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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第9章 ~精霊契約と入学試験~
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第89話 入学試験①

 



「すごい人だかりね……」



「ああ……そうだな」



「一体……何人くらいいるんでしょうか」



 3人とも、この異様な数の人間を前にして、口を揃えて感嘆の吐息を混ぜながら呟いた。



 高い山でも見た時のように、口はぽかんと空き、目を見開かせ圧倒される。



 俺達は現在、ロッドハンス王国、王都、ストルボンの南区の東部に所在する『王立ミシェド学園』の正門前に来ていた。





 人種の教育訓練機関の中でも最大規模を誇るこの学園の敷地面積は、およそ25万平方メートル、東京ドーム5つ分に匹敵するほどだ。


 そして、その広大な敷地は大きくわけて5つのエリアに別れている。



 まずは『日常エリア』と呼ばれる場所だ。


 ここには、レストランや洋服屋など、繁華街には遥かに見劣りするが、生活するのに十分以上な施設が整っている。


 連休又は長期休暇以外では基本的に学生は学園の敷地より外へ出ることを禁止されている。


 よって娯楽施設などはこの学園敷地内にはないのだ。



 次に『学生寮エリア』。


 この学園に通う全ての学生はこの寄宿舎で生活する。


 これは男女別で東棟に男子寮、西棟に女子寮と分かれている。



 そして、『学校棟エリア』。


 このエリアにある教育用の学校棟は、中等科棟と高等科棟の2つに分かれている。


 中等部、つまり天職をもらった翌年の12歳から15歳までの学生たちは中等科棟に通う。


 高等部は、16歳以上の者が通うことができる。


 中等部は年齢が制限されているが、高等部の場合は何歳であろうと、受験することができる。


 ただし、一次選考試験に合格した経歴のあるものに限られるが。


 高等部は入学してから3年間の通学が基本だが、希望によっては、さらに2年追加して、5年間通うこともできる。


 ちなみに高等部は中等部より断然に規模が大きくなるため、施設や設備も遥かに高等科棟の方が充実している。


 学校棟エリアには他にも、学生たちのための食堂や、中等部高等部に1つずつ、通称アリーナと呼ばれる、全校生徒を収容できるほどの大きな集会場なども併設されているそうだ。



 学校棟エリアに連なるようにして、隣接しているのは修練場エリア、通称『スタジアムエリア』と言われている。



 スタジアムは基本的にはその名の通り、実技の修練をする場だ。


 魔法の鍛錬から剣の鍛錬まで、ありとあらゆる修練をスタジアムで行う。


 その他にも闘技場としての役割も担っている。


 スタジアムは大小含めて計8つ。

 これは中等部、高等部、共同利用となっている。



 最後に『多目的エリア』だ。



 ここには、緑の絨毯のような広大な芝生の広場に、大きな噴水、至る所に設置されたベンチ、人工的に作られた木陰など、生徒たちがくつろげるスペースから、魔法や剣の鍛錬ができるスペース、他にも生徒たちが体を動かせるような施設まで、まさに多目的なものが沢山ある。





 今回、俺達が学園の一次選考試験を受ける会場は、学校棟エリアにある高等科棟だ。



 そして、俺達が今いる学園の正門前には同じ目的で集まってきた人々が凄まじく長蛇の列を作っていた。


 それは、テレビで見た事のある『コミックマーケット』を彷彿させる程だ。


 同年代と思しき子供たちが大半だが、少し年上や中年辺りの人達もちらほらと窺える。


 前方に並ぶ人間と、俺達より後方に並ぶ人間のカズを合わせると、目算1万人くらいはいそうだ。




「これはまだ時間がかかりそうだな……」



 俺はそんな光景を見ながら、独り言を漏らした。


 ラフィーもエルフィアも同じく、呆れたような吐息をこぼしていた。



 そして学園のことや受験のことなど、3人で色々と話しているうちに2時間ほどが経過した。



 ただ、ラフィーには目立たないように短い剣の形になってもらっている。



『念話』はエルフィアにも有効な状態になっていたため、俺とエルフィアは剣化したラフィーと会話が出来るのだ。



 そして、ついに俺たちの番が回ってきた。



「次の人」



 淡々とそう呼んできたのは、黒い制服のような装いを身に纏う女性だった。



 試験官かなにかだろう。



 他にも、同じ装いをした人達が横並びにずらりと座っている。



 試験官の座る机と椅子の間には必ずお互いを隠すような仕切りが立っていた。



 恐らく個人情報漏洩防止のための措置だろう。



 何せ、最重要個人情報であるステータスを確認するのだから。



 エルフィアも同時に別の試験官のもとに呼ばれていた。



「それではそちらにお座り下さい」



 試験官は手でジェスチャーをとり、俺に彼女の向かい側に構えられた丸椅子に座るように促してくる。



 俺は言われた通りに、その椅子に座り込んだ。



「初の受験の方ですね」



「あ、はい」



「では、受験料を」



 慣れた口調で話を進める試験官に俺は用意していた受験料、銀貨15枚を取り出し、彼女に手渡した。



 もちろんエルフィアにも同じだけの金額を渡してある。



「はい、確かに受け取りました。 それでは一次選考試験を開始させていただきます」



 こうして、入学試験の一次選考が始まった。





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