第三十四話 トワイライト・グラディウス
――ひと段落し、インキュバに戻ったこころ達は街の路地裏に転移し、エァナの店へ、再生の魔石、ディスレグティオを渡しに向かう。
「ジエルもシェニムもあそこで上手く暮らせていけるといいな」
こころはそう二人の先を願い、ユウギも前向きな言葉をかけた。
「あの二人なら大丈夫だろう」
インキュバの街、アイエリアは相変わらず明るくいい街並みで、落ち着きがある感じで賑わっている。
「此処がココロ達が住んでいる国なのね……。気に入ったわ!」
ライアはアイエリアの風景を見渡しながら歩く。
「ライア!この街のニクは美味いんだぞ!」
「おー!オニク!」
こころはライアに、肉の話をすると、リユウが目をキラキラさせた。
「一度食べてみたいわ!」
「あそこだ!」
こころは立ち並んでる出店に指を刺した。
「……あの、その節はお世話になりました」
ユウギは店主に声をかける。
「おー!久しぶりだな!良いってことよ!仲間が増えているじゃないか!あんたら、いいパーティーを組めたみたいだな!」
リユウは店主に声をかける。
「おニクのおじちゃん!こんにちは」
「おー!お嬢ちゃん!そうだぞー。おニクのおじちゃんだぞー」
リユウはクスクス笑う。
ライアは、肉の焼く匂いに惹かれ、炭火で焼かれている骨つき肉を、ヨダレを垂らしながら見つめている。
「お、おいひそー、、、」
「おじちゃん!人数分ちょうだい!」
「おい!ココロ!勝手に……」
こころは基本お金をよく理解していない為、全てユウギ任せであった。
「フォードさんも良かったら一生にたべませんか?」
フォードは肉が大好物で、そう言うユウギの直ぐ後ろに立つフォードは、垂れた目で、ヨダレが垂れ流し状態である姿が、ユウギの目に映る。
「皆んなで食べよう!!」
こころはそう言い、ユウギに人数分買わせた。
「アッハッハ!ありがとよ!獣人のお嬢ちゃんには、またリボンを付けてやろう!」
「エマーノス!」
リユウは店主からリボン付きの肉を受け取り、肉を空に突き上げ、エマーノスと叫んだ。
「エマーノス?……」
「あ、な、なんでも無いんです。最近剣士とかに憧れ始めたみたいで、、、。アハ、アハハハハ……」
ユウギは誤魔化したあと、リユウに耳打ちをする。
「……リユウちゃん、エマーノスの事はなるべく黙っておこうね。悪い奴らが狙ってくるかもしれないからね」
「うん!わかった、わかった。ヨシヨシ」
「なんで?・・・」
ユウギは、リユウに頭をポンポンされ、目が点になる。
「まぁ、冒険者さん達よ!肉食ってチカラ付けてくれ!っな!将来の戦士ちゃん!」
店主はそう言い、リユウに親指を立てウィンクをした。
するとリユウも親指を立て返した。
ライアは肉を頬張りながら歩く。
「何!?このお肉!美味し過ぎでしょ!もうヤバい。中毒になりそー」
「デブまっしぐらだな!」
こころはライアを揶揄った。
「デ、デブにはならないわよ!こんなスタイルの良いライア様が!」
30分後、、、。
…………ッゲプ
「やばい、食べ過ぎた……」
ライアはあれから、色んな出店の物を食べ歩き、お腹がパンパンなるまで食べ続けてしまった。
「ライアよ、大丈夫か?……」
フォードが少し笑いながらライアを気にかける。
そしてこころは、ライアのお腹をみて笑い出した。
「だから言ったのに。こりゃ妊娠8ヶ月だな!アハハハハ!」
「笑うな!」
そして、こころ達はエァナの店に着いた。
店の中に入るがエァナの姿が見当たらない。
「エァナー?あれ?居ないのか?」
こころは奥を覗きながら声をかける。
店の中に入るが、エァナの気配がない。
……ガ、ガガガガガガーン!
「なんだ!?」
二階から物凄い音が鳴り響き、こころを始め、皆んなビックリする。
「すみませーん!ちょっと今在庫の整理を、、、。あら!皆んな!おかえりなさい。無事だったのっ、、」
ガガガガガン!
