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第十九話 ヒロイン参上

第十九話 ヒロイン参上


サイド クロノ


 国境沿いの間所まで走っていく。ゆっくりと行くつもりだが、流石に歩いて行ったら時間がかかり過ぎる。馬と同じぐらいの速さで走る事にした。

 途中、盗賊っぽいのに襲われたので撃退して身ぐるみを剝いでいたのだが、関所に近づけば近づくほど襲撃は減っていったので、後半は平和なものだ。

 そして、ついに関所に到着してしまった。


「おお、クロノ少年!壮健で何より!」


 出迎えてくれたマリックさんが笑顔でこちらの肩を叩いてくる。


「えっと……まず紹介状の件、本当にありがとうございました。こちら、つまらないものですが」


 そう言ってお土産を差し出す。干し肉と乾燥させた海藻。あと調味料が少しだ。本当につまらないものだが、この世界でお土産となるとこういった感じになる。それ以外だと綺麗な布や装飾品になるが、マリックさんの場合こういうのが喜ばれると師範代が言っていた。

 一言断りをいれてからマリックさんが中身を確認する。


「おお、これはありがたい!さっそく今夜家内に調理してもらいましょう!」


 その発言にちょっと驚く。え、マリックさんって結婚していたのか。


「ん?ああ、ちょうど一年ほど前に。むしろ私の年齢では遅いぐらいなのですが、カネル村の村長が是非にとお孫さんを紹介してくれましてね。子供もできました!」


 幸せそうにマリックさんが笑う。


「それは、本当におめでとうございます」

「ええ、ありがとう!」


 たぶん、その村長は内心ガッツポーズ決めているだろうな。この世界、強い者が少しでも村にいてくれると心強いものだ。その点、マリックさんは本気をだせばゴブリン数体ぐらいならどうとでもなるぐらい実力がある。


「いやあ、酒を勧められるまま飲んで酔っ払ってしまい、翌日目が覚めた時隣に妻がいたのは流石に驚きましたがね!」


 また一服盛られたのかこの人!?

 思いっきり嵌められているのに、本人は幸せそうに笑っている。まあ。マリックさんがいいのならいいのだろう。


「さて、本当はさっそく手合わせといきたいのですが……」


 突然マリックさんが真面目な顔になる。


「実は、そうも言ってられんのです」

「何かあったんですか?」


 尋ねると、マリックさんが重々しく頷く。雰囲気から、冗談の類ではなさそうだ。


「最近、魔獣の動きが活発になっています。もしかしたらダンブルグ王国で何かあったのかもしれません」

「それは……」

「なので、勤務時間中は万全な状態でありたい。手合わせはまたの機会に」

「わかりました」


 手合わせが延期になったのは嬉しい。だが、その理由が笑えない。

 マルヴォルン王国に来る魔獣はダンブルグを突破してきたのがほとんどだ。それが増ええたという事は、それだけあの国の村や街が滅んだという事でもある。

 あの国があったからマルヴォルンはここまで発展できたと言っても過言ではないかもしれない。まあ、それはそれとしてあの国にいい思い出はないが。

 とにかく、魔獣が増えてきたというならマリックさんが警戒するのもわかる。だが、同時に、自分の稼ぎ時でもある。


「そうですか。では僕は近くの街で冒険者を始めようと思います」

「よろしいので?ここはこの国でも特に危険地帯になりかねませんよ?」

「魔獣はお金になりますから」


 本心である。だが、マリックさんは朗らかに笑う。


「心強い。貴方も魔獣と戦ってくれるというのなら千人の援軍を得たに等しい!」

「いや、別にこの辺の防衛を手伝ったりするわけではないですけど……」

「魔獣を狩ってくれるなら同じことですとも!」


 肩をバンバン叩かれる。ちょっと痛い。

 何はともあれ、用は済んだ。マリックさんに別れを告げた後、一番近くの街、センブルに向かった。


*    *     *


 街道を走っていると、遠くに二人組の人物を見つけた。何かに追われている?

