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お菓子のような人

作者: 下菊みこと
掲載日:2021/12/01

姉は甘いお菓子のような人だ。優しくて、美人で、肉感があり、一度嵌れば中毒になる。また、もう一度会って話がしたい。男性にそう思わせる魅力のある人。


そしてそれは、私の婚約者も同じだった。


今日は私の誕生日。私を祝うために駆けつけたはずの彼は、しかし私へのお祝いもそこそこに姉の姿を目で追っていた。


姉はその視線に気付くと、甘い表情で笑った。彼はそんな姉に心奪われる。しかし姉は、その後自分の婚約者の腕に抱きついた。


「私にはこの人がいますので」


そんな声が聞こえて来そうな態度だった。私の婚約者は、心底悔しそうだった。


「何故俺の婚約者は姉の方ではなく妹の方なのか」


そんな心無い言葉が聞こえて来そうなその表情。


ああ、どうして私は姉のように人を蕩かす魔性がないのか。


甘いお菓子のような姉にはなれない。わかっていても悔しくて仕方がない。どうして私は姉ではないのか。どうして姉のようになれないのか。


悩んで悩んで、私は吹っ切れた。私は、誕生日である今日、生まれ変わる。


私は小食だったが、無理をしてご飯をたくさん食べるようにした。それこそ、食べ過ぎなくらいに。


私は運動音痴だったが、トレーニングを毎日欠かさないようにした。多少の無理をして、身体に負荷を掛ける。


私は普通の性格だったが、常に人に優しくし微笑みを絶やさないようにした。正直ストレスが尋常じゃないけれど、頑張った。


スタイルや性格は頑張ればなんとかなるが、顔立ちは整形が必要だ。私は両親に許可を得て魔法使いに魔法をかけてもらい、整形した。魔法が馴染むまでの半年間は引きこもり生活となったが、運動は欠かさずきちんと食事も食べた。結果、半年後には私は「二人目の姉」になっていた。


婚約者に会う。だが、婚約者の反応は思っていたものではなかった。


「俺は君をそんなにも傷付けていたのか…?」


彼は私に言った。


「確かに俺は君の姉を愛してしまっていた。けれどそれでも、この想いは捨てようと、君を愛していこうと、そう思っていたんだ…ごめん、待たせてごめん、ここまでさせてごめん…」


ああ、お菓子のような人は姉ではなくこの人かもしれない。私から簡単に諦めの感情を奪い去る。


「魔法は、今なら解除出来ます」


「本当か!?」


「…本当にいいんですか?」


「もちろんだ!」


私が魔法を解除すると、婚約者に抱きしめられた。ああ、やっぱりこの人は甘いお菓子だ…。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 男はこの半年の間に詫びの手紙を書かなかった? [一言] 姉と比べて妹は・・・みたいに言った奴が本当に後悔しているの?そんなすぐに許せるほどその男が好きだったの?
[良い点] 姉へのコンプレックスがひしひしと伝わってきました。 整形までしてでも男性を手にいれたい女性と、姉への思いを立ちきり女性を愛そうとする男性、幸せなラストでよかったです。
[良い点] 文章が綺麗で心情描写が素敵でした。 [一言] 読ませて頂きありがとうございました
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