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1 女子高生×フラグ

「はー、暑い」


ついこの間進級したとは思えない気温に感情をそのまま言葉に出す。

高校の帰り道を歩いているのは私を含めいつもの5人だったが、季節外れの気温だけがいつも通りではなかった

学校は朝の天気予報を見ないのだろうか?

か弱い女子高生を9月下旬位の暑さの中、ブレザーを着させて歩かせるなんて無神経にも程がある。


「昨日まで寒かったのに急にこんなに暑いなんて」

私の言葉を補完するように、金髪の女の子が言いながら、やれやれと動作をする。


「それにしても、(ゆき)はいいよな。小さくて。暑くなさそう」

そう、いいながら金髪は、背丈が私の胸位までしかない短髪の女の子を恨めしそうに見る。


「そんなことないんだぜ、一日中暑くて気が遠かったぜ」と、答えるが

「でも、汗かいてないじゃん」

と、赤いメッシュの入った白髪の背の高い美人に速攻否定される。

確かに靫だけ汗をかいていなかった。

しかも、彼女は周りより歩幅が小さいから早歩き気味なのにだ。

一生懸命皆に着いてこようとする靫はいつも通り可愛かった。


後ろを着いてくる靫を見ていたら、目が合った。が、すぐに目をそらされおまけにそっぽを向かれてしまった。

少々ショックではあったが、今の私にはかわいい彼女が見れたことが今日一日頑張った私へのご褒美にしかならなかった。


舐めるような目線(人目がなかったら本当に舐めていたかもしれない)で見ていると、それを察したのかメッシュの美人が靫に聞く

「私と(よもぎ)どっちがーー」

洒璢榴(しゃるる)!」


選ばれたのはメッシュでした。

やっぱり嫌われてるのかな……。


「超ショック!」


「朝ごはんなら一緒に食べたでしょ…」

長い黒髪の美人が細い声で話に割り込む。

滝夜(たきや)姉、一緒に朝ごはん食べたってどう言うこと?」

と、滝夜の双子の妹である金髪が眉を寄せて私を睨みながら話に割り込んで来たから、

とっさに言おうとした、

「いや、朝食じゃなくて」の否定も

「それ、おっさん臭いよ」の優しくオブラートに包んだ忠告もひとまず忘れて、まずは目の前にいるシスコン金髪の誤解を解こうとする


確かに私はなぜか私の家にしれっといた(洗濯機借りに来たらしい)、滝ちゃんに遅刻ギリギリだったから、ベーコンパンケーキを作ってもらったが一緒に食べてはいない

目の前のシスコンにとって一緒に食べたかより、作ってもらったかの方が大事だと思うが誤解が深まりそうなので黙っておこう


三日月(みかづき)、誤解してるのかもしれないけど」

そう私がいいかけると、

「私が蓬に朝ごはん作った…」

何故火に油を注ぐことをさらりとそのまま言えるのか。。


「なるほど、誤解してた。ごめん」

あっそれで良かったの?

じゃあ逆にどう誤解してたの?


