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第三十一話 悪魔の少女


 ――ルメ様達は、攻めてくる敵への体制を整えていた。


 「ルメ様!本当に大丈夫でしょうか?」


 ルメ様に使える堕天使がそう口にする。


 「まぁ、一瞬にして結界は破ってくるであろうなぁ、、、案ずるな、我も何万年も前に、奴らと戦闘を繰り返してきた者!大体は把握しておる。奴らがパワーアップしておる可能性は高いが、多少共時間稼ぎにはるであろう、、、」


 「時間稼ぎ?、、、」


 「その時が来れば分かる……そろそろか?」


 ルメ様は遠い先を見ながらそう言った。


 ――デウシスヴロウヘル、デウシスに使う七体大悪魔の一人、《ジエル》とその使い魔達が、結界をたやすく劣り抜け姿を表した。


 ――イーディピアル!

 

 ジエルは術式を展開し、エゴイディーアに張られた結界をすんなりと抜けてしまう。


 「お前たち!油断するでないぞ!……《あー焦ったー。上手くいかんと思ったけどよかったー》」

 

 「ジエル様!さすがです!あの様な強力な結界までも通り抜けてしまうとわ」


 「ふん!当たり前だ!感心してる暇があったら働け!」


 ジエルは、本当に結界をすり抜けられるか不安であった。階級下の使い魔達の前で、恥をかかぬ様と、必死である。

 それも無理もない。

 ジエルは昔、ルーメニタスにコテンパンでされている経歴があるからだ。


 「来よったな!ジエル……。お前達!行け!使い魔達をこの城に寄せさせるでないぞ!」


 ルメ様はこちら側の使い魔たちに攻撃の命令をする。

 ジエルは、エゴイディーアに張られた結界をすり抜けられるかが不安であった。階級下の使い魔達の前で、恥をかかぬ様と、必死である。

 それも無理もない。

 ジエルは昔、ルメ様にコテンパンにされている経歴があるからだ。

 今回の使い魔は前回とは違い、人の姿をした、黒のローブを纏った者達が150人相当居る。その中に、たった一人、背後に死神の様な影が蠢いている少女の姿がある。

 その姿は、金色の術式の文字が、一列に浮かび上がっている黒のローブに、少し跳ねた、白いロングな髪がへそ当たりまで伸びている。

感情が無さそうな赤い目、地球で言えば16才くらいに見える少女だ。


 「にぇ、、、ジエル、、早やく殺すぃたい……。まだどぁダメ?」


 「シェニム、焦るな。まずはあいつ達に行かせてやれ……。しかしなんだ!あの戦い振りは!アハ、アハハハハ!アイツらあんな普通の、ごく一般的な使い魔達とやり合って、戦っている気でいるなんて、バッカみたい!アハハハハ」


