第十五話 9階扉の秘密
こころ達三人は九階扉にたどり着いた。
扉だけを残し、周りは虹色を混ぜた様な模様が蠢いていて、異次元空間に入ったかの様にこころ達はその空間に浮いて見える。
「ココ姉どうしたの?」
リユウがココロの少し驚いている顔に反応した。
「ど、どうして?この扉って、、、まさか」
こころが下界でお母さん達と過ごした家の玄関の扉にそっくりだった。
こころが恐る恐る左から右へスライドさせ扉を開けていく。
開けた玄関先は真っ暗。
するとリユウとユウギの姿が消えた。
「あれ!?リユウ!ユウギ!」
辺りを見渡すが反応がない。
こころはじっと玄関を見つめ、色が浮かび上がってきた。
こころはその浮かび上がった景色に驚いた。
「なんで、、、こんな事ありえるのか?これは僕がお母さんと暮らしてた家だ!」
玄関を入るとすぐ右にシューズボックスがあり、その上には木で施された七福神の置物にアメジストドーム。
そして左側には壁にかけられた鏡があり、こころが上り下りが出来る様に玄関の段差を無くす台がある。
こころは人間の姿でお母さん達と過ごすことをずっと夢に見てきた。
こころは下を向き玄関先で大量に涙をこぼす。
「ボク、この姿で、、、下界でこの感覚で、、母さんやケンくんサキちゃんと過ごしたかったんだよ……」
すると、こころの目の前から声が聴こえてきた。
「ここちゃん、おかえりー」
目の前にはお母さんが立っていた。
「お、母さん?」
こころは涙して驚く。
「変な子!お母さんやん!」
「お母さーーーん!」
こころはお母さんに飛びついた。
人間の姿で初めてお母さんへ飛びついた。
「僕ね、幸せだよ!ずっとずっと幸せだよ!そして強いんだよ!戦えるんだよ!お母さんと出会ってからずっと幸せだよ!だから心配しないで!」
こころは幸せなそうな顔で、お母さんの胸元で泣きついた。
「お母さんもこころが大好きだよ!」
お母さんはそう言い、一緒に台所へ入る。
すると台所に行くと、他界したじいちゃんとばあちゃんの姿もあり、応接間にはケンくん。
そして玄関が開く音がして、こころが駆けつけるとサキちゃんが家へ帰ってきた。
こころは賢かった為、これが幻だと言うことくらいは理解していた。
それでもこころは、もし自分が人間の姿であったらこんな風に生活をしていたのだろうと想像する。
こころは一緒になって皆んなと喋り、テーブルを囲み夕飯を共にした。
すると次第に景色がまた虹色が混ざった渦を巻いていくような空間に戻り、お母さんとこころの二人だけになる。
そしてこころはお母さんの目の前で想いを語る。
「僕は、、、今この幻想空間でお母さんに会えた事すごく嬉しかった!下界ではずっと犬の姿で想いを伝えるのも大変だった!でも!長くいる事で心を通わせ、会話ができているような生活をすることが出来た!僕はお母さんに怒られることも褒めてもらうことも好きだ!車に乗って景色を見るのも好きだ!病院行く時はちょっと嫌だったけど……。チュックンは痛いからな!それにお母さんは毎日仕事で大変だった!犬だった頃は何をしているかはよくわかんなかったけど……。でも大変さは伝わっていたよ!日中はお母さんを出窓から眺めて待つのも好きだ!あそこ結構気持ちいいんだよ!ちょー幸せなビューティフルライフだった!だからさ!心配しないで!僕はここに存在している!そしてお母さん達皆んなをこの世界で待っているよ!仲間達も紹介したいしさ!僕は誰よりも幸せだ!お母さんに会えてよかった!いつか幻想じゃなくて僕はお母さんに飛び込んでいくよ!」
するとお母さんがニコリと微笑み薄く消えていき、玄関の扉前に戻る。
すると、リユウとユウギも戻ってきた。
三人はそれぞれの幻の中でより決意が強くなった様に感じていた。
「おー!戻ってきたか!」
こころが二人に声をかける。
するとリユウが喋る
「リユウ、パパとママにありがとう言って、今は仲間が居てとても楽しいよって言って、後ね、心配しないでって言って、それでえーっと、えーっと、いつか必ず助けに行くって約束した」
するとこころが言う。
