第三十三話 リユウの再開
「ココローーーーー」
ユウギとライアは叫んだ。
こころは剣を振り下ろし、二人に光が放ち姿が一瞬見えなくなった。
二人の心臓に、一撃で剣から放たれた光が突き刺さる。
「断ち切れ!アプシディーデント!」
二人を突き刺した光は砂の様に細かく散り消えた。
「あれ?私、生きているの?」
ジエルは、光が突き刺さったはずの場所を手で押さえる。
「シェニムも生きてる……」
「おい!ココロ!何をしたんだ!?」
「ユウギ、さっきから煩いなー。二人を殺したんだよ」
こころは半目でユウギを睨む。
「いや、生きてるじゃないか!」
「生きてるの?幽霊!?」
「ココロよ!一体どう言う事だ?」
ユウギとフォードは困惑し、ライアは幽霊なのかと疑った。
こころは剣を空間に戻し、椅子に座り喋りだす。
「まぁ、ジエルとシェニムはデウシスに生存、存在自体を感知されていたから、剣の力で断ち切り、あのデウシスヴロウヘルでは死んだ事にしたって事」
こころは肉を頬張りながら喋り続ける。
「死んだことにってどう言うことだよ!」
「ココ姉は最初からそのつもりだったんだよ」
「大胆でかつ思いつきが早いのう」
リユウとルメ様は最初から気づいていた様子で、ユウギは未だに理解が出来ていない。
「馬鹿だなー。ユウギはまだわからんのか!?呑み込みが遅いなぁ」
「あぁ!馬鹿で悪かったな!」
「……仲良し」
こころとユウギを見たシェニムがふと口にした。
「仲良くねー!」
「仲良くない!」
二人は大否定し叫ぶ。
ジエルは地球での経験からある物で例える。
「地球で言えばGPSみたいな物で、感知されていて、その繋げられた回線を断ち切ったということなのね」
「ジエルは、だーれかさんと違って、物分かりが早い。そうだ!だから今日からエゴイディーアの住人!ジエルやシェニムには、デウシスは魔力でも触れることはできない。、まぁ此処にいるとまでは、感知されていないし、あくまでも生存を確かめるためのものだから、奴らに狙われる心配もいらない。さぁ二人とも!我を崇めたまえー」
「トイレ行ってくる!」
ユウギはしかめっ面をしてトイレに向かった。
ジエルとシェニムは、解放されたかのように涙目になり、目を瞑り両手を広げ、神の真似をしているこころへお礼を言う。
「ココロ!ありがとう!私はこれからも生きていいのだろうか!?幸せになってもいいのか!?」
「もちろん!その権利は自由だ!犯した罪は戻せないが、全てはデウシスの仕業だ!それに今のジエルとシェニムなら、地球で暮らすことも可能だ!ボクの魔法で送り届けることも出来るぞ!だけど問題が一つある!」
「問題?……」
ジエルは首を傾げた。
「あぁ、地球で、誰かの死体を乗っ取ってしまえば転生が可能だ!死体が病気持ちだったとしても、そこは関係なく、要素や健康そのものは今の二人とは変わらない。どうする?」
「……それは凄く有難いのだけど、取り敢えず、シェニムとリリンの二人だけでは心配だし、親代わりとして、このエゴイディーアで共に過ごしていくわ。地球に行きたくなったら、その時はお願いね」
「シェニムもそうしたい、、、」
「わかった!じぁ、さっそくリリンに会いに行こう!ルメちゃん!これでいいんだろ?」
「《コ、ココロが我にル、ルメちゃん!嬉しいのう……。ルメちゃんなんて、姉のレアリナしか言わんからのう》あ、ゴホン!半分以上はココロの提案じゃ、礼を言う」
心中、ルメ様はこころがちゃん付けした事に照れ喜んでいた。
そして、こころ達は、拾われた子供達が住んでいる寮の門に辿り着く。
「ルメ様ーーーー」
施設の何人かの子供達がルメ様に近寄ってきた。
ルメ様は、門越しに語りかける。
「おー!元気にしておったか!?」
「うん!」
施設の子供達は元気に返事をする。
すると奥から、美しい女性が此方に向かって歩いてきた。
「ルメ様、お久しぶりです」
「久しいな、レイラ!上手くやってそうで安心した」
「はい。お陰様で、今門を開けますね」
ゆっくりと両扉の門がスライドする様に開き始めると同時に、リユウの様子がおかしくなる。
「リユウ、どうした?」
「ん?」
こころが様子を伺う。
ユウギも心配していた。
「マ、ママ……」
リユウがふと口にした。
「リユウちゃんのお母さん!?」
「たまげたなー!そうか、インキュバの獣人族は、ルメ様のこの魔界で保護されていたんだったなぁ!」
「リユウちゃん、よかったねーぇーえぇー」
「なんてキレイなお母さんなんだ!」