 ジエルはニヤついた顔で一生懸命に戦っている互いの使い魔達を小馬鹿にしていた。


 「はぁ、、、見物でもすぃてるとゅ言いわ……」


 呆れた様に一言こぼし、シェニムは中に浮いていた身体を建物の屋上に降ろす。


 「シェニムぅ!冷たくしないでよー!」


 ジエルもシェニムに着いていき、建物の屋根に足を下ろした。

 そして急にジエルは殺気に囚われる。


 「なに!?この感覚?」


 ジエルは目を見開き身体を固めた。


 「ギリ、ってとこかな?あなたが今日の頭?」


 ライアはジエルの真後ろに付き、そう耳元で囁いた。


 「気配無しで私の背後に……。なぜ、、」


 「さぁ、なぜでしょう?」


 ジエルは直ぐにライアから離れた。


 「シェ、シェニム!?早くこいつらを……。嘘でしょ?シェニムの守護霊が……」


 こころ達はルメ様の魔界、エゴイディーアに到着したのだ。


 「っあ、ジャビル消された、、、守護霊だったのに……」


 シェニムはふと自分の後ろを確認し、背後に付いていた、死神らしき形をした、ジャビルと言う守護霊が突然消えた事に、少し驚きを見せる。


 「ごめん、ごめん、、。あれ守護霊だったんだ!なら戻してあげる!当たり前の存在が居なくなるのは寂しいもんね」


 こころはそう言い、術式無しで右手の掌から、黒い影が回転し、シェニムに流れて戻されていく。


 「はぁ、、、焦った。あにゃた強い?」


 シェニムはこころにレベルを確認する。


 「ボクは、、、強い!」


 「じゃぁ、、、敵って事でいい?」


 「取り敢えず君を倒してから決める……」


 こころはやむ終えない現状を理解している為、取り敢えず倒すことを最優先した。


 「じゃぁ、シェニムの強さ見してあげる」


 シェニムは独特な癖のある喋り方で、そう言うと、足を踏み込み、こころへと身体を吹っ飛ばす。


 ――グゥウオオンーーーー


 「ぅわお!あっぶなー、、、ボクと同じの使えるんだ、、やるねぇ。レベルもこの世界では普通に強いみたい」


 こころはシェニムのステータスを左目で確認した。


 《シェニム》

 種族:妖魔

 年齢:不明

 出身地:不明

 身長:140センチ

 Lv:800

 HP:1400/MP:700

 攻撃力:3200/防御力:2000

 素早さ:20000


 そして少し楽しそうな表情で、シェニムに立ち向って行く。

 ライアは仁王立ちし、ジエルに言葉をかける。


 「あなたは私が相手よ!」


 「っふ、ドラゴンね、なるほど。《こわい!やばい!逃げたい!なんなの!あの娘!それにあのピンク髪の娘も!シェニムの守護令を一瞬で消し飛ばし、更には同情して戻してあげるなんて、、、。なんなよー》ドラゴンさん?私はそんな怪しい者では」


 ジエルは心中かなり怯えていた。


 「どう見たって敵じゃないですか!ぶつぶつ言ってないで私の相手になりなさーーーい」


 ライアは人の姿に角と尻尾が生えた、第二形体の身体でジエルに立ち向かっていく。


 ――一方、シェニムは特殊な形をした鎌から、黒の電流が覆った、紫色の球を作り出し、こころへと放つ。


 「……リークオプスフォース!」

 

 こころはシュビルナースレイブを空間から引き抜いた。


 「破壊吸収ディーストリークォニーレイ!」


 シェニムは驚く。

 こころのシュビルナースレイブに球体が絡み付くが、球体の魔力を吸収し、その魔力をコピーした。

 そして、新たに作り出した球体を、シェニムへと放ち返した。自分が放った攻撃をくらったシェニムは、建物の屋上から身を投げ出され、こころは一気に近づき、軽く地面へ蹴り落とす。


 「ッウッハ!溝内が、、、。リリ、」


 シェニムは一言何かを言いかけ、気を失う。


 「リユウ、この子にヒールを当ててあげてて」

 

 リユウは、ひょこんと魔法のバッグから顔出す。


 「ココ姉、この子悪者じゃないの?それにリユウ、ヒールなんて、、、」


 「大丈夫!リユウのステータスは把握済み!それにあの子、訳ありだ!だから助ける!」


 「ワケ?でもココ姉がそう言うなら!」

 

 「後で、インキュバに帰ったら美味しいもの食べに行こうな!」


 「うん!」

 

