第十三話 インキュバシタンボルグ・アルウェルク
《インキュバシタンボルグ・アルウェルク》
レアリナが作り出したもう一つのインキュバシタンボルグ。
こころが転生した旧インキュバと同じ位置にある次元違いの街。
雰囲気は白い建物が多く神秘的な要素を保っている。
ユウギがもつ結晶で二つのインキュバを行き来することができる。
リユウが街の建物から自分の姿が鏡のように映るのを見て楽しんでいた。
その壁にハーっと息を吹き曇らせ、こころの魔法のバッグに施されている似顔絵を指で描き始めた。
「アハハハハ!うまい!うまい!ってリユウ、人の家だぞ!叱られるからダメだぞ!」
こころはリユウに軽く注意をする。
「ココロ!この街は大丈夫さ!みんな優しくて変な目で見る者もいない!」
「ほー、、、」
こころは家の壁にハーっと息を吹きかけ何かを描き始めた。
「ロリコンへんたいユウギと……」
「おい!やめろ!変な目で見られるだろ!」
こころはユウギの似顔絵を描き、リユウに字を書かせた。
「それにそんな事をリユウちゃんに書かせるな!」
「あれー?変な目で見る者は居ないって……」
「それは別だろ!まぁいい、取り敢えず城に向かおう……」
ユウギを先頭に歩き始めた。
「にしてもココロ!何をレアリナ様に渡したいんだ?」
ユウギが問う。
「非結晶ってやつを動物天界にいるメティスから渡してほしいて頼まれてるんだ!」
「まてまて!アルモファスと言ったら歴史書にも出てくる幻の結晶だぞ!それにメティス・フェアルという神も幻とされているが本当に実在すると言うのか!?」
そうユウギが驚くとこころは魔法のバッグから結晶を取り出した。
「ほい!」
「っマジかよ!これはやばいぞ!本物かぁ?」
「正真正銘の本物だぞ!その証拠にメティスからのメッセージつきだ!」
こころは結晶に魔力を込め始める。
すると結晶の中からメティスが浮かび上がり喋りだした。
「ココロー!!ココロ聞こえますかー?」
「メティスー」
こころは応えた。
「ココロねー!元気してますかー?」
「これメッセージじゃなくてリアルタイムなのか!?」
こころは驚いた。
「ココロ、レアリナの街に入れたのね!無事でよかったです」
「まぁ最初は死にかけたけどな……」
こころは心中思う。
「今はリユウという仲間も出来て、レアリナのパシリのユウギと言う剣士と城に向かってるぞ!」
「パシリって扱いやめろ!レアリナ様に使う剣士だ!」
「ココロ楽しそうね!あ、あのごめんなさい。転生させる前にディメンタルスを渡すのを忘れてしまって、でも無事に辿り着けたみたいで良かったわ。そこの剣士さんのお陰ね。ありがとう剣士さん」
「い、いえ!ただ頼まれただけのことでしたので、じ、自分はただ見張りをしていまして、たまたま通りがかったお二人に出くわしただけでして!」
ユウギは顔を赤くし緊張状態でメティス様へ言うと、こころはユウギを見ながら心中思う。
「なーにがたまたま出くわしただ。無理矢理幼いリユウを攫ったくせに。こりゃメティスに惚れたな、、、あーいやらしい」
またメティスが喋る。
「あらそうでしたのね。それでは剣士さん、こころ達を私の友レアリナの所までよろしくお願いしますねバイバーイ」
すると結晶から通信が途切れた。
「おい……オレまだレアリナ様に会ったことないのにメティス様の約束を断れなかった……。これ、嘘をつくことになるのか?」
ユウギはカチコチに固まったように不安に襲われていた。
そしてふとユウギが気にした様にリユウの方へ顔を向け声をかける。
「あの……。リユウちゃん、結晶は……?」
「………………」
リユウは無言のまま少し首を傾げユウギを見る。
ユウギは叫んだ。
「おーーーーーーー!!!!!!やってんなぁー!!!!」
こころは腕を頭の後ろで組み一言。
「小さい子に持たせたままにするから……」
「あれがないと城にも入れんし、お前達も帰れないんだぞ……」
「あーーーそうだった!!!!!」
こころは気付く。
するとリユウは悲しい顔をしながらこころ達を見つめる。
