表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第9章 ~精霊契約と入学試験~
86/187

第79話 湯上りの少女

 




「それじゃ、俺はちょっとサイオスさんの所に行こうと思うんだけど、ラフィーはどうする?」



 男湯を出たところで、ラフィーに訊ねる。 サイオスに事の顛末というか、この1ヶ月のことを話そうと思うのだ。



「分かりました。 あたしもミカエルに用があるので、マスターはサイオス様の所に行ってください」



 俺は「ああ」と言うと、ラフィーはニコッと笑って「はい」と返して、ミカエルの元へ向かっていった。



 ラフイーの背が見えなくなると、俺もサイオスの部屋へ足を向ける。



 その時だ。



「あ、ユウ」



 振り返った時、目の前にちょうど今風呂からあがってきた少女がそう声をかけてきた。



「────」



 腰まで長く伸びた、透き通るような真っ白な白髪はまだほんのりと艶やかに湿っていて、体温が上がった頬は薄紅色に染まっている。



 そんな美しい少女を目の前にして、俺は思わず息を呑んだ。



 風呂に入る前の彼女の髪は白と言うよりは少し汚れていて灰色という感じだった。



 それが今では、本当に吸い込まれそうな程に美しい白髪になっている。


 一切の淀みもない純粋な白だ。



 さらに肌の白さも見違えるほど綺麗だった。



 俺が言うのもなんだが、着ている服もその白い髪と肌によく似合っている。



 ふんわりとした生地の黒色のフレアキャミソールは、スラリと細長い手足の肌の白さを強調しており、桃色のフリルショートパンツはその黒に合っていてとても栄えていた。



 どうしてもその姿から目が離せず、棒立ちになる。



 空いた口は閉じず、鼓動のより一層高鳴る。



「どうしたの、ユウ?」



「────」



 その声にも反応できない。



 すると何だか、彼女は紅潮した頬をさらに赤らめて、目をきょろきょろとさせて恥ずかしそうに呟いた。



「えっ、と……あまり、まじまじ見られると、その、少し、恥ずか、しい……」




 目を逸らして、体を萎縮させ、恥ずかしさを紛らわせるようにするためか、髪の毛撫でて耳にかきあげた。



 その仕草にさらにドキッと胸が弾む。



 幼さを残しながら、どこか色気を纏っている。



「え、あ、その、すまん……」



 彼女の呼びかけにようやく気づいて、狼狽しつつ、慌てて視線を逸らした。



 するとそこには、にやにやとしながらこちらを見つめるリリーの姿が映る。



「目がえっちでしたよ、ユウさん」



「そ、そういうつもりじゃ……嫌がることをするつもりはなかったんだ。 本当にすまん!」



 リリーのジト目が焦りをさらに加速させる。 俺は叫ぶように謝罪をした。



「べ、べつに嫌ってわけじゃ、ないの。 ただ私、あまりそういうふうに見つめられたことなくて、その、先に言ってもらわないと、心の準備が……」



 いや、なんの準備? とツッコミを入れたいでもなかったが、今はそういう雰囲気ではないし、そもそも俺が一方的に悪かったので引き留まった。



「ま、冗談はさておき。 どうですかユウさん、私のチョイスは」



 リリーはもじもじとするエルフィア後ろに回り込んでそう言った。



「チョイスって、なんの?」



「エルフィアちゃんのこの格好ですよ。 すごく素敵だと思いませんか?」



 目を輝かせながらリリーは言う。


 というか、いつの間にエルフィアちゃんなんて呼ぶようになったんだ?


 それに本人も満更でもなさそうだ。


 もしかすれば、ラフィーの言っていた『裸の付き合い』というのは存外にも今の彼女には効果抜群なのかもしれない。


 まあ女風呂の方で何があったのかはあまり聞かない方がいいんだろうな。



「んー、あんまり俺はそういうのが分からないが。 はっきり言って……最高、だな」



 素直にエルフィアの格好の感想を述べるとすれば、これがベストだとその瞬間は判断した。



「ですよね! 最高です!」



 リリーもそれに賛同する。



 そんな中、当のエルフィアはかぁっと照れくさそうに頬を染め、目を見開いて俯いていた。



 もう耳まで真っ赤だ。



 それを見ていると『最高』なんてキザっぽく口走ってしまった自分のことも恥ずかしくなってきたが、俺は1つ咳払いすると。



「まぁ2人とも仲良くなれたみたいで、なんだか安心した。 それより、今からサイオスさんの所に行くんだけど、エルフィアも着いてきてくれないか?」



 気を取り直してそう訊く。



 もともと1人で行く予定だったが、ちょうどいいので、エルフィア本人も連れていった方が説明しやすいかと思ったからだ。



「え、ええ。 分かったわ」



「ありがとう。 それとリリーはラフィー達のところに行っておいてくれないか?」



 それに一瞬で考えるような仕草をとったリリーだったが、どうやらすぐにその理由を悟ってくれたようで「はい、分かりました」と頷いてくれた。



 伊達に2年近くも一緒にいる訳では無い。



 こうして、俺達はついにサイオスに結果報告という形で、この案件の顛末を伝えに行ったのだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