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第十話 インキュバシタンボルグ


 猛スピードで風を切る音が鳴り響く。


 「ひゃーーー!!!!転生て普通に地上から始まるんじゃねーのかよーーー!!!!?やばい!やばい!やばい!やばい!犬の形になれば多少スピード落とせるかも!」


 ポン!「っ全!然じゃねーかー!!!!!」


 犬に変化させたこころの口唇が、空から落ちる勢いで歯茎が剥き出し状態。

 直ぐに人間の姿に戻しひたすらスカイダイビング。

 こころはふとメティス様の言葉を思い出す。


 「あーそうそう、言い忘れていました。転生者のみインキュバシタンボルグでは一生いて行けますが、地に足を着いた瞬間から身体に命の反応が起こります。なので空から落ちてきたり、地に足がつく前に襲われたりなんてしたら……死にます。」


 「空から落ちることなんて、アハハハハ!」


 「落ちてんじゃねーかよーーーー!地に足どころか真っ赤な血の足になるやろがーーーー!アハハハハ!じゃないよこれーーーー!いや待てよ!足が地に着く瞬間になら……足以外から落ちなければ……あーもー一か八かだーーー!地上が見えてきた!」


 ココロは体制を整え地上へと急降下!

 地面へ足が降りたつ数十メートルの所で目をギュッと瞑る。

 光の渦がこころを包む様に上昇しながら足先から膨れ上がってきていた。

 目を瞑りながらでも光はかなり眩しく、光の線が飛び交っているのがわかる。

 地面へ足が降り立つまで1センチほど浮いた所でで止まり、ゆっくり着地した。

 それと同時に光も薄くなり消えていく。


 「ちゃ、く、ち出来た、、のか?」


 こころは恐る恐るゆっくりと目を開けた。

 少しぼやけながらでもタイルの道を確認できた。

 「やったー!!!!成功したぞー!!!」


 インキュバでは普段から魔法を使ったりする者もいるため、こころが放った光に対し周りの住人達は不思議とも思ってはいない。

 ただとてつもない光を放っていたが為に結構目立ってはいた。

 こころは大喜びしながら近くに居た小さな子供に自慢し始める。


「見たか!?今の!空から落ちてきて光がグオーァア!って!」


 「………………」


 「ママ変な人がいるー」


 「変て言わないの!失礼でしょ!ちょっと変わったお姉さんなだけよ!行くわよ、、、」


 少し遠ざかった所で親子がそう話す。


 「どっちも失礼だろ・・・・にしても久々の感覚だなー。いい雰囲気の世界じゃないか!はて、レアリナ城てどうやって行けばいいんだろ?聞いてみるか」

 こころはテクテク歩き出し、レアリナ城の道を聞き出していく。


 「苦手だけど取り敢えず敬語でいくかぁ。あ、あのすみません!レアリナ城でどうやっていけばいいんですか?」


 「レアリナ城てこの子何言ってんだ?」


 「うふふ、変わったお嬢ちゃんね」


 「すみません!レアリナ城に行きた、、、」


 「なに寝言いってんだ?この子」


 「っは!?こら!どいつもこいつも!だーかーら!レアリナ城に……」


 こころの感情が昂り始めた所に、男が声をかける。


 「どうしたお嬢ちゃん!レアリナ城といったか!?」


 その大柄な男は髭もじゃで、片手に酒瓶を持ち、背中には特注で作ったような変わった形した斧の武器を2本背負っていた。


 「そうだ!レアリナ城に行きたいんだ!」


 「お嬢ちゃん気は確かか……?」


 「え!?どう言う意味?」


 「周りをよく見てみろ。変な人使いされてるぞ……。レアリナ城てだけで冷たくあしらわれたろう?」


 「どうしてなんだ?普通に聞いただけだぞ!?」


 大柄の男は多少耳打ち気味に言う。


 「まぁなんて言うか、レアリナ城は確かにここインキュバシタンボルグの歴史には刻まれてる。そしてこの国を作ったとされているレアリナ・メティズという女王……」


 「そ、そのレアリナに会いた……」


 「っお、おお、聞こえる!小さく喋らんか!」


 「……………」


 「それは小さすぎてよくわからん……。取り敢えずここじゃまずい!場所を変えよう」


 こころは後ろをテクテクとついていく。

 人気がない路地裏に入りそこで話し出した。


 「で、レアリナ城に行きたいのか?」