「分かればいいのよ……」


どうやらこの双子と私の感覚は、ずれているらしかった。

「ショックって言ったって、現役バリバリのモデルの洒璢榴に比べられて勝てるわけないよ。」と、誤解が解けて表情があからさまに明るくなった三日月に励まされるが

まず、何で比べられたかもわからないのに納得できるはずがない


「そうだよ。私に勝てるはずないじゃないか」

正直顔面を殴りたかったが、毎月ファッション誌に載る位のモデルの顔に傷をつけたらさすがに大問題なので冷静に冷静を重ね冷静を保って妥協してお腹を殴った



「そういえば」と、殴られたお腹をさすりながら目に涙を浮かべながらお茶を濁したように

洒璢榴が話し始める

「朝礼で校長が言ってたけど、3年の先輩が失踪したって」

「知ってる。皆あの場にいたんだぜ?知らない訳ないんだぜ」


そうだよね?といった風に前を歩き皆の顔を靫が伺う

ごめん。何の話かわからないんだ。寝てたから。



頭に「?」が浮かんでたのはもう2人、双子がいた

よかった。自分だけじゃなかったみたいで。

滝夜が「どういうこと?」と、いった顔をする

ナイス滝ちゃん。さす滝。

「「もしかして、滝ちゃんも聞いてなかったの?」」

と、真面目組の2人。

まるで聞いているのが「正義」と言いたげだ。

いや、実際ただしいのだが。。

それに怯んだのか、

「あっ、でも、、徹夜……ゲーム…いや、蓬が……聞けって……」

こいつ人に擦り付けやがった。なにがさす滝だよ。


「まったく、いい?まず朝礼は寝る時間じゃないの。そもそも蓬はちゃんと寝てる訳?早寝早起きは基本だよ。私は仕事ある時ーー」


あっ、これ長いやつだ

魔法魔術学校で浮遊呪文教えてる時のあれかよ

それか、小学校の時の担任かよ

クラス皆の前で自分だけに話始めてその間関係ない人達から「なにやってんだお前」みたいな目を浴びる時のあれだ。

よく似てる。


洒璢榴の、

「聞いてるの?」の声で意識が小学校の教室から高校の帰宅路に戻される

「んで、朝礼の話って一体なんなのよぅ」

と、三日月が罪を自白しながら聞く

「朝礼では、3年の先輩が5人先週の金曜日から遊びに行ったきり、行方が分からくて家にも高校にも連絡がないらしいんだぜ」

「それって只の家出じゃないのん?」

クセのある語尾で三日月が聞き返す

今度真似しよ。


「3日経って5人とも何の連絡もないなら、普通ではないでしょ?」

「まぁ、それもそうだけど。」

「しかも、5人の内バスケ部2人、柔道部1、剣道部2で全員バリバリの運動部だったのにも関わらずらしいんだぜ」


靫の中で、「運動部=強い」らしい。


「なんだその、お持ち帰りの寿司みたいな中途半端なバラけよう」

「でも、運動部の陽キャは土日出かけるものじゃないのん?」

案外その変な語尾を気に入ってるらしい

それか無意識なのだろうか?

「でも、誰からも連絡がないのはおかしいんじゃないの……?」


「だから、私達も気をつけましょうと言うことで!」

命が乗った話とは思えないほど、話の締めが非常に軽い

運動部·高校生·先輩の三拍子が揃っている、私達よりも強そうな人達がさらわれて、危機感の1つや2つ普通ありそうなものだが、私達にはどうしようもできないしそれ以上の発言もできない

洒璢榴というより、私達はちゃんと平常運転が通勤快速だったようで何よりだ

いつも話を5駅近くとばしている


ふと、靫が

「ふふっ」と笑う

「どうしたの?」と聞いてみる

「いや、私達はこんな状況なのにいつも通りでおもしろいなと思ったんだぜ」

つまり、私達は本来備わっているはずの危機感をお母さんのお腹の中に置いてきたということなので褒められている訳ではなかったが、滝夜は

「確かに、平和だね…」

と、素直に受け止める。

「私達は…今のところは…」

よくも無駄な一言を…

「ちょっとやめてよー」

とシャルちゃんが見事に回避した

ナイス洒璢榴

一方の建築した滝夜は口に手をあてて上品にクスクス笑っている

確信犯だ

これから何かあったら恨むと、心に揺らぐことない決断をする


「確かにこんな日常はずっと続いてほしいな」





ん?



んん?


私は三日月の方を思い切り振り返る

他の3人も三日月の方を見る

それを「何か問題でも?」と言った風な顔をして見つめ返す

こいつドがつく天然かよ

やっぱり何かあったらこいつを恨もう





家につくと、猫のバステトが玄関まで迎えに来てくれた

バステトをひとしきり撫でて学校と暑さのストレスを発散させた後、2階に上がり汗でびしょびしょの制服を着替えに部屋へ入る




しかし、扉を開けると部屋にあるものがあることに気づいて、同時にあるものが自分からなくなったことに気づく


1個目の「あるもの」は魔方陣だ

勉強机とイス、ベッドしかない小さい部屋にそれらに被らないようにでかでかとかかれている

アニメでよく見る、いかにもそれっぽい紫色の魔方陣だ

一応触ってみる、擦ってみる、嗅いでみる、話しかけてみる

床から剥がれる気配もないし、手にもインクは移らない

もちろんしゃべりもしない

日本語だからか?

外国陣だからか?


魔方陣に触ったからか、体と魔方陣が金色に光り出す

眩しくて思わず目を瞑る





2個目の「あるもの」は日常だった

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