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12 変態現る

 目の前の女は、どうやら幼女愛好趣味を持っているようだった。

 つまり、まごうことなき変態だ。

 おねロリ……私の好きな言葉です。

 でも、リアルで見ると引くわぁ……。

 

 となると変態の目的は、レイチェルやクラリス、ナユタのようや年端もいかない少女に見える者達の保護……なのか奪取なのか……。

 でも、クラリス以外は、普通に成人しているのだが……。

 ちなみにこの国の成人年齢は法律で決まっている訳ではないけど、(おおむ)ね15歳で大人として扱われる。

 彼女もそのことに気付いたのか、動揺しているようだ。


 ロリコンがロリと大人を誤認するとは、あるまじき失態だからね。

 ……が、


「いや……でも、その可愛らしさは見事だ。

 たとえ偽りだとしても、私はその在り方を賞賛しようではないか。

 そして今すぐ、その胡散臭い連中から助け出してあげよう」


 と、女は開き直った。

 合法ロリでもいけるタイプか。

 そして言動が何処か演技じみていて、自分に酔ったところが感じられる。


「うへぇ……こいつ、気持ち悪い」


 ナユタも(ひる)んだ様子を見せた。

 うん、気持ちは分かるよ。

 確かにナユタは可愛いけど、その褒め言葉も相手による。


 で、変態は剣を抜いて構えた。

 お、意外と隙が無い。

 結構手練(てだ)れなのかな?


「……!」


 ナユタもそれに気付いたのか、表情を引き締めた。

 忠告する必要が無いのだから、彼女も優秀だわ。


「さあ、名誉幼女ちゃん……。

 降参するのなら、今の内だよ?」


「ふざけるなよ。

 降参するのはそっちだ!」


 名誉幼女って……。

 いちいちキモいな。

 だが、ちょっと仲良くできそうだと感じるのは、何故(なぜ)だ……?


『なんとなく、アイ殿と悪ふざけのノリが似ているのぅ……』


 ……言うな、シファ。

 たぶんジャンルとしては私の同類なんだろうけど、認めたくない何かがある。

 これって同族嫌悪……?


 まあ……それはともかく、ナユタと変態の戦いは始まった。

 変態は剣士のようだが、昔のナユタなら熟練の剣士の動きにはついていけなかったことだろう。

 ドワーフの短い手足では、圧倒的にリーチが足りないのは今も変わらない。


 でも、それなら歩数を増やして移動速度を上げ、相手の間合いに踏み込めばいい。

 傍目にはちょこまかと可愛らしく動いているように見えるけど、そんな動きを戦いの場でする人間は少ないので、変態にとっては対応しにくいと思う。

 

 そしてかつてのナユタの大雑把な動きなら、敵の素早い動きには対応できなかっただろうけれど、今の彼女なら相手の動きを見極めて、カウンターを入れることくらいはできる。

 そういう風に特訓した。


 ナユタはわしが育てた(ドヤァ)。


 まあ、変態の方もなかなかの腕前で、ナユタのカウンターを回避している。

 ただ、ナユタはカウンターを狙う為にあまり動く必要はないけれど、変態は攻め続けた結果、体力を(いちじる)しく消耗させて、息が上がってきていた。

 かといって攻撃の手を緩めれば、ナユタから反撃を受ける。


 これなら勝負がつくのは、時間の問題だろう。

 事実、更に数分後──、


「はあ……まいった。

 私の負けだよ……」


 ナユタの寸止めの一撃を突きつけられ、変態は剣を捨てて降参する。

 だが、ナユタには、勝利を喜ぶような様子は無い。

 それは──、

 

「お前がもっと本気を出していたら、オレは勝てなかった……」


「ふっ……偽りとは言え、幼女に対して本気で斬りかかるなんて、私にはできないよ。

 傷つけないように勝つつもりだったのに、それができなかったのは、君の実力が思っていたよりも高かったからさ」


「くっ……負けなかったのはいいが、なんか悔しいぞ……!」


 ナユタは手加減されていたらしい。

 変態は変態でも、幼女を()でて、決して傷つけない変態紳士の方だったか……。


「私達も無闇にあなた達を、傷つけるつもりはありませんよ。

 知り合いの安否確認を、したいだけです。

 そこの2人が、一時期ここの貧民街(スラム)で暮らしていたので」


 クラリスとアリゼが、前に出る。


「私達は知り合いが心配で来たのですよ~。

 シシルナとキャスカの姉妹(しまい)とか……。

 知っていますか~」


「ほう、彼女達か。

 勿論知っているとも。

 彼女達は、私が保護している。

 安心してくれたまえ」


「なんだか、むしろ安心できないのだけど……」


 クラリスの気持ちも分かる。

 この変態に幼女を預けるとか、オオカミの前で赤ずきんにポールダンスを踊らせるようなものだ。


「その()達に、会わせてもらえますか?」

  

「なるほど、君達の目的は分かったよ。

 私を殺さなかったことからも、悪人ではないようだし、信用しよう。

 案内しようじゃないか」


 と、変態は立ち上がる。

 まあ、目的の人物達が何処にいるのかは、「索敵」でもう分かっているので案内は必要無いけど、ここは彼女に任せようか。


「私はリチア・トラーフ。

 今後ともよろしくしてくれたまえ」


 まあ、あまりよろしくしたくないような気もするがね……。

 いつも応援ありがとうございます。


 ちょっと用事があるので、明後日の更新は間に合うかどうか……。

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