 「うんうん!レアリナに渡さなきゃ行けないものがあって、僕の天界の母であるメティスから頼まれてるんだ……」


 「ちょっと待て!お嬢ちゃんまさか転生者か?」


 「そうだぞ!」


 「見た感じ嘘でも無さそうだしな、、、ならそうなるのも仕方ないなぁ、、、。実はな、レアリナ城とその女王レアリナは作り話というか、ここでは幻とされている存在なんだ」


 「え!?どゆこと?」


 「まぁ、ないんだ!」


 「ないって何が?」


 「城が見えないと言うか、別に何かに隠れて見えないとかじゃなく本当に存在していないんだよ……。俺がまだガキだったころ、確かにこの目でハッキリと城を見たんだ!城の中にも入ろうとしたんだが、クソ眩しい光が城から飛び出してきてな、この街に転移で戻されちまったのさ。それっきりさ、、、。また同じ場所に行くと城はなかった……。それに、お嬢ちゃんが言った天界のメティス様とやらもこの国の歴史に名を刻まれている。だから転生者とふと過ったんだ!ここでは普通信じてはくれん連中ばかりだからな!俺は信じるぜ!俺が見たと言った場所だけは教えてやるが、まぁ期待はせんでくれ!地図を書いてやろう」


 大男が倒した魔物の皮で作った皮紙に地図を書いてくれている所に、こころは木箱に両手をつき覗き込む様にして見ていた。


 「よし書けたぞ!まぁ雑ではあるが許してくれ!」


 「ありがとー!おじちゃん名前なんて言うんだ!?」


 「俺の名はフォードだ!よろしくな!」


 「お嬢ちゃんの名は?」


 「ボクの名前はココロ!ありがとうフォード!この地に住むことになるかもだからヨロシクな!」


 「おう!なんでも相談にのるぜ!っあ、後な!道中で魔物が出る可能性もあるが戦えるのか?」


 「楽しそうだな!余裕で倒せるぞ!魔王のルーメニタスも虐めたらなあかんしな!」


 「アハハハ!何を言うか!ルーメニタスは魔界の存在。またそれも幻とされとるんだ!」


 フォードは笑いながらそう言うと、こころの用事を思い出した。


 「そう言えば渡したいものがあるって何を渡したいんだ?」

 こころは魔法のバッグから取り出す。


 「えーと、あった!この赤い結晶」


 フォードは驚いた。


 メティスから預かった結晶《非結晶(アルモファス)


 「これは!歴史の書でも見たことがある!形を持たない結晶、、、」


 「実在したとは、、、恐ろしいが何かわけがあるんだろうな」


 「これをレアリナからメティスが頼まれて動物天界で預かっていたんだ。この結晶の魔力の気配を封じれるのはこのインキュバでは無理と言っていた」


 フォードが不安そうに首を傾げて言う。


 「なら今ここに持ってきていて大丈夫なのか?」


 「確かになぁ、細かい話は聞いていないけど、まぁ何も起きてはいないから大丈夫なんじゃないか?」


 「そういうことにしておこう……お嬢ちゃんに会えたのも何かの縁だ!これを持っていってくれ!」


 「なんだこれは?」


 「これはなぁ、永遠に水が出せる石だ!」


 「そ、そんな高価そうなもの貰っていいのか!?」


 「気にすんな!この地でココロに会えたのも何かの巡り合わせだ!近々色んなことが起こりそうな気がしてならん!代わりに大きな希望をもらったぞ!そのお礼だ!俺はもう行くが、ココロ!無事にな!」


 こころは歯を出しニヤリと笑う。


 「ありがとう!フォード!また戻ったら色々話し聞かせてやるよ!またな!酒飲みすぎるなよー」


 こころは早速城があるとされる場所に向かう。


 「ある意味酒減らせそうだ……ココロよ!気をつけてな!」


 フォードは心中ココロの未来を願う。


 「ボクはここーろ♪ 世界のここーろ♪ ボクはここーろ♪ 魔王の御用心!」


 こころは歌を口ずさんで街を見渡しながら歩いていると、建物の間から横切って来た女の子がぶつかってきた。

 こころは倒れなかったが、ぶつかってきた女の子は尻餅をついた。


 「おー!大丈夫か!?」

 こころが声をかける。


 「あ、あああ、え、、とごめんなさい!殺さないでください!なんでもしますから!命、命だけは助けてください……」


 泣きそうな震えた声で謝まる。


 「人?犬?めっちゃかわいい……」


 つづく

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