受けたら無傷では済まないぞ!?


 くっ……前もって警戒していれば回避も可能だったが、ちょっとこの攻撃は予想外だ。

 回避が無理なら、腹筋に力を入れて受け──、


「グボォぅっ!?」


 予想以上の腹部への衝撃に、胃液が逆流しそうになった。

 これ、小山が吹き飛びそうな威力だぞ!?


 我らが天狐族の完全体の力……自分で受けてみるととんでもないな……!

 こりゃ、油断できないわ。

 私は神経を研ぎ澄まし、姉さんへと視線を固定きた。


 私が観察していると、姉さんが再び襲いかかったくる。

 彼女は(かかと)から噴射しつつ、回し蹴りを放った。

 ははは、大事な所が丸見えですよ?

 うん、今度は動きに反応できる。


「廻し受け!」


 私は空手の廻し受けで蹴りの軌道を逸らし、姉さんの体勢を崩した。

 そしてすかさず──、


尻尾(テール)昇●拳!!」


 尻尾を跳ね上げて、姉さんに叩きつける。

 しかも9回連続の多段ヒットだ。


「グウゥっ!?」


「肉弾戦では、私には勝てませんよ?」


 完全体になった私達姉妹(しまい)の身体能力には、それほど大きな差は無いだろう。

 だけど私には、前世で見た様々な格闘技や漫画・アニメ・ゲームから得た技の知識がある。

 特に有名な必殺技は、再現できるように練習したからね。

 前世では無理だったことでも、今は超人的な身体能力と魔法の力があるのだから、再現は不可能ではない。

 それならば、試してみるっしょ?

 

 そんな訳で、身体スペックの条件が同じでも、技の差で私が勝つる!

 ……って、


「うおっ!」


 姉さんが手の爪を伸ばして、引っ掻いてきた。

 それから私を真似たのか、尻尾による攻撃も続く。

 その攻撃の鋭さは、さすが野生動物。

 やっぱり油断していい相手ではないな……。


 着実に攻撃を(かわ)して、確実に反撃していこう。

 でも姉さんも防御力が高いから、なかなか決定打にはならない。


 それでも私の攻撃は当たっているので、姉さんがイラついているのは感じ取れた。

 そのもどかしさが蓄積されていき、ついに爆発の時を迎える。


「ガアアァァァァーっ!!」

 

 姉さんの全身から、爆発的に炎が吹き出した。

 私への攻撃が当たらないことにしびれを切らして、全方位攻撃によってすべてを消し去るつもりなのか!?

 実際、今の私達が放つ全力の魔法ならば、小型核程度の威力は出るだろう。

 

 だが、やらせはせん! やらせはせんぞ!!

 私は9本の尻尾をこよりのように(ねじ)って束ね、巨大なドリルを形成する。


「ギガド●ル・ブレイクゥゥゥゥ!!」


 そのドリルを高速回転させ、今にも爆発しそうな姉さんにぶつける。

 すると姉さんは攻撃よりも防御に力をまわさねばならなくなり、かといって攻撃を中断させられるようなタイミングでもない。

 だから彼女は、全方位に放出するはずだったエネルギーを一点に──私のドリルへと集中して叩きつけた。


 しかしそれで、私の攻撃を相殺できると思ったのなら、甘い考えだぞ?

 ドリルは私の魂なので、砕けないのだ!

 いつも応援ありがとうございます。


 次回は火曜か水曜か……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] パロディをちりばめたバトルが楽しい!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