第三十六話 上級冒険者ディラン
「デウシスブロウヘルの力も共有、、、少し考えさせてください」
ライラはそう言い、血を注ぐために、差し出していた腕をレアリナから引いた。
ライアは少し不安と迷いに頭を悩まされていた。
それも、無理もないはず。
今やドラゴン族は平和を好み、悪魔が住むデウシスブロウヘルとは決裂し、敵と見ている。
ライアも幼い頃から、悪魔ついて両親や兄からよく聞かされていた。
「これはライアちゃんには必ず必要になってくるものなのですが、無理は言いません。どうするからライアちゃんに託します」
「取り敢えず今日は家に帰ろう!」
こころはそう言い、皆んなでギルドを後にした。
「まぁ、ライアの事は心配だが、楽しかったぜ!ココロ達との冒険は初体験だらけだったぞ!また明日からオレは、本業の討伐稼ぎに力を入れてくるぜ!」
こころは出会った頃よりも、増して明るい雰囲気になったフォードを見て「おう!」と声を返す。
リユウは背の高いフォードに近付き、悲しそうな表情で顔を見上げた。
「フォード、、また会える?」
「おーリユウよ!寂しのか!」
「うん、、」
フォードはリユウの頭を撫でる。
「いつでも会えるさ!それにな、オレはこのギルドの二階、クラシオンビアで毎日の様に飲み食いしているから、お前達も食べに来ると良い!最強の友達と酒を交わせるのは誇らしいぜ!」
こころはフォードに尋ねた。
「なぁ、、フォード!」
「なんだ?」
「今から食べていかないか?お金はこっち持ちだ!」
「っふ!今日は家に帰って一人酒でも、、よし!行こう!もう夜だしな!決まりだ!」
「わかりやすい人だ、、、」
ユウギは半笑いをし、フォードはクールに決めて帰宅する積もりが欲に負ける。
「あー!考え事は後からだ!今日は飲むかー!!」
ライアもそう言うと拳を突き上げた。
ギルド内は冒険者や住民達で賑わっていた。
ライア、リユウ、こころ、向かいにフォード、ユウギがテーブルに座り、乾杯を交わす。
「モコロコってなんだ?」
こころは、メニュー表を見て、モコロコ大/中/小に目が入る。
モコロコは地球で言うビールである。アルコール度数は6.5パーセントとちょい高めのクラフトビール。
「飲んでみるか?癖になるぜ……」
フォードは目を細め、誘惑する様に、こころへ問いかけた。
「飲む!じゃリユウも飲むか!?」
「バカ!まだ子供だからダ!メ!だ!アルコールは大人だけ!リユウちゃんはこっちでいいんじゃないか?」
ユウギはそう言うと、リユウにドリンクのメニューを見せる。
《ソフトドリンク》
・カミゴロシのブルーソーダー
・ケンシスジャエール
・オレンジジュース
・子供モコロコ [ノンアル]
・レアリティー
・メティー
「リユウこれ!」
リユウはメニュー表にある一番上のドリンクに指を置いた。
ユウギは目を疑う。
「ん?カミゴロシのブルーソーダ、、、」
「まてまて、ソフトじゃないネーミングだろこれは、、、。しかもこれ剣士死すって事だよな、、、」
クラシオンビアは安定に賑わっている。
そんな中、気性が荒そうな、男達二人が、こころ達へと近づいて来た。
「お前ら、噂で聞いてるぜ!つえーんだってな!なんなら俺らのパーティーに入ってくれよ!な!いいだろ?今や人手が足んなくてさぁ、、、」
男は、こころ達が座るテーブルに、手をドン!っと付き、ユウギやフォードを睨む。
そしてライアは、怖がっているリユウの肩に手を添えて自分の胸元へ引き寄せた。
「ねぇ!怖がっているじゃない!それに、人にものを頼むときの態度じゃないわよ!」
ライアは二人の男にそう口にした。
「なんだ!ねぇちゃん……。俺はこの都市で一番稼いでる上級冒険者のバッグファイアーのリーダー、ディラン様だぞ!」
こころは、「だっさ」と口にして、クス笑いをした。
「おい何だ、ピンク髪のガキ!」
周りの客人も静かになり、大人しくなる。
「あいつら、あのバッグファイアーのディラン様に、、、」
「ディランに歯向かうとは、、、。命を落としたみたいなもんだぞ」
「だっさ!って言ったんだけど聞こえなかったか?」
食べながら余裕の笑みで、こころはディランへ喋る。
「生意気なガキ娘だなぁ……」
こころに任せておけばと、ユウギ達はある意味安心はしていた。
そしてこころは、ディランの前に出る。
