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2 始めてのおつかいin異世界

なんか夢を見た気がする。

私がたまたま偶然部屋にあった魔方陣をさわって体が光だす。そんな夢。奇な夢だった。

さて、キッチンでホットケーキでも作って滝ちゃん家に持ってって三日月と3人で食べようかな。



「頭をあげてくれるかな?」

「ほらお前、陛下に呼ばれているぞ。顔をあげろ」


どうやら現実逃避はここまでのようだ。

ホットケーキぃ。。

陛下と呼ばれるお偉いさんに私は呼ばれているらしい。

私から数Mほど離れた玉座に座っているであろう異世界の王様とやらに足下のレッドカーペットから目線をあげる。


数人の腰に剣を刺した人達の真ん中にいる玉座に足を組んで座ったその人は、目鼻立ちがはっきりとしたどうみても10代後半の青年だった。

…こいつが王とな?

彼は私を青い目をまっすぐこちらに向けると、彼はゆっくりと話し始めた。


「私はこの国、メモアを統べる国王、ソンテーだ」


正真正銘の異世界らしい。

だって国の名前おかしいもん。

話から察するに、この目の前にいる王様(名前聞いてなかったが、面白い名前だったんだろうなぁ。マジ後悔)が私をこの異世界に召喚?したのだろう。

少なくとも意図せず偶然私がここに来た訳じゃないようだ。

そういえば、言葉は普通に聞き取れた。

言語の壁は取り除かれているみたいだ。

そうなると、話す方は問題はなさそうだが一応テストも兼ねて一番の疑問を聞いてみる。


「すいません。何故私はこの世界に呼ばれたのでしょうか?」


「あぁ、最初にその話しをしてもいいが…」


長話になりそうだが、どうせ勇者としてこの国を魔王やら魔族どーのこーのから救ってほしいと言われるんだろう。

結果は目に見えている。


「その前にまず、そなたのお名前を聞いておきたい。そなたの名前は?」

そなたって始めて聞いたわww


「私の名前は蓬wと申します。」

しまった。草生えちゃった。蓬だけに。


「そんな堅苦しくなくていいぞ、ヨモギ。」


「堅苦しい」というのは敬語のことを指すのだろうか?

ため口で言って「無礼者」とか言われて首がはねられたらさぞ…さぞ、さぞ痛いんだろなぁ。

迷っていると、それを見透かしたのか王様が口を開く。


「ため口でもいい。ヨモギ。私はこの国の王で、そなた達は異世界人。つまり、私の国民ではないからな。」


これは優しすぎるというのか、お人好しというのだか。

そういえば今、「そなた達」と言っていたような気がするのだが、私以外にもこの世界に召喚

された人達がいるのだろうか。

てか、そなたってww


「さて、本題に入ろう。1年程前、魔族がこの国を攻めてきてな。この国は長年続く魔族との戦争に疲弊していて、国民も抵抗する気力でさえもなくなっていった。」

遠い目をしながら、王様は一旦話を切る。

長年続く戦争なら、多くの国民や身近な人を亡くしたことだろう。王様自信もまだ若いみたいだし、やはり辛いみたいだ。

話の流れから察するに、その魔族を倒してこいと言われるテンプレ的なやつだろう。


「だから、私たちは王家の最後の切り札。王家に代々伝わる、異世界からの勇者の召喚を行った。」


やはり、先駆者がいたか…。

だから、さっきは「そなた達」だったのか。

彼方を見ながら王様は話を続ける。


「それで、勇者の召喚を行ったは良いものの、それからすぐ、魔族側と同盟を結ぶことができた。魔族側は力が強い勇者に恐れたのだろうが、こっちとしても勇者に無理な戦いを強いることはしたくはないし、どちらの国も血が流れないことに越したことはないだろう。」


頼むそのままいい話で終わってくれ。私は家に帰りたい。今ならまだ夢だったことにできるから。


「だが、」


みんなが争ってばかりいるから夢オチはなくなりました。自分の運の悪さのせいです。

あ~あ。


「私達が召喚した勇者達は血の気が多くてな。同盟に反対するだけでなく、とうとう彼らは私達から離反し、新しい勢力を作ってしまった。今のところ彼らが何をしたいか不明だが犠牲者も少なからず出ている。なので、ヨモギ達には勇者の討伐を頼みたい。」


「国の軍ではどうにかならなかったの?」


「あぁ。そもそも彼らは魔族との戦争を彼らだけで終わらせられるほどに強いスキルも能力も持っている。下手に動けば返り討ちに合うことは確実だ。」


スキルか。やはり異世界召喚の特典として強いスキルが貰えたりするのだろうか?

というかもう持っていたりして。


「あのー。勇者にはスキルがあるって言ってたけど、私には異世界召喚の特典として、スキルみたいなのはあるの?」


「ヨモギ達にもあるぞ。異世界から召喚されたのだから、強いのをもう持っているはずだ。先に来た4人は相当強かった覚えがある。私は覚えるのが苦手だから、彼女らの名前もスキルも忘れたが。

確か、一番最近来たのは…たい焼き?って言ったか?ずっと暗い顔をしてたから印象には残ってる」


暗い顔してたのは毎日鉄板の上で焼かれて嫌になっているんじゃないんでしょうか。(早口)

てか、もしかしてこれ名前教えた意味ないんじゃないの?あぁ、たい焼きぃ

じゃないや、ホットケーキぃ。。


「あいにくここにはスキルを特定する道具がない。この近くで言えば冒険者ギルドが一番近いから、そこにまずは行ってほしい。

それと、冒険者ギルドに行くついでにヨモギより前に召喚された彼女らを4人連れてきて欲しい。後者は何日かかってもいいが、できるだけ早くな。ちなみに、彼女らがどこで何をしているか私は知らん。」(早口)


ついでのおつかいが割りとハードな件について

何の情報もないし…。無理ゲーでは…?

てか、よく聞き取れたな今の。


「あと、これからヨモギにはそこにいるベルがヨモギ達がこの世界に慣れるまで手伝ってくれる。」

そう言って玉座に一番近くにまっすぐ立っている、歳は私より少し上に見える大きな剣を腰に刺した女性を指差す。ポニーテールの長い髪と凛とした顔からモテるのだろーなーと思う。

こういう歳上苦手なんよねぇ。

女性の…いや、ベルの顔が一瞬曇ったような気がするが、すぐに元の凛々しい顔に戻る。

歳上苦手なの察したかと思ったぜ。

こちらの視線に気がついたのか、こちらに優しく微笑みかけてくる。


「ベルはこの国2番目に強い剣士だから剣の稽古とかも頼ってもいい。では今度は5人揃ったら。」

と、言い残し王様は玉座から降り、足早にレッドカーペットの真ん中を歩いて去って行った。

まだ、勇者討伐するなんて言ってないのに。

どうせ拒否権はないのだろうけど。

私は目の前に来たベルに目を向ける。


「改めまして、私はベル。この国で2番目に強い剣士よ。これからよろしく。」


「こちらこそ、これからよろしくお願いいたします。」

互いに短い挨拶をし、これから長い旅になることを覚悟してこの部屋を去った。

ホットケーキぃ。。

今回は割りと真面目な回なので面白さは小匙1杯半です

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