ユウギとフォードに続き、ライアは感動の涙を流し、こころは美しさに圧倒されていた。
「リユウ!無事だったのね!」
「ママーーー」
リユウとレイラは涙目で抱き合った。
「リユウ、こんなに立派になって、良くここまで辿り着けたわね」
「うん!ココ姉がリユウを拾ってくれたの!それにこの服も可愛いでしょ?ココ姉がお店で頼んでくれたんだよ!それにおやつもたくさん!」
「レイラにそっくりだー」
施設の子供達は、リユウとレイラの顔を見合わせてビックリしていた。
リユウはニコニコしながらママ、レイラに語りかける。
「ココ姉?」
「うん!紹介するね!あそこにいるのがココ姉だよ!それにユウギと、でっかいのがフォード!皆んなリユウの仲間だよ!」
レイラはこころに目を向けた。
「まぁ、あなたがリユウを?」
「……あ、はい、まぁ、、、」
こころはどこか不安そうな表情をしていた。
「ありがとうございます!理由は聞いていると思いますが、あんなことがあったが為に、リユウに苦労をさせてしまい、あなた方達に助けてもらうことに……。どうぞ中へ」
「ココロよ、安心しろ。誰もお前からリユウをとらん。」
皆んな施設の庭へ入っていき、こころとルメ様は後に続いて入っていく。
ルメ様はこころに気をかけていた。
こころは、リユウとママ、レイラが会えた事で、リユウが自分と離れ、レイラと共に暮らす事になるんじゃないだろうかと、不安で仕方がなかった。
こころ達は、施設の応接間に案内され、ソファーに座る。
向かえに、ルメ様、レイラ、リユウが座る。
「改めまして、リユウの母、レイラ・ウェアルと申します。」
《レイラ・ウェアル》
種族:獣人
リユウの実の母。
要素:落ち着いた品のある女性で、瞳はリユウそっくりであるが、盈盈としている。
現在は、エゴイディーアにある養護施設の園長を勤めている。
「俺は、インキュバに住むフォード!」
「自分はレアリナ城の剣士ユウギです」
「ココロ、、、」
こころだけテンションが下がっていて、頭の上に黒い影の様なものが、ふわふわと浮かんで見えそうな様子。
「おい、、、こころ。取り敢えず喜んでやれよ……」
「ココロ、ここは一様、、、ね」
ユウギは小さな声でこころに問いかけ、ライアも耳打ちをする。
「ココロさん、本当にありがとうございます。あなたが居なければ、リユウもどうなっていたかわかりません。幸せそうなリユウの姿が見れてとても安心しました」
「はい……。それはよかったです」
「ココ姉。インキュバに戻ったら美味しいもの食べさせてくれるんでしょ?」
「リユウ?」
こころは、リユウのその言葉に、憂鬱になっていた表情が少し晴れる。
「リユウ、此処には残らないよ!リユウの居場所はココ姉の横って決めているんだから。元気出して!」
「リ、リユウゥーーー」
こころの目が潤い出す。
「ココロ!だから言ったであろうに。まぁ、そう言う事じゃ!」
「ココロさん、リユウがこれから成長していき、立派に育っていくには、私といるよりは、外の世界で旅をさせることが、これからのリユウの為でもあると思っております。可愛い子には旅をさせろ!とも言いますしね。ですので今後とも、リユウをよろしくお願いします」
「よりょしくお願いしましゅ!」
レイラとリユウは、こころ達に頭を下げた。
「そう言えばパパは?」
リユウは気がつく様に気にし始めた。
「今、他の村に委託医者として出でいるわ!帰ったら、リユウの無事を報告しておくわね」
――一方、こころ達に忘れられていたジエルは、別の部屋で、児童達に引っ張られ、縫いぐるみを投げつけられたり、おもちゃの様に扱われ遊ばられていた。
「おばさん!」
「誰がおばさんじゃ!ガキャ!」
ジエルの顔面にボールが飛んできた。
――ドン!
「痛い!ちょと!っあー!こら!シェニムー!助けてー!」
シェニムは廊下にでて、日が射仕込む、ガラス張りの大きな部屋で、空を眺める少女を見つける。
「リ、リン……」
「お姉ちゃーーーーん」
シェニムの声に反応し、後ろを振り向いた。
当時の記憶がフラッシュバックし、涙を流し始るリリンはシェニムに飛びついていった。
――我の精神魔法を断ち切るとは、、、。
デウシス様!
「なんだ!?」
ジエルとシェニムの気配が消えてしまいました!
それに、ルーメニタスを捉えることが、、、。
「分かっておる……。作戦はどうだっていい。我の魔力に対抗できた奴の仕業としか考えにくい。殺したのか、、もしくは何らかのやり方で生かしている可能性も、、、。今は日結晶石よりも奴を調べることが優先だ……」




