第5話 理不尽の惨劇②
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最後までお楽しみください。
翌日学校へ行ってみると、妙な視線を感じた。
どうしてだかは分からなかったが、その視線が痛く感じた。
クラスに入ると「きやがったぞ」「よくものうのうと来れたもんだな」とか色々と聞こえてくる。
何を言っている?
その日の昼休み、俺は数人の男子生徒に呼び出された。
「何か用でもあるのか?」
俺が尋ねると。
「なめたまねしてくれやがって!」
そう怒鳴って、いきなり顔面を殴られた。
俺はただ目を丸くして頬を抑えるだけだった。
こんなことされるようなことは身に覚えがない。
「いったい、なん───」
「喋んじゃねぇよクズが!」
そして横腹に蹴りを入れられる。
堪えきれず、朝食が全てリバースする。
その後も、30分にわたる永続的暴力がそそがれた。
痛みと訳の分からなさに、俺の頭は真っ白だった。
ボロボロのまま倒れ、次の授業に出ることは出来なかった。
ようやく起き上り、クラスへ戻ると、嘲笑うかのような視線が一斉に降り注ぐ。
机の中身は俺と同じような運命を辿っていた。
放課後、指導部室から呼び出しをくらった。
「なぜ呼ばれたかは理解しているね?」
教師は深刻な顔つきでそう言ってきた。
「いえ、まるで理解出来ていません」
俺は事実を伝えたまでなのに、教師は急にブチギレる。
「この期に及んでまだそんなことをぬかすか! 君は、女子トイレに侵入した挙句、中にいた女子生徒3人に暴力をふるい逃走。 これが犯罪でなくてなんという!」
「は?俺はそんなこと────」
「黙りなさいっ!」
まるで俺の言葉に耳を傾けようとしない。
きっと何を言っても無駄だろう。
俺はふと思い出す、あの女子生徒が言っていた言葉を。
あぁ、なるほど。
あれはこういう事だったのか。
俺はこの時ようやく理解した。
あの時言った言葉の意味を。
つまりはあの女子生徒らが学校側に俺が暴力を振るってきたなどと偽の報告をしたのだろう。
うちの学校の教頭は大の女好きだからそっちを味方するのは当然と言えよう。
俺は自分の馬鹿さにただ後悔することしか出来ない。
「とにかく、1ヶ月の停学。 それが被害者の女子生徒からの要望だ。 本来なら退学にするところだが、被害者の寛容さにせいぜい感謝しなさい」
一方的に言われるがまま俺は学校を追い出された。
1ヶ月後、謹慎がとけようやく学校にいくと、やはり俺には醜いものを見るような視線が向けられた。
しかし、たった一人だけ、俺の言葉に耳を傾けてくれた男がいた。
「気にすんなよ? 俺はお前の味方だぜ?」
彼の名は河村 晴人、俺の高校初めての友人になる男だった。
その時は、彼がいればもう他はどうでもいいと思えていたんだ。
☆☆☆☆☆
「さて、全員分の自己紹介が終わったことだし、ひとまず解散にするけど、個別で伝えたいこととかある人は色々話し合うのをおすすめするよ」
瀬戸は呆然と立つ俺をおいてけぼりに、話を進めていく。
周りから注がれるのはあの視線だ。
瀬戸のその言葉で仲のいいグループ同士が集まりだした。
俺は真っ先に晴人の姿を探した。
俺の唯一の友人とは色々と話したいことがたくさんあった。
けれどどこを見ても、晴人の姿は見当たらなかった。
探している間、すごい人数から声をかけられておどおどしているミリアの姿が横目に入ったが、それは特に気にしなかった。
「どこに行ったんだろ、晴人のやつ」
結局その日俺が晴人を見つけることはなかった。
ついに主人公の暗い過去が明かされ、異世界の場面に戻りました。
さて、これから主人公はどう生きていくのか。
次回も楽しみにしていただけると幸いです。
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