第三十九話 新たな敵
それぞれの決意が固まり、数日が経った。
ユウギは相変わらず討伐に行かされつつ、レアリナから闘いの指導を受けている。
ライアも契約を交わした剣の扱いに慣れるため、毎日ココロを相手に家の庭で特訓中。
リユウは相変わらず蝶々を追いかけたり、変わった生き物をバスケットケースに詰め込んできたりして、リーナに見せて嫌がる反応を楽しんでいた。
「リーナー!お花積んできたよー!」
「リユウちゃん、、本当にお花?」
「うん!お花だよ!」
リユウはリーナの目の前でバスケットケースのフタを開けた。
「ッキャーーーーー!!リユウちゃん捨てて来てーーーーー!!」
「アハハハ!アハハハ!」
「笑い事じゃありませーーーん!」
一方、デウシスブロウヘルでは、7体大魔、ジエルを抜いた6体が一つの場所に集結していた。
その部屋は普段入る事は出来ず、デウシスの呼び出しがかからない限りは扉は存在しない。
その巨大な扉を抜けると、3メートル程の銅像が左右、此方を見ているかのように約十四体程、奥まで立ち並んでいる。
その姿は、縦2メートルはある剣の先端を地面に立て、持ち手側の先端に赤紫の炎が怪しげに灯されており、身体は筋肉質で鋭い目つきに、背中にはドラゴンの翼、顔は嘴をつけた、全体的に、天狗に似た様なシルエットをしている。
その10メートル先に大きな幕があり、またらさりの幕の左右に、先程の同じ銅像の2倍程した大きさの銅像がこちらを睨むように経っている。
6体大魔の一人、セラフィウルスが幕に向かって、声をかけた。
「お呼び出し感謝いたします!デウシス様!皆が揃いました!」
すると幕の奥から段々と影が見え始め近づいてくる。
次第に大きな影となり、部屋に灯されていた炎がより灯しを増した。
天井に付くまである、大きなデウシスの、影が目の前に現れた。
部屋全体に重い圧がのし掛かる。
揃った悪魔達は、自分の身体を支えるのに少しきつそうに見える。
そして、片膝をつき、膝まずく体勢をとった。
「ジエルを消した奴を殺せ...。あの小娘は我の計画をこれ程にも妨害しておるのだ...。奴が住んでおる町ごと破壊、いや消し去ってこい!レヴィアタン!」
「レヴィアタンだと?何故あいつに、、、」
心中、他の悪魔達はそう悔しがる。
「はい!ありがたき幸せ...。この私、どんな攻撃も魔術も通用しない身体!無敵と言えよう...デウシス様の為、必ず使命を成功に納めてきましょう!」
他の選ばれなかった悪魔達が気に食わぬ顔で、悔しそうに、レヴィアタンを睨んでいる中、セラフィウルスは焦るような顔つきで、デウシス様に話しかけた。
「し、しかし恐れながらデウシス様!それでは関係ない住民や、もしジエルやシェニムもそこで生きているとしたら、、」
デウシスは声を荒上げ、セラフィウルスを中に浮かせ稲妻の様な電撃を身体中に当てる。
「ヴゥゥゥアアア!!!!」
「黙れ!セラフィウルス!こうなればあいつらも関係ない...あの小娘を殺せるのであれば、誰が死のうがどうでもいいのだ!我を侮辱するか貴様は!」
「うわ、、、これ死ぬんじゃね?」
レヴィアタンがぼそっと少し驚いた様にそう口にこぼした。
他の悪魔は恐れた様な顔つきで顔から汗を流していた。
「す、すみま、せん、、、デウシス様、、どうかお許しを、、、」
セラフィウルスの身体は一瞬にして傷だらけになり、地面へと落ちる。
頭から血が流れ、立つことも厳しい状態であったが、回復魔法のヒールを自分に当てた。
「セラフィウルス!貴様は一度奴との戦いに敗れ失敗した身、本来ならば此処で殺すのも考えなくわないぞ...。」
セラフィウルスは形だけの礼儀を見せ、部屋を後にする。
「ジエル、シェニム、ココロが助けたか?もしかするとあいつらが正しいのかもな...。ならまずい、、ココロに知らせなければ、、しかしどうしたら、、、」
実は、セラフィウルスはジエルから、生存が分かる石を預かっていた。
「セラフィウルス、向こうで何があるかわからん。その為、この石が我とシェニムの生存確認ができる。もしどちらかが命を無くしたその時、石の輝きと共に粉々になって消えるのよ。デウシス様には生きていても死んでいても何も知らせないでほしい...」
そうジエルに言われ、石を預かっておりセラフィウルスはココロ達と生きている可能性があると、少し信じていた。
セラフィウルスは一度インキュバシタンボルグには行ったが、あの時は敵として行っている為、シールドを破壊して入ることに成功したが、今や状況が違う。
シールドを破壊して入ったにしても、一瞬にしてココロ達が立ち向かってくるに違いない。
それに他の住民までもを恐れさせてしまい大事になってしまう。
インキュバシタンボルグの場所は、セラフィウルス意外まだ知る者がいない為、何とか時間は稼げるが時間の問題である。
セラフィウルスは悩みに悩んで、咄嗟にジエルから預かっていた石を飲み込んだ...。
「ん?なんだ?これは!?」
するとセラフィウルスの身体は次第に透明化していき、消えていく。
薄暗い空間に重い空気に瞼を支えられなくなり、目が閉じる。
そして目を開けた瞬間、藁が積み上げられている小さな小屋の天井から落ちた。
――ッドサ!!