 そしてリユウはバッグから飛び出し、シェニムへと向かっていく。


 「リユウにヒール、、、やり方はパパやママの見ていたからわかる!ココ姉にも褒めてもらわなきゃ!」


 リユウは倒れるシェニムに両手を向ける。

 シェニムを蹴り落とし、地面に降り立ったこころの背後から、ローブを纏った男性の使い魔が3名が忍び寄ってきた。

 左右の使い魔は、自分たちを守る様に結界で覆い、真ん中の使い魔は、黒紫色をした1メートル程の剣を出し、真後ろからココロの首を斬り落とそうとした。


 「殺すなら男らしく真っ正面じゃないとカッコつかないぞ!」


 「なに!?気配を消していたはず、、、」


 左目のブルーアイズの能力で、背後を正面に薄く視界に映し出した。

 ココロは360度、全てを視界に入れる事ができる。

 そして、足を踏み込みバク宙し、使い魔の背後に付く。


 「ほい!っと。次はボクの番だ!」


 「やばいぞ!」


 「やばいのは何人もの命を奪ってきたお前達だ……」


 こころは使い魔が放った何層もの結界を破壊しながら急接近して行く。


 「結界が無効化に!?」


 「嬉しく思え!今回は殺してやる!そしてあの世からやり直せ!じゃ!」


 三人の使い魔は一瞬にして、シュビルナースレイブで、腹から斬り裂かれ、細かい紫色のした光となって消えた。

 こころはリユウの元に戻る。


 「リユウ、どうだ?」


 こころはシェニムの様子を伺う。


 「大丈夫!ヒール使えたよ!後は目を覚ますだけ」


 「おー!凄いぞ!リユウ!」

 

 リユウは頭を撫でられ、ニコニコしている。


 「ココロー!大丈夫ー?」

 

 ライアが戻ってきた。


 「おー!ライア!無事だったか!って、あのおばさんまで、、、」


 「お、おばさんじゃないわい!ジエルと言う名前がちゃんとある!ってシェニム!」


 「大丈夫だ!気絶しているだけだ。アハハハハ!その様子じゃライアにコテンパンにされたな!」


 「違うわよ。攻撃しようとしたら急に、、、[もう嫌!私の負けよ!地球に帰りたーい]って泣き崩れたのよ」


 ライアは戦う気満々であったが、ジエルの降参で詰まらなそうにして言った。

 こころはジエルに尋ねた。


 「そうだったのか。ジエルと言ったな!地球人だったのか?」


 こころが興味を示した。


 「悪魔界からの派遣として、私は、人と人の間に生まれたわ。私は企業社の女社長まで上り詰め、忙しかったけれど、それなりに楽しく、地球で良い生活を過ごしていたわ。しかし50年地球に滞在するのは長すぎだと、悪魔界から、必然的にビルの上から、下を歩く私を目掛けて鉄骨を落とされたわ」


 「面白い話だな!」


 「ちっともおもんないわ!」


 「っで、今に至るわけだ!下界暮らしで50年はやっぱりおばさんだろ!自分を認めないと美しいのも余計に老けていくぞ!おばさん!」


 「だからおばさんちゃう言うとるがな!」



 ……う、う、、、


 シェニムが目を覚まし自分の安否を確認する。


 「……シェニム生きてるの?」


 「シェニム!」


 ジエルが心配を見せる。


 「ぉ、ジエル、、、戦いは?」


 シェニムが聞く。


 「負けたわ!それに私達が負けた事で、使い魔達はデウシス様に消されたみたい……」


 ライアが怒りを見せる。


 「デウシスってだれよ?」


 「顔だけ幕に隠れてて、誰も素顔は見たことないけど、デウシスヴロウヘルを作ったお方よ......」


 「何そいつ!悪魔といえども、仲間なのにどうして消すの!?酷すぎる、、、。ココロ、でもなぜ、シェニムとジエルは消えなかったの?」


 「ヒ、ミ、ツ!」


 「ヒミツ!?」


 「っで、シェニム、、、目覚めた所でさっそく、君の過去を聞かせてもらおうか……」


 こころは座り込んだシェニムに、手を貸しそう言った。


 ――流石はココロ、我の出番は必要なかったようじゃのう……。(つるぎ)なしで、素手で倒すとは。そして、あのドラゴンの娘といい、獣人の娘の能力も大したものだ。動物天界にお前を送り込ませて正解だったわ、、。


 「ルメ様、もしや、こうなる事を把握していてのことだったのですか?」


 「大体はの......」

……ここはどこだ!?おーい!ココロー!


 ユウギとフォードは、エゴイディーアの次元に入る魔界への耐性が出来ていなかった為、時空間に閉じ込められたままであった。


 「っあ!ユウギとフォードに、魔界への耐性強化してあげなきゃいけなかったの忘れてた!後で迎えに行ってあげよ」

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