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第十八話 初めての戦闘


 レアリナ様はこころに問う。

 「こころ、私の放つエネルギーに平気なのか?」


 「どうってことないさぁ!」


 リユウとユウギはエネルギーの圧で身体が動かせないでいる。


 ユウギがリユウに語りかける。

 「リユウ大丈夫か?」

 「う みゃ く ひゃ へ で な い……」


 まだ幼いリユウは喋るのにも力が入らない。

 こころはシュビルナースレイブを出す。


 「今からその首輪のエネルギー全てを吸い尽くす!それがこいつの栄養にもなる!」


 「なんと!よし……。こころ、頼む」


 「まかせろ!少しだけ痛むかもしれんが我慢してくれよ!」


 こころは剣の先を首輪につけ呪文を唱えた。


 「破壊吸収ディーストリークォニーレイ!」


 すると、魔術式のリングが剣に小中大と3つ現れ、真ん中のリングを残し、時計回りと逆回りでリングが同時に回転し始める。

 首輪から出て行く魔力のエネルギーがリングに絡みつき剣の持ち手上部に組み込まれた赤い結晶に、稲光を放ちながら吸い込まれて行く。

 すごい威力のせいでこころとレアリナの髪が舞い、こころの身体が少し後ろへ下がる。

 すると一気に弾ける様に光は消えリングが細かく砕け散り消える。


 「これで悪夢を見ることもないし自由に外へ出られるぞ!魔法も使えるしな!」


 レアリナは元の姿に戻り、涙を浮かべてこころを抱きしめた。


 「こころちゃん!ありがとう……私は何年も何年もこの日を夢見てきたの!アカシックレコードにもこんな未来は予知されていなかった。今のアカシックレコードは当時と違い、この私でも大きくは未来や過去を調整する事はできなくなっているのよ。正直諦めた日もあったわ。それにしてもどうしてあの姿でないとだめだったのかしら?……」


 「レアリナのもう一つの姿は戦闘モードだからね!首輪は戦闘モードであるレアリナの神経をつづり繋がっていた。元の姿でのレアリナとは神経回路が別になる為首輪とは途切れるけど、身体には呪いが残っているから悪夢を見たり、無理に外そうとすれば首輪自身の意識がバリヤを張ったりもする。だから戦闘モードでもう一度もう一つのレアリナの神経回路と首輪を繋げた所に、いっきに吸い込む必要があったんだ!」


 「なるほどね……」

 レアリナは納得する。


 するとこころは少し違和感を感じた。


 「これは憶測だが、そのリングはレアリナが生きている証拠になっていたのかもしれない。首輪とレアリナの心臓の脈は繋がっていて……先にレアリナの心臓が停止したら首輪は何らかの反応を見せるはずだ……。だがレアリナが生存している状態から先に首輪を消したとなるとあの世界との回路が途切れる……。敵は意識するだろう。レアリナがこの国の気配を消しているお陰でこの場所は気づかれることは、、、なんだ?この嫌な殺気感は、、、」

  

 ユウギは焦る。

 「なんだよ!?」


 こころは真剣な表情で言う

 「レアリナ、、、これはボクの思い過ごし?」

 