「生意気もなにも、そっちから初対面のボク達に大きな態度で、入り込んできたんじゃないか?」
「つべこべうっせぇ!!」
するとディランは、こころに向かって拳を出した。
「イタタタタタ!なんだ!やめろ!俺の腕が、、、やめてくれ!」
ディランが出した拳は一瞬にして使用不能になり、涙目になって叫ぶ。
こころは術式無しに、左目から発動させた魔法で、約500kgの圧力をディランの腕全体にかけた。
「弱いな、、、上級冒険者かなんだか知らないけど、階級を超えた強さがある事も、そのバーカな頭に叩き入れておけ!」
「ディラン様!一体何が、、、」
もう一人の仲間がディランへ駆け寄った。
「さわるな!クソが!お前、な、なんなんだ!化け物か、、、?俺の腕が、、」
周りの客人や店員も、想像を超えた魔力を感じて驚いていた。
ユウギの心中はもう無茶苦茶であった。
「こころ、やり過ぎたな、、、。あーもー絶対悪目立ちしただろこれ。これ以上この場所に居られるのも時間の問題だろうな、、、これから俺らはどうしたら……」
「こころを怒らしちまうと、誰も止められんからなぁ、、、」
フォードは肉を咥えながらそう口にした。
こころは、リユウを怖がらせた事に怒っているだけではあるが、リユウに関しては些細な事であろうと怒りが爆発してしまう。
「お前、ディランと言ったか!?」
「ああ、、、」
「次はどこに圧力をかけようか、、な?」
「や、やめてくれ!謝る!」
「冗談だ!取り敢えずヒールで潰れた腕治してやるけど次はないぞ!」
「この状態から治せるだと、、、」
「余裕!」
「はぁ、、、。恐ろし過ぎるな。これからは利口にして生きるわ」
ディランは、背中を向けそう言い、俯いたまま、元の場所に戻っていく。
ユウギは頭を抱え「もう終わった!」と高速で心中繰り返しす。
周りの客人は歓声を上げ、こころ達へ喜びを見せた。
「皆んな喜んでる?」
ユウギは周りを見渡し、フォードに背中を叩かれた。
「ユウギ!大丈夫だ!見ろ!」
「さぁ!飲み直しね!っね!リユウ!」
「うん!そうだね!」
ライアもリユウも笑顔で見つめ合っていた。
「よっしゃー!!!!お母さんが好きだったお酒を死ぬほど飲みまくるぞー!!!!」
こころは、下界で、お母さんが飲んでいたお酒に興味はあったものの、犬の体質的に苦手としていたが、人間の姿になってからは、苦手としておらず、アルコールの気持ち良さをこれから知ることとなる。
「みんなー!今日は、ここにいる剣士さんの奢りよー!じゃっん、じゃっん飲んでー!」
「おい!ライア!何を!、、、。明日からまた討伐の日々か……」
ユウギは明日から、また一人で魔物討伐に行かされるのでは無いかと懸念していた。
――飲み騒いだ後、こころ達はフォードと別れ、ホームへ返ってきていた。
「でか!これが家なの!?」
ライアは初めて来た為驚いていた。
「ライアの家は城だからこれよりもでかいじゃないか」
「ユウギ達の家って、もっとこう、庶民的な風なさ!」
「金持ちにしては、そこの感覚にブレはないんだな」
「失礼な!こう見えて結構節約派なんだから!」
「まともで助かるよ、、」
そしてココロ達は家の中へ入り、リーナがお出迎えしてくれた。
「皆さま!おかえりなさい!無事でよかったです」
「リーナーたーだーいーまー、、、」
「ココロ様!だいぶ酔われていますね……」
「いっぱいお酒飲んでたよ」
リユウに背中を支えられ、もたれかかっているココロに、リーナは酔い覚めの魔法をかけた。
「ココロ様らしいですね。酔い覚ましの魔法使いますね!このままだとお風呂で倒れてしまいますから」
「悪いなリーナ」
ユウギは礼をした。
「っお!酔いが覚めた!」
リーナはライアに気にかける。
「そちらのお嬢様は?」
「初めまして、ライア・トワイライトと言います。こう見えてドラゴン族です。色々とあって一緒に過ごさせてもらう事になりました」
「そうなのですね!初めまして。私は、リーナ・アンファレルと申します。ここで、ココロ様達の使用人を務めさせていただいている者です。これから宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくね」
「じゃー、みんなで大浴場だー!!」
ココロは早速皆んなを引き連れて大浴場に向かった。