 とりあえず近づいてみると、ラプトルに囲まれていた。二人とも外套でよくわからないが、動きからして大きな怪我はなさそうだ。

 片方がクロスボウを構えて牽制しているが、正直ラプトル相手だと心もとない。というか一発撃ったら再装填の間に死ぬ。

 もう片方はナイフを持っているが。手が震えているしどう見ても戦力にカウントできそうにない。

 だが疑問なのは、二人とも普通の人より魔力がありそうな事だ。アルパスで見た魔法使いより少し少ないぐらいだろうか。

 なんにせよ、観察している間にだいぶ近づいた。


「『筋力増強』『精密稼働』『武器強化』『魔力装甲』」


 バフを盛って剣をぬく。魔獣とは久々だ。ちょうどいいから自分がどれぐらい強くなれたか試してみよう。ついでに月謝で寂しくなった懐を潤すのにもいい。


「そこの二人!助けがいりますか!?」


 だが一応声かけはする。本当は不意打ちで一、二体斬っておきたいが、もしも誘い出すために動いているのなら申し訳ない。


「た、助けてください!って一人!?」

「っ、ダメ!逃げて!」


 判断に困るが、まあピンチなようだ。ラプトルが二体こちらに振り向く。合計六体、これだけのラプトルを同時に相手取るのは初めてだ。

 一鳴きして踊りかかってくる二匹のラプトル。完全にこちらをなめている。好都合だ。

 とりあえず右に抜けながら一閃。思ったよりきれいに首を刎ねることができた。


「ギエ!?」


 動揺したもう一体を素早く切り捨て。残りに突撃する。

 まずナイフを構えている方に一番近いラプトルを狙う。一息に近づき、首を切り捨てる。近くのラプトルが噛みついてくるが、それも躱すと同時に首を絶つ。

 腰のナイフを引き抜いて振り向きざまに投擲。クロスボウ持ちの近くにいたラプトルの頭を貫く。

 残り一体。だが逃げ始めてしまった。とりあえず落ちていた石を拾い上げて投擲。左の後ろ脚に命中し転倒。止めをさした後、尻尾を掴んで引きずって戻る。森に逃げ込まれる前でよかった。


「大丈夫でしたか?お怪我は?」


 多分大丈夫だろうと思いながら、ナイフを回収しつつ問いかける。

 二人組は驚いたようにコクコクと頷く。やはり大丈夫なようだ。布で剣とナイフを拭いてから鞘に抑め、ラプトルを見下ろす。

 魔獣が増えたとは聞いたが、こんな所にまで出ているのか。街道が近いというのに、下手をすれば物流に大ダメージだ。


「つ……」


 クロスボウを持っている方が何かつぶやく。そういえば。先ほどの声からして二人とも女の人っぽい。この世界で女性のみの旅人とは珍しい。

 よく見るとフードの下の顔もかなりの美人さんだ。いったいどうして――。


「強いのにかわいいぃぃぃぃいいいい!」

「ふぁっ!?」


 クロスボウを放り捨てながら跳びかかってきた。一体なんだ。一瞬攻撃かと思って反応しかけるが、『危機察知』が反応しないから敵意はない?

 というか、跳びかかってきているのは美女、というか美少女だ。それを迎撃など出来るはずもない。


「美少女確保ぉぉー!」

「むぐっ」


 胸に抱え込まれた。柔らかい。さらしの感触もするが、それ以上に柔らかい。あと大きい。なにこれ、天国?


「かわいい!髪つやつや!肌もちもち!」


 胸から離されたと思ったら頬ずりされ始めた。いや、それはこちらのセリフだ。この人かなり美少女だ。髪もつやつやで肌ももちもちしている。

 あと、重要なのが態勢を変えても胸が押し付けられている。凄い。柔らかい。自分でも語彙力を失っているのがわかる。


「この子うちの子にする!」

「はい……」


 思わず頷いてしまった。けどしょうがないと思うのだ。前世含めて女性経験がない上に、長い間禁欲生活していたのだ。もう、ゴールしてもいいだろう?


