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ヒロイン剥奪! ~オープニングで悪役令嬢を落としたらストーリーから蹴りだされました~  作者: ぎあまん


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 縄でぐるぐる巻きにされた私はそのまま城へと運ばれていく。

 衛兵に引きずられて歩かされたのだけど、野次馬の視線がすごいすごい。

 こんなに可愛いレインちゃんを見世物にするとか、衛兵たちはとんでもない変態野郎どもだね。

 城に入るとそのまま地下の牢獄に押し込まれた。縄も解かれない。


「あの、縄を外してもらえません?」

「だめだ」

「なんで?」

「貴様は魔女だ。魔法を使うかもしれないからな」

「……そうですか」


 可愛い女の子を縄で縛ったままにしておくとか、そんなことを真面目に言い切って恥ずかしくないのかと問いたい。

 問わないけど。

 しばらくすると豪華な衣装のおじさんがガチガチに鎧を着こんだ男たちに守られてやってきた。

 わかりきっているけど、王様と騎士たちだ。

 その間に隠れるようにリヒター王子もいた。

 ……と、その隣にはサリアもいる。

 一瞬だけど、彼女がにやりと笑った。貶めてやったといわんばかりの笑顔だ。

 うん?

 どうしてそんなに嫌われているのかわからない。

 なにかした覚えはないけどなぁ。


「小魔女レインよ」


 考え事をしていると重々しく王様が問いかけてきた。


「この小瓶に見覚えがあるか?」


 と、示したのはうちで使っている薬入れの小瓶だ。回復薬はガラス管に入れるとか、薬の種類ごとで容器を変えている。


「うちで使っている小瓶ですけど、それがなにか?」

「では、この薬の中身もそなたが作ったのか?」

「さあ? 小瓶はそもそも私が作ってるわけではないですし、サンドラストリートで買える普通の小瓶です」

「では、この小瓶は違うと?」

「うちでは入れた薬を見分けるのに容器に詰めた後、印をつけます。容器の首の辺りになにかありません?」

「ふむ……横にナイフで付けたような傷が三本ある」

「なら、破壊薬ですね。傭兵がよく買っていく薬です」

「では、この中に入っているのは破壊薬か?」

「私が売ったままなら、そうでしょうね。使用後の容器を誰がどのように使っているか、そんなことはさすがにわかりません」

「貴様っ! 陛下の御前だぞ!」


 私のふてぶてしい対応が気に入らないのか騎士の一人が怒鳴る。

 めんどくさいなぁ。忠義ぶって無意味な煽りを入れてくるとか、無能の証明だと思うけどね。


「……私はやっていませんって、泣きながら言ったら無罪になるんですか?」

「なっ⁉」

「そうじゃないなら、論理で詰めていくしかないでしょう? 決定権もないくせに話に混ざって来ないでくれません? 王の質問の邪魔をするとかそれこそ不敬じゃないですか?」

「ぐぬぬぬぬ……」

「他にご質問は? 陛下?」


 私の対応に他の騎士たちも怒りを見せていたが、当の王様は何も感じていないようだった。


「では、破壊薬を売った者のこと、言えるか?」

「破壊薬を売るのは決まりがあります。私を連れて来た衛兵が帳簿をなくしていなければ、そこに全て記されています」

「その通りだ。では、そちらは後程調べさせてもらうとしよう」


 王様はじっと私を見る。

 自分の息子の暗殺未遂事件だっていうのに、ひどく冷静に見えるのだけど気のせいかな?


「では、とりあえず最後の質問だ」

「はい」

「リヒター王子を暗殺したいかね?」

「なぜ?」

「なぜ、か? それが答えでよいのかね?」

「殺す理由がありません。顔も見たことがないような王子をどうやって恨めと? 私の人生に王子が関わってきたことは、ないと思うのですけど」

「本心か?」

「なんの毒が使われたのか知りませんけど、魔女の薬なんてわかりやすいものを使って迂遠な毒殺という手段を使うぐらいなら、私ならもっと直接的な方法で行います。私はそこまで無能じゃない」


 私の戦闘能力を舐めるなよ?

 狙ってやれば超長射程で魔法を撃ちこむことができるのは隠しダンジョンで色々試したからわかっているんだ。

 毒殺なんか狙うぐらいなら、竜王も殺せる一撃を撃った方が話が早いよね。


「では、君ではなく、誰かのために王子を殺せるかね?」

「……私の尊敬する方々を本気で王に据えたいのであれば、王子だけ殺したところで足りませんよね? 王子なんてしょせん、替えの利く二番手です」


 最後の質問じゃなかったんかい、と思いつつ答えると、また騎士たちが怒りだす。

 でもそうでしょ? まだ王にもなっていない王子を殺したところで、次の誰かに変わるだけじゃない。

 そして、私と仲のいい貴族が誰かなんて王様はとっくにわかっているわけで、王子の後釜にあの人たちが来るかどうかなんてとっくにわかっているわけで……なんというか無意味な質問だ。

 もしかしたら王様は私が犯人じゃないことをわかっているのかもしれない。


「では誰を殺せば足りる? 余か?」

「陛下を弑し奉ったところで次は殿下がいます。お二人を……いえ、主要な王位継承者を皆殺しにしたところで、私が尊敬する方々にその力や味方がなくては王位に就くことは難しいでしょう。結局のところ、暗殺で勝ち取れるような国はそれ自体が傾いている証拠です。そんな屋台骨が腐っているような家を欲しがるような方々を尊敬していたとは……思いたくないですね」

「くく……そなた、言いたいことを言うな」

「ありがとうございます」

「だが、いまのところ新しい事実が見つからぬ限り、そなたはここにおらねばならぬ。よいか?」

「しかたないですね」


 私は静かに受け入れる。


「ところで、この縄は外してもらえないのですか?」

「ふむ。そうだな」

「陛下、お待ちください」


 と、さっきから顔を真っ赤にしていた騎士が口を挟んできた。


「この魔女は危険です。縄を解くなどとんでもないことか」

「だが、まだこの娘が犯人と決まったわけではないし、その態度には納得できるものがある。牢に入れて縄までしておくなど過剰であろう」

「……それでも魔女です。陛下の前で牢を開け縄を解くなど許されません」

「そうか。では、後ほど」

「その必要はないです」


 めんどい。


「なに?」


 こちらを見た全員が目を見張る。

 なにを驚いているかと言えば縄が引きちぎれているからだ。

 この程度の縄、いまの私のステータスなら余裕ですよ余裕。鉄の鎖でもいける自信あります。


「私が無実であること、陛下ならばきっとお分かりいただけると信じていますので」


 驚く彼らの前でにこりと笑い、私は牢獄の壁に背を預けるのだった。





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