 レアリナは不安が胸に突き刺さる。

 「私も同じだわ、、、」

 レアリナもこころと同じ殺気を感じていた。


 「やばい!最初のインキュバに戻るぞ!!クソ!なんで気づかなかったんだ!」


 「私のせいです!私も行きます!」


 レアリナは責任を感じ掌を胸元に当てこころに言った。


 「レアリナ!戦闘モードで頼めるか!?」


 「勿論そのつもりです!」


 ユウギとリユウも声をかける。

 「ココロ!やばいのは理解してるぜ!オレも闘う!」

 「リユウも!!」


 こころは真剣に二人を心配した。

 「ダメだ!お前達じゃ敵う相手じゃないかもしれないんだぞ!?」


 「大丈夫だ!そん時は二人を頼るよ!」

 ユウギはニコリと笑いそう言う。


 「女性を頼るなんて剣士だ。っま!誰も死なせはしないけどな!リユウはボクの魔法のバッグに隠れていて欲しい!わかってくれるか?小さい魔物なら戦わせてあげるから」


 「うん!わかった!リユウ入ってるね!」

 リユウはなんだかワクワクしている様子。


 こころ達はレアリナと共に旧インキュバへ転移する。


 旧インキュバの空が赤黒く染まり黒い稲光の渦の中心から何者かが飛んできている。


 「見えてきたぜ......」

 「久々の体慣らしになりそうだ……」

 「一気に突入するぞ!」


 旧インキュバに向かってきているのは300体のデウシスヴロウヘルからの使い魔の大軍である。

 すると使い魔の何体かがインキュバの結界に弾き返される。


 「腕が!オレの腕がーーーー」


 「叫くな。世の中そんなもんだ……警戒ってやつを覚えておいた方がいい」


 「すみません!」


 セラフィウルスは特殊魔法で仲間の失った腕を再生させた。


 「ヒールサインザンド……」


 「あのお方には内緒だぞ……」


 セラフィウルスの魔力で簡単に腕が戻った。


 【セラフィウルス】 

 元、天界第一階級の上位天使。

 神々のルールに反対意思を見せ堕天使になった一人。

 性格はクールで仲間想い。

 正義側に回れば最強の戦士の性格を持っている。

 インキュバには恨みは持っておらずセラフィウルス自身は命令の元動いている。


 「セラフィウルス様!ありがとうございます!」


 セラフィウルスは結界を前に一息ついた後、魔法を放とうとした。

 

 「ほー、《ホワイトシールド》か。懐かしい。なかなかの結界だなぁ、だが古い……。お前ら、オレから3キロメートル離れておけ」


 「は、はいー!!」


 《ホワイトシールド》

 天界上位伸が使うことができる神話級魔法のバリア。


 使い魔の大群は空高くにセラフィウルスから離れる。

 セラフィウルスが結界から少し離れた所から、片腕を出し掌に魔力を込め放った。


「ディストラクション!」


 すると一気に撃ち破られた場所を中心に結界が破壊されて行く。

 セラフィウルスが皆を転移で呼び戻す。


 「これで自由だ……レアリナとアルモファスを探しにゆけ」



 街が燃やされ人々は逃げ回る。


 「ママー!!」

 「いやーーーー、私の娘を返して下さい……」


 娘の母親は恐怖のあまり上手く喉に力が入らず声が強く出せない。

 使い魔は娘を殺そうと尖った指さきで頭を引きちぎろうとした。


 「一瞬だから安心しろ……。美味そうな若い脳だ、、、この首はオレが跡形も食い尽くしてやるからな……」 


 「やめ、て、、、た、、、すけ、、て」

 娘は涙を浮かべ怯えながら言う。


 使い魔は左側で抱えた娘の頭を掴もうとした瞬間、風を感じ右を向くと視界半分にこころの横顔が写る。

 使い魔は目の前にいる母親の姿を見ながら殺そうとしていたが、前から来たこころの姿を目視出来ず、すぐ真横にいる事に焦りが出る。


 「おいブサイク野郎……。タイミング逃したなぁ……調子乗んなよ」


 こころは使い魔の耳元でそう囁き、使い魔は恐怖のあまり娘を離してしまった。

 使い魔の腕から娘が離れた所でシュビルナースレイブを出し、横切りで胴体をぶった斬る。

 上半身だけが血を吹きながら落ちる。

 こころは飛ばしてきた勢いでややしゃがみ状態でスライングして止まり、左目の青い魔力の光と剣から出た光線が揺れ残る。


 「お姉ちゃんありがとう!」


 こころは背中を向けたまま立ち上がり、ニヒっと笑い娘にピースだけを見せてまた飛び上がった。


 ユウギも苦戦しつつ剣を振り捌く。

 「おーーーりゃーーーーー」


 次々と使い魔を倒して行く


 「ユウギやるじゃねーか!」


 「オレも一応剣士だからな!」


 こころの魔法のバッグの中から外を除くリユウ。

 「うおー。悪いのいっぱい!」


 リユウは動物園に来た様な興奮した目で眺める。

 こころは地上を視界に空へ身体を飛ばし攻撃魔法を放つ。

 左目が青く光を放ち、シュビルナースレイブの放つ光のエネルギーブルーアイズと繋がる。

 剣を横にし刃の上部を左手の親指と人差し指の間に支え魔法を放つ。


 「リボルバー!!」


 すると魔法陣がこころの目の前に浮かび魔術式の中にある文字を繋げて行く。

 