「いって!って痛くない...何処だここは?」
小屋の扉を開けて外へ出てみると、住民の家の庭だった。
セラフィウルスは訳わからず、庭を歩き回り家の中を除いたり、側からみれば怪しい人にしか見られない。
「ど、どろぼー!!!!」
「え!?泥棒!?どこ!?」
「あなたよ!!やばい!シェニムちゃーん!家の中に逃げてー!怪しい奴が入ってきてるのー!」
「シェニム!?シェニムと言ったか!?」
セラフィウルスはメイド服の格好をしたお手伝いさんに一気に近づき両肩を持ち、もう一度口にした。
「シェニムと言ったのか!?」
「そ、そうよ、、」
心中、メイドさんは「イ、イケメン、、」と思ってしまう。
ルーメニタスとシェニムが、セラフィウルスの前に現れ、シェニムが口を開く。
「セラフィ、、」
「シェニムー!会いたかったぞ!やはり無事だったか!」
セラフィウルスは涙してシェニムを抱き抱えた。
シェニムは恥ずかしそうに上唇を尖らし嬉しそうにニヤける。
「え!?お知り合い!?てかジエルさんとの間に出来た子供だったとか!?」
「ジエルも一緒か!よかった、よかった」
セラフィウルスは安心する。
メイドさんは驚いているがルーメニタスはそうでもなさそうな様子である。
「其方がセラフィウルスか、話はジエルから聞いておるぞ。中々のイクメンやのぉ、、、取り敢えず部屋に案内するからつてこい」
ルーメニタスはセラフィウルスの顔に近づきそう言うと、背中を向け歩き出す。
「あ、はい...イクメンてなんだ?」
セラフィウルスは美人のルーメニタスに照れるように、恥ずかしそうな顔をした。
メイドさんは一目惚れしてしまい、嫉妬を覚えてしまった。
メイドさんの心中
「イクメンてやっぱり!既婚者!?いや、ジエルさんとシェニムちゃんもセラフィさんも顔似てないよなぁ?...」
セラフィウルスが預かっていた石は、ジエル達と繋がっている為、飲み込むことで思う相手が存在する場所に転移する事ができる。
ルーメニタスの城の庭にある、馬の餌がある小屋に落ちたのはそのせいである。
ルーメニタスに案内され、部屋に入るとセラフィウルスはあり得ないくらいの魔力を感じたが悪いものではないと、瞬時に察知した。
「なるほど、、凄まじいこの魔力はどこから?」
「このシールドの魔力はココロと言う者が部屋全体と城全体に張っていってくれた物じゃ。心が汚れている者は、転移でもこの城には入れん様にしてあるが、セラフィウルスは大悪魔の一人であると言うのに、やはりジエルと同じなんじゃの」
「そのココロに伝えねばいけない事があるんだが、その前にジエルは、、?」
すると背後からセラフィウルスの目を掌で負い、声をかける女性が現れた。
「だーれだ?」
「その声は、、ジエル、、」
「っあったりー!」
「ジエル!無事でよかった!」
セラフィウルスへジエルを抱きしめる。
メイドさんは、後ろの方で口を膨らまし嫉妬をしていた。
シェニムはセラフィウルスをしゃがませ、自分と同じ視線に目を合わせ喋る。
「これも全部ココロのお陰。シェニムより強い!そして友達になった!」
「やはりそうか!っでそのココロは?」
ルーメニタスが説明をする。
「ココロは自分達の国へ帰っておるが、そこまで案内するぞ。でもどうしてなんじゃ?」
そしてセラフィウルスは、自分がココロと初めて出会った所から、事細かくココロに会いたい理由を説明した。
ジエル、シェニムも次の敵になるのが、レヴィアタンということを知り、恩返しと言う意味も含め、こころ達の居るインキュバシタンボルグへ向かう事を決意した。
――インキュバに向おうとルーメニタスがゲートを出して進もうとしていたセラフィウルスにメイドが咄嗟に声をかけた、、、。
「あ、あの!私ルフルと言います!セラフィ様は既婚者ですか!?」
「私は、ずっと一人者ですが、、」
「じゃ、あの、無事に帰ってきたら、ルフルとデートしてくれませんか?」
恥ずかしそうにメイドのルフルは顔を赤くして頭を下げた。
恋を全くしてこなかったセラフィウルスには良く理解が出来なかったが、何か頼まれた様子なのは理解した。
「私でよろしければ。こちらに戻った際に、ゆっくりお話でも」
そうニコッとして言うと、セラフィウルス、ルーメニタス、ジエル、シェニムはゲートの中に入っていった。
ルフルは腎臓の鼓動を両手で手で当て、赤くなった顔を俯かせ、一言小さく「やばい...」そう呟いた。
そしてルフルの恋が始まった、、、。
「デウシス様の使命、、果たさせて頂きます。セラフィウルスの好きにはさせない、、、私が悪魔界の頂点に、、、全ては私の為に、、、あーっはははははは!あーっははははは!」