「リユウが悪いの?……」
こころ達は誤魔化した。
「いやー!何も悪くないぞ!あれは確か勝手に消えてしまうんじゃなかったかな?ユウギくんよ!」
「そうだった!そうだった!一度使うと消える様になっていたんだっけなー!?っんちゃって!、、、ア、アハハハハハ!ココロ、探すぞ、、、」
「そうだな、、、」
二人は元来た道を辿り結晶を探す。
リユウが壁へ落書きした建物の前で紫色をした石が転がっているのが見えた。
「あれじゃないか?」
こころが気付く。
「これだ!あってよかったー……」
「次からは無くすんじゃないぞ!」
「俺じゃないわ!」
一安心したユウギはこころ達を連れてレアリナ城へ向かった。
アルウェルクの街はとても優しそうな住人ばかりで冬の国といった雰囲気がある。
「ついたぞ!此処がレアリナ城だ!」
ついにレアリナ城の目の前までたどり着いた。
天界の宮殿並みに美しいその建物周辺は赤い瞳をした白い鳩が飛び交い、屋根からは水が地面へと進むように流れ、扉や屋根淵は金箔の様な金色の輝きを放っている。
「ついに来た!これが幻とされているレアリナ城か!もっと簡単に来れると思っていたが結構大変だったな!」
「リユウのお家このお城の絵が壁に掛かってた」
リユウは意外な事を口にした。
「え!?」
こころが驚く。
「今はいないが元々獣人族もここに使いされていたからなぁ!リユウちゃんの両親も昔はここに使えていたんだろう!」
「どうして昔なんだ?今はいないのか?」
「獣人族は温厚であり、人に従いやすい性質。しかし内心は希望も未来も俺らと同じように持っているんだ。レアリナ様はそんな獣人族の気持ちに理解して、獣人族のもつ自由意思を尊重し、旧インキュバでの生活を許したんだ。そこで獣人族は村を作り、人間やエルフと共に旧インキュバで平和に過ごし始めた。そこでリユウちゃんは生まれ育った。しかしあの日が来るまではな、、、」
「魔王軍か……」
「いや、魔王軍は獣人族を助けたんだ」
「と言うことはリユウのパパとママは……」
「元気に生きているさ!」
「リユウ!よかったな!二人とも無事に過ごしているみたいだぞ!」
こころはリユウの頭を手で押さえて言う。
「うん!早く会いたい!」
リユウはこころを下から見つめる。
こころの表情は、自分が思っていた通りたど勘づいた顔つきに変わった。
こころは心中思う。
「やっぱり、、、。メティスの話を聞いてて違和感感じていたんだよな、、、。魔王軍はなぜ自ら敵とならないといけい必要があったんだろ、、、」
またユウギが語りだす。
「レアリナ様が作られたこの新インキュバはその獣人村を滅ぼした奴らから阻止するために作られた。
いわば隠れ基地みたいなものだ!レアリナ様が存在するとなると必ず狙いはこっちに向かってくる。
レアリナ様は旧インキュバから放たれている自分の魔力や聖力が原因で敵が攻めてくる事を余地し、旧インキュバから身を引き、新インキュバ、アルウェルクを作り敵に気づかれないよう、陰から旧インキュバを常に見張らしていた。しかし神ほどの力をもつレアリナ様が作り出した獣人村の結界が一瞬にして破壊された。獣人村を滅した意味もわからないままだ。インキュバの歴史書ではレアリナ様が魔王軍からそのココロが持つ赤い結晶、《アルモファス》を奪ったとされているが、俺が思うに魔王軍ではなく、獣人村、国、天界までをも滅してきた組織から取り戻したんだと思う」
「なるほどな……。取り敢えずレアリナ本人に聞いてみるしかないな!」
「マジで会える気はしないが、ココロといると可能性を感じてしまうわ……」
二人の会話中に、こころから貰っていたお芋のオヤツを飛んで来た鳩にあげていた。
「此処からは結界の連チャンだ。城の門から先はディメンタルスがまた必要になる」
こころ「もうなくすなよ!」
ユウギ「俺に言うな……」
こころ「冗談だよ!リユウもつか?」
ユウギ「やめてくれ!」
そんなやり取りをしながら3人は城の中へと入っていった。