「ね、、、」
段ボールを三箱積み上げながら、二階から降りて来るエァナは足を滑らせてしまった。
美人ではあるが、しっかりしている様な顔でもなく、声からして天然な所は見てわかる。
「無事じゃないのはエァナ……」
こころは階段から滑り落ちたエァナにそう言った。
「アハハハ!久しぶりですね。ココちゃん、お友達が一人増えたのですね」
「ドラゴン族のライアだ!」
「ライア・トワイライトと言います!」
「まぁ!ドラゴンて人の姿にも変えられるのね!あ、あのよろしければ、鱗の一部って、、、」
「っあ!いいですよ!いくらでも!再生しますので!なんなら尻尾ごと差し上げます!」
エァナのやらしさや、図々しさには憎めないオーラがあり、誰でも気軽に了承を得る事が唯一のセンスでもある。
ライアは、人の身体に、角と尻尾が生えた第二形態になり、太い尻尾を切り落とした。
「はい!どうぞ!」
「なんかグロ、、、」
こころは少し引く。
「再生するの分かってても、なかなかのスプラッター映像だな、これ……」
ユウギはリユウの視界を手で覆い、片目を瞑り薄々と、ライアの尻尾の付け根を見つめる。
「ライアよ、、、痛くないのか?」
フォードは体を振るわせた。
「尾の付けには痛みはないわ!また5分もしたら直ぐ元に戻るし」
「あら、ありがとーう!ドラゴンの鱗は貴重なのよ!それに、ドラゴンの血と肉も、最高級のヒールポーションを作る材料になるのよ!っあ!ごめんなさい!つい取り乱してしまいました。申し遅れました。私はここ、アトリエァナのオーナー、エァナです。よろしく」
「よろしくエァナさん!このお店すごく素敵ですね!」
「ライちゃんにもわかる?この素敵さ!明日にはもっといい店になりますわ!《これだけのドラゴンの素材があれば明日から私の生活も潤って潤って、、、えへ、えへえへ》えへえへへへ、、、」
「どうした?エァナ、、」
こころは、エァナの心の声が、無意識に口へ出ていた様子に気を掛けた。
「っあ!な、なんでもありませよ!」
「そうだった!はい!これ!」
エァナは大喜びをする。
「まぁ!本当に取って来てくれたのね!再生の魔石、、、。やっぱりキレイ……」
「こっちの世界では本当に珍しいのね」
ライアが住んでいたイグニドラングでは、石ころの様に転がっているくらいの物であった為、子供の頃はよく砕いで遊んでいたらしい。
「これで、リユウちゃんのポンチョはタダって事で、それと、これは手間量と、魔石の分ね。それにライちゃん、ちょっと待っててね」
こころはお金が入った小袋を受け取り、エァナはまた二階に上がっていった。
……ガガガガガ、ガッガン!!!!
「またか……」
こころが身を引く様に構えた。
「おまたせー」
――ドン!
エァナはカウンターに、重たそうな長方形の大きな黒のハードケースな様な物を置いた。
そのケースには頑丈な鍵が、五つに分かれかけられており、加工された石を、はめ込む様に施された場所があり、ドラゴンであろう赤い模様がケース全体に浮かび上がっている。
「な、何ですか!?これは!?」
ライアはビックリしている。
「これはね、、、私にもよく分からなくて、ドラゴンの娘が現れた時にわかると、レアリナ様が……」
「ん!?」
こころがケースの横に施された文字列を見て、首を傾げた。
「なぁ、ライア!」
「なにー?」
「この文字、ライアの家で見たような……」
「なになに?トワイライト、、グラディウス……。これ私の家に飾ってある、大きな額に描かれた、剣の刃に書かれている文字よ!」
「おいまさか!」
フォードも何気に興味津々である。
「リユウのエマーノス見たいに契約するのかな?」
「まだよくわからないなぁ、、、」
リユウもユウギも少し興奮している。
こころはライアの家のソファーに座っていた時、正面の壁に飾られていた、剣の額を少し気にしながら見ていた為、微かに記憶に残っていた。
「ココロ、よく覚えていたわね!」
「あの額少し気になってたんだよ!」
「ココ姉すごい!」
リユウが関心の笑みを見せた。
「でも何故レアリナがエァナに?」
「何故なんでしょう?……」
こころはエァナに尋ねるがエァナ自身もわかっていない。
「開け方もわからないし、レアリナなら何かわかるかもしれい!聞いてみるか!」
こころはレアリナに聞くことにして、フォードに剣が入っているであろう、長方形のケースを背負わせた。
「レアリナ!?、お、おい、、クソ重い……」
「レアリナって?」
ライアはこころに尋ねる。
「ライアはまだ知らなかったな。レアリナはこの国、インキュバシタンボルグを作った人物だ」
こころは足を組み、部屋の柱に手を当てる。
「そんなすごい人に!?」
「ただの普通な人!さっそくレアリナが出勤しているギルドに向かおう!」
「普通ではないぞ、、、普通では……」
ユウギは小さく呟いた………。




