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クラス転生譚 〜最弱無職の成り上がり〜  作者: 美夜尾maru
第7章 〜剣聖と白銀の少女〜
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第56話 新たな欠点

 



「ということは、どの属性も習得できるってことか?」



 俺は淡い期待とともにそう聞き返した。



「あくまで可能性の範囲内ですけど、ね」



「けど、試してみる価値はあるはずだ」



「そうですね。 きっとユウさんのことですから何かあるに違いないです」



 リリーはそう微笑んで励ますように強く言ってくれた。



 まず俺は簡単な生活魔法から入門した。



 生活魔法は子供でも使える簡易魔法のことだ。



 イメージするだけで魔力から物質に具現化できる。



 もちろん属性もあるが、とにかく知識がなくても使えるというものだった。



「では、まず頭の中で先程感じ取った魔力を水に変えるようなイメージを作ってください」



 俺は言われた通りに魔力をかき集め水への変化のイメージを構築する。



 そして、瞑目しリリーの次の言葉を待つ。



「イメージ出来たら、最終段階として詠唱を行います。 生活魔法は固有名詞を唱えるだけでいいので『ウォート』と叫んでみてください」



「ウォート!!」



 ………………




 闘技場を俺の叫びがこだまし、それが鳴り止むと、一瞬にしてこの空間が静寂に包まれた。



 俺の頬を一滴の汗が伝って行った。



 俺はまるでロボットのようにかくかくとしたぎこちない動きでリリーのほうを見やる。



 すると、リリーは気まずそうに目を逸らして、明後日の方を向いていた。



「あのー、リリーさん?」



「な、なんですか、ユウさん」



 お互いにぎこちなく言い合って、俺は静寂を突き破るかのように言った。



「詠唱、の間違いではない、よね?」



 藁にもすがる思いで訊ねたが、リリーは自分の言葉を思い出して汗をだらだらと流していた。



「ちょっと、何か言ってよ!」



「すいません、ちょうどそこに綺麗な鳥がいまして……」



 何かを焦ったように片言で応えた。

 残念ながら、彼女が指差した方向には、ただ闘技場の壁があるだけだ。


 そして、俺は嫌な予感が当たったな、と肩を落として呟く。



「はは、分かってたよ。 全く俺ってやつは」



 しかし、そんなことで立ち止まっている訳にもいかないと言わんばかりに俺は顔をぱっと上げた。



「でも、まぁ仕方ないこともある。 運が悪かったんだよ」



 俺は最大限笑顔を取り繕ってリリーを励ました。



 こういう時は普通、逆だろうと思いながら。



 リリーはその言葉を聞くと、架空の鳥から目を離し俺の顔を涙ぐんだ目で見つめてくる。



「すみません!」



 そう言って頭を深く下げてきたリリーの頭に手を置いて言った。



「別にリリーは何も悪くないって。 だから謝らなくていいんだ」



 そう言うと、リリーは、はっと頭を上げる。



「でも、私が期待させておいて、こんなことに……」



「確かに、少しショックだったけど、こんなことで躓いていられないからな」



 すると、リリーは目を擦りながら愛らしく微笑む。



「ユウさんは、強くてとても優しい方ですね」



上目遣いで俺の顔を覗き込みながらそう言ってくるリリーに、照れくささから、少し頬が熱くなるのを感じた。



「そ、そんなことないって。 それより、他の魔法も念のために試しておこう?」



「そうですね」



 そのあとも様々な魔法を試して見たものの、全て同じ結果に終わった。



 どうやら属性魔法は俺には扱えないらしいと知って俺は肩を竦めそうになったが、またリリーが責任を感じてしまうと思って、それはしなかった。



 どっちにしろ、俺に残されたのはやはりとにかくレベルを上げて、スキルを増やし、技を磨くことという訳だ。



 それならばそれらに躍起になればいい。



 魔法が使えないなら、スキルを増やすまでだ。



 だが、スキルが増えても使うためのポイントがないんじゃ意味が無い。



 そんな考えから、SPを増やすスキルなんてないかなぁっと叶いもしないことを考えていた時だった。



『条件の達成を確認。 無属性魔法【SP回復】を取得可能です』



 久しぶりにあの不思議な声が頭の中に響いた。







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