 すると無数の敵を弾丸が追跡する様に尖った竜の顔をした黄色に輝く稲光が敵を一撃して行く。


 「おいなんだ!あの光は!」


 「こっちにも来るぞ!」


 使い魔は達は秒で姿共々燃え消されて行く。

 レアリナも100体以上倒していき、ユウギと合流した。

 レアリナは持ち手を交互に変えていき剣を身体の一部かの様に扱って行く。

 付着した使い魔の血を剣から振り落としこころへと視線を変えた。


 「この者達にこの(つるぎ)を使うのは勿体ないが、まぁ時間短縮にはなるな。ココロ!そっちは任せて大丈夫か?」


 「素手でも余裕なくらい大丈夫だ!」


 こころはまた身体を飛ばし逃げる使い魔を追いかける。

 行き止まりの壁に差し掛かったと所で使い魔は真上の方向に急上昇した。こころはそのままの速度だと壁に直撃してしまう為、壁の下に猫が通れるくらいの細い穴に犬の姿でスライングして穴を抜ける。また姿を戻し足を蹴り上げ上昇した後、シュビルナースレイブで使い魔を抹殺する。

 こころは120体程倒した後、旧インキュバの中で一番高層である教会の屋根に降り立つ。

 すると、こころの戦力に圧倒されたセラフィウルスがこころに視界を変え向かってきた。


 「っん?何か向かってくる……」


 「誰が来るの!?」

 リユウはバッグから顔を出して言った。


 「リユウ!一番やばい魔力を感じる!隠れてろ!」

 「ふにゅ……」

 こころはバッグの蓋を押しリユウを引っ込ませた。


 「お前は!?」


 「初対面でお前ですか、、、。まぁいいだろう、、、。どうも初めまして。デウシスヴロウヘルから参りました。セラフィウルスです。」


 「デウシスブロウヘル……やっぱり。一番偉いのか?」


 「私は使い魔達を率いる幹部の一人。レアリナが首につけていたはずのリングの信号が途切れてしまいました。なのでこちらから出迎えさせてもらった次第です。ちなみになぜ、リングの信号が途切れただけで、気配をなくしていたインキュバシタンボルグの位置が分かったか気になりませんか?」


 「気になるが待て!腹減った!糖分入れないと頭が回らん!」


 こころは魔法のバッグに手を突っ込みお芋のオヤツを手にする。

 急に手が入ってきたリユウはびっくりし避ける。


 「貴方元々犬ですね。」


 こころはモグモグしながら喋りだす。


 「よくわかったな!元々は犬の魂だ!だから前の姿にもなれるぞ!見せてやろうか?」


 「遠慮しておきます。なるほど、まぁこんな所で私達が闘えばどうなるかは答えが見える。」


 「っで、この位置を把握できた理由は?」

 こころが尋ねる。


 「そう、リングの役目はあくまで生存確認です。位置を知ることはできません。ただし、リングとアルモファスとの距離10メートル以内に接していれば話は変わってきます」


 「なに!?」


 「ここ最近まではどこにアルモファスを隠していたのかは知りませんが、今からどこにあるのか教えてくれませんか?それが今日の目的でしてね」


 「なるほどな!アルモファスはこのインキュバにある事は確信済みってことか……。いやー参った!っであんな野蛮な物を悪い奴らの手に渡ればヤバくなるのは確かだ!はいどうぞと言うわけにもいかないのはセラ、セラ……」


 「セラフィウルスです……」 


 ココロは名前が出てこなかった。


 「おーそうだ!まぁっと言うわけにも行かないのはセラくんもそれくらいは把握済みなんだろ?」


 「結局省略するんですね。確かに……。君は賢い!いっその事手を組まないか?」


 「いや、、、それはダメだ!セラくん達堕天使の気持ちもわかる!ボクは上位伸の神々の作ったルールは好きじゃないからな!」


 「ではなぜです?」


 「無関係な街の者を殺す理由があるか?どんな未来を想定して堕天使と言う道を選んだのか振り返ったことがあるか!?君たち堕天使は今デウシスブロウヘルを作った一番偉い奴に洗脳させられているだけだ!神々は人々に苦を与え構成させて行くが、悪魔は人に幸せを見せる!宝クジだってそうだ!運だって、奇跡の巡り合わせだって皆君たち堕天使がやってきたことじゃないか!なのに街や人を無差別に襲うのはおかいしいと思わないか!?殺したってなにが残るんだよ!だからたまには考えろ!前へ進むのも大事だが、過去を振り返るのも悪くないぞ!」


「なるほど、おもしろい……。殺されてしまう前に身を引くとしよう。君に興味ができた。ここから長い付き合いになりそうだ。そうだ、聞いていなかったな。名は何と言う?」


 「ココロだ!」


 「ではまたなココロ……」


 セラフィウルスは生き残った使い魔と空へと消えていった。


 セラフィウルスは心中思っていた。


 「洗脳……ねぇ……。もしそれが本当とするのならココロよ、、、今よりも強くなれ……」

 

 

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