「ダメに決まってるでしょライカ!」

「えー」


 もう一人に引き離される。残念だが、失っていた思考能力が多少戻ってくる。おっぱい。


「ごめんね、私の連れが」

「いいえ、どうぞ気になさらないでください」


 むしろどんどんしてほしい。美少女に抱き着かれて喜ばない健全な男はそういない。しかも巨乳美少女だ。

 もう一人がフードを下ろして頭を下げてくる。こちらも美少女だ。柔らかそうな金髪がふわりと揺れる。

 というか、よく見たら外套越しでも胸の膨らみ凄くない?巨乳じゃない?え、なにこの二人、天使?


「さっきはありがとう。貴女がいなかったら、二人とも死んでたよ」

「いいえ、当然の事をしたまでです。お二人が無事でよかった」


 たぶん今自分は今生、いや前世も含めて一番のキメ顔をしている。その自覚がある。むしろ今しないでいつやるのだ。

 クロスボウを回収していた少女、ライカが戻ってくる。こちらもフードを下ろす。銀色の髪をポニーテールにしていたようでぴょこりと揺れる。銀髪って珍しいな。


「私からもありがとー!強いんだね君!そんな美少女なのに強いとかもう最強じゃない!?」

「いえ、というか僕は男です」


 ここで性別を勘違いされるのは困る。たつフラグもたたない。

 異世界に転生して今年で十一年。ついに前世で見た異世界物っぽい展開なのだ。チャンスを逃がしはしない。

 いや、だが性別を勘違いしていてもらった方が抱き着いて貰えるのでは?悩ましい。


「え、男の子!?」


 二人とも驚いた様子でこちらを観察する。近くにいるだけで癒される気がする。もう、なんというか、巨乳美少女はマイナスイオンでも出ているのだろうか。

 今までむさい男とばかり話していたので、美少女というだけで素晴らしいと思う。ただ、問題もある。

 何を話せばいいのだろう。抱き着かれて先ほどまでテンションが跳ね上がっていたが、今は少し落ち着いた。

 彼女いない歴を前世から更新中の自分にいったいどうしろというのだ。チートはこういう時助けてくれない。


「あれかな?女の子の一人旅で危ないから、性別を偽っているとか」

「違います。本当に男です」

「な、なんだと……!」


 ライカが目を見開いて数歩下がる。そこまで驚く事か?