「そのリユウの約束、絶対叶えてやるからな!だからずっと一緒にいなきゃダメだぞ!」
「うん!ココ姉から離れない!」
リユウはギュッとこころの腰を抱きしめた。
「よし!レアリナがいる十階扉探すかぁ!」
「おい!オレのは聞かねーのかよ!」
「どうせユウギの親はニャハニャハ笑いながら元気に健在してるだろ!それにお前が見てきた幻はオネショしてる自分の姿や女の子のスカートめくったりと体感と言うより過去にやらかしてきた事を観せられて来ただけじゃないのか?」
「っはぁ……。はい、当たってます……」
ユウギはガックリした様子で言葉を返した。
こころは九階扉について語り始めた。
「おそらく過去に呑まれていたら返って来れていなかった。未練があるとあの幻想の中で生き続けることになっていたのかも知れない。今のボクたちはこの先を願っていたのが唯一の鍵だったんだろう」
ユウギはこころに語りかける。
「あのー。ボクにも感動を、、、」
「幸せな奴も気の毒ってあるんだな!」
こころはバカにするように笑って言う。
「よし!リユウも感動たくさん作る!」
こころはリユウを撫でた。
こころ達三人は耳に違和感を覚える。
空間上全体から空気が重く流れるような音と共に目の前に高さ10m程ある、教会にあるようなトレーサリーが施された扉が姿を表した。
「なんだこのデッカイ扉は!でもまだ九階にいるよなぁ……」
するとユウギは言う。
「これがレアリナ様に繋がる十階扉。オレも初めて見るが形でわかる。十階扉と表記された油絵がこの城の一番下の回にデカく飾られているからなぁ」
リユウは口を大きく開け、下から扉を見上げていき後ろに体重が持っていかれ手とお尻を着いた。
「ぉおー、、、ッイタ!」
「アハハ!リユウの距離からだとそーなるなぁ!」
こころは扉の目の前で見上げたリユウにそう言う。
「ユウギ!この扉どうしたら開くんだ?手を掛ける場所がないぞ?」
「ん、、、オレにもわからん。確かに模様だけで鍵穴も内容だし……しかしオレ、本当にレアリナ様に会うことになるのか?」
「その為に来たんだからな!それ以外に理由はないだろ!」
すると扉から離れリユウが指を刺した。
「ココ姉、あそこなんか凹んでるよ!」
「なんだ!?あれ!もしかして石かなんかを合わせるのか?ん……。もかして非結晶か!?」
ユウギは驚いた。
「おい!それが鍵なのか!?」
「わからんが試してみる価値はある!」
こころは試しに扉の高さ約五メートル当たりの所まで飛び結晶を入れ込もうとするが、形が合わない。
「無理だ!形が合わない」
こころは頭の中でメティス様の言葉を思い出す。
「アルモファスは持つものにより形や力を変えられる事ができる結晶なの……」
こころはニヤケついた。
「よし!もう一度いく!」
「形が合わなかったんじゃ!?」
ユウギは頭を傾げた。
「まぁ見てろって!」
こころはそう言い、ブルーの左目に力を込め、アルモファスに魔力を込めた。
そしてまた足を蹴り身体を吹っ飛ばした。
左目からは揺れたブルー色の光の線が残る。
こころは勢いよく凹んだ場所にアルモファスを入れ込んだ。
するとその凹みは雪の結晶の一つ、樹枝状結晶の中心になっており、アルモファスから結晶方になっている筋後に溶けるようにして流れ込んでいく。
「成功だ!!」
こころは地面に着地し笑顔を見せた。
すると扉から赤紫と紫色をした無数の魔法陣が浮かび上がり、込められていた結界が解ける。
そしてゆっくりと扉が開き始め、中かから眩しい光が隙間から射してくる。
「チンダル現象……」
リユウがふと口にした。
「なんだ!?そのチン、チン◯ス現象って」
ユウギはココロの発言に呆れ悩ませた顔をしていた。
すると小恥ずかしくリユウが説明をする。
「チンダル現象は微小な粒子によって光が散乱されて光の通路が一様に光って見える現象のこと」
「なんか難しいこと知ってるんだなぁ……」
リユウはこころに褒められ満足そうな顔をした。
そして三人は開いてくる扉の光に包まれ、部屋全体が眩しさで何も見えなくなっていき、扉もこころ達もその空間から姿を消した。