「私の美少女センサーが誤認した……?」

「美少女センサー……?」

「あ、気にしないで。いつもの事だから」


 金髪の少女が疲れた顔でライカのお尻を叩く。いいなぁ。僕も触りたい。あれ、そう言えばライカさんの発言に違和感があったような……。


「ひゃん!?アイリちゃんたら大胆!」

「馬鹿なこと言ってないで、まじめになって」

「はい」


 クロスボウから矢を外しながら、ライカがこちらに笑いかける。


「改めてありがとう。おかげで助かったよ」

「いいえ、お気になさらず」

「私はライカ。こっちの子がアイリちゃん。よろしくね」

「ライカさんにアイリさんですね。僕はクロノと申します」


 銀髪ポニテ巨乳がライカ。金髪巨乳がアイリ。絶対に忘れない。


「それにしても、本当に強いねクロノちゃん。レッサードラゴニュートをあんなあっさり倒しちゃうなんて」

「……それほどでもありません」


 やばい、一瞬ラプトルの名前忘れていた。そうか、そういえばそんな名前だった。ずっと頭の中でラプトルと呼んでいたのでうっかり。


「いやいや、魔獣を倒せるとか村だったら英雄だよ。マジで」

「うんうん」


 二人とも尊敬の眼差しで見てくれるが、結局はチートによる部分が大きいのでむず痒い。まあ、流石にそろそろチートも自分の力とは思えるようになってきたが。


「それにしても、お二人は何故こんな所に?どこかの隊商とはぐれたのですか?」


 普通、女性のみで街道を歩いたりしない。大抵複数の馬車で進む商人たちと一緒に行動するはずだ。

 二人とも言いづらそうに眼をそらす。何か訳ありか。


「いやぁ、実はねぇ……」

「うん。なんというか……」


 ものすごく言いづらそうだ。ここは無理に聞き出さない方がいいだろう。人間誰だって言いたくないことはある。自分も前世の記憶やチートを吹聴しようとは思わない。


「いえ、無理に話していただく必要はありません。何か事情がおありなんですね」

「えっと、うん。けどそんな隠す事じゃないし、命の恩人に言わないってのもね」


 ライカさんが苦笑いを浮かべる。


「まあ、結論から言っちゃうと、家出かなぁ」

「家出、ですか?」

「そうそう、酷いんだよ。私とアイリを隣村の村長の息子に嫁がせようとしたんだよ?相手の年齢三十九だよ?ありえないって」

「あー」


 確かにその年齢はきつい。あとこれほどの美少女を二人も嫁にとかそいつは死んだ方がいい。


「しかもアイリは薬師の孫なんだよ?もうちょっといい相手探してもいいじゃん。なんなら私が結婚したい」

「いや、ライカも狩人の娘なんだから相手を選べるはずなんだけど……」


 なんと、二人とも村の重要人物の血縁だったのか。これは、村同士の関係を深めるためのものだったのか?川の扱いでもめていたけど和解の印とかって感じで。

 もっとも、自分には関係ないが。


「それは反発するのも仕方ありませんね」

「そうだよね!私も美少女か美少年だったらここまで反発しなかったよ!」

「ライカ、自分に正直すぎるよ……」


 まあ相手の容姿は実際大事だ。

 というか、『美少女か美少年』?先ほど自分を少女と思って抱き着いてきたあたり、もしかして女性も恋愛対象なのだろうか。


「あ!いや、美少女って言ったのは、あれ、言い間違いだから。美青年ね。美青年」

「はあ」


 なんかめっちゃ否定していて逆に怪しい。

 そういえば、この世界の宗教って男同士のは嗜みとして許容しているのに女性同士のは否定的なんだったか?

 それならレズビアン、そうでなくてもバイセクシャルであるのを隠すのは普通かもしれない。

 だから二人そろって冷や汗ダラダラにならなくても。


「あっ、そういえばクロノちゃんはなんで一人でこんな所に?」


 露骨に話をそらされた。まあ構わないが。


「僕はセンブルに向かう途中です。一人なのは、まあ特に理由はありません」

「センブルに?じゃあ私たちと同じだ!」


 なんと。これはもしや運命では?

 待て、落ち着くんだクロノ。ここで『この子自分に惚れてるわ~』とか『これは運命の出会いに違いない』とかはダメだ。

 前世を含めれば違う意味で魔法使い。勘違いしてはいけない。


「もしよろしければ一緒に行きませんか?」


 上ずりそうになる声を全力で抑え込む、ちょっと平坦な声になってしまった。


「いいの!?あ、けど……」

「その、嬉しいけど私達が一緒だと足手まといになっちゃうかなって」


 二人が申し訳なさそうに首を横に振る。

 どっちだ?これは言葉通りの意味なのか、それとも『は?キモイんだよ男女。てめぇと一緒にとか死んでもごめんだ』とかそういう意味なのか?後者だったら泣く。

 考えろ。だがここで口を詰まらせてはならない。時間を稼ぎつつ本意を探れ。


「足手纏いだなんてそんな。そもそも魔獣自体そこまで頻繁にはでないのでは?」


 足手纏いではない事を告げながら、魔獣の事を確認する。

 そもそもこんな街道近くに魔獣が出るのがおかしいのだ。ダンブルグ王国でもあるまいし、マルヴォルン王国では街道や街の周りは定期的に兵士達が巡回している。


「うん、私達もこの辺で魔獣に遭遇するとは思わなかったよ」

「この辺は盗賊も少ないって話だったしね。たしか、金髪で大柄な剣を持った兵士が突然現れて盗賊や獣を切り刻んでいくって噂だったし」


 その噂の人物に凄い心当たりがある。そうか、たしかに関所に近いほど盗賊が少なかったが、あの人が原因か。


「けど、実際でちゃったし……」


 二人とも不安そうだ。まあラプトル六体に囲まれるとか、二メートル以上の熊三頭に囲まれるのと同じだからな。前世だったらちびっている自信がある。

 それにしても、この様子ならこちらへの嫌悪感はない、か……?ならば踏み込むべきだ。


「なら、やっぱり一緒に行きましょう。レッサードラゴニュートの十や二十ぐらいなら蹴散らせますよ」


 アルパスの街で実際それ以上の数切り捨てているから、まるっきり嘘ではない。まあ、本当に二十体も来たら自分はともかく二人も守れるかわからないのだが。


「うーん……なら、申し訳ないけど」

「そうだね。一緒に行っていいかな、クロノちゃん」

「勿論です。どうぞ大船に乗ったつもりでご安心ください」


 よし。とりあえずここでさようならは避けた。ここからどうやってお近づきになるかだ。……どうやってお近づきになればいいのだろう?


「い、いい天気ですね?」

「え、うん。そうだね」


 やってしまったぁ!?やばい。自分は何を言っているのだ。完全に滑った。


「夜になる前に着けるといいですね」

「え、いや、ここからだと馬でも使わない限り今日中には無理じゃないかな」


 またやらかしたぁ!?うっかり自分基準で言ってしまった。これでは二人を足手纏いと言っているようではないか。

 いや、待てよ?


「僕がお二人を抱えていけばすぐですよ」


 これだ。僕の肩に二人を乗せて走ればすぐに街につく。自分の有用性もアピールできるし、合法的に密着できるから一石二鳥!


「う、うん?流石にクロノちゃんの身長で私達を抱えるのは無理があるんじゃ」

「まあまあまあ」


 跪いて両手を真横に広げる。肩に乗れという意図を、二人とも察してくれたようだ。恐る恐る尻を乗せる。

 ほお、厚手のズボン越しでも感じるお尻の感触。二人とも安産型だ。ライカはそれでも張りが凄く、アイリが凄く柔らかい。

 だがあまり堪能してもいられない。不審がられる。勢いで押し通らなければ。


「その、危なかったらすぐやめてね?」

「怪我しないようにね?私な受け身とれるから、無理せず放りだしていいから」

「いいえ、問題ありません」


 ちょっと力をこめれば簡単に立ち上がれる。無論、決して揺れない。スルネイス先生のもとで剣術を習ったのが功をそうした。重心の位置をぶれさせずに済んでいる。


「す、すごい、めっちゃ安定してる」

「だ、大丈夫クロノちゃん!?」

「はい。問題ありません。では、行きます」

「「えっ」」


 その態勢を維持したまま走り出し、三歩目でトップスピードに乗る。ラプトル戦のバフはまだ効いているから、今の自分は馬より速い。


「わ、ちょっ、はや」

「きゃああああ!?」


 ライカがパニックになり、アイリが悲鳴を上げる。そして、咄嗟に二人は互いの手を取り合う。その結果、間に挟まれた自分の頭は二人の太ももに挟まれた。

 なるほど、ここが天国か。

 テンションが跳ね上がり、さらに加速する。今の自分に限界など存在しない。最高速度を更新する。

 二人の悲鳴と密着度が上がる。そして自分の速度が上がる。なるほど、永久機関とはこうやって作るのか。

 センブルの街にはこれから一時間ほどで到着した。二人を下ろしてから、もっとゆっくり行けば更に堪能できたのでは?と気づいてちょっとへこんだ。


 あ、ラプトルの解体を忘れていた。まあ、今回は良しとしよう。



読んでいただきありがとうございます